【NHKあさイチで紹介】マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう

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  • ライツ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909044297

作品紹介・あらすじ

「澤田さんには、目の見えない息子がいる。僕はそれを、うらやましいとさえ思った。」
佐渡島 庸平氏(コルク代表)

日本テレビ「シューイチ」、NHK「おはよう日本」などにたびたび出演。SDGsクリエイティブ総責任者ヤーコブ・トロールベック氏との対談をはじめ、各界が注目する「福祉の世界で活躍するコピーライター」澤田智洋。
苦手、できないこと、障害、コンプレックス=人はみな、なにかの弱者・マイノリティ。
「弱さ」を起点にさまざまな社会課題を解決する仕掛け人が、その仕事の全貌をはじめて書き下ろす。

・福祉器具である義足をファッションアイテムに捉え直した「切断ヴィーナスショー」
・視覚障害者の「足」と寝たきりの人の「目」を交換する「ボディシェアリングロボットNIN_NIN」
・過疎化地域への移住を劇的に促進させたPRプロジェクト「高知家」
・ユナイテッドアローズと立ち上げた、ひとりの悩みから新しい服をつくるレーベル「041」
・運動音痴でも日本代表選手に勝てる「ゆるスポーツ」etc…

【すべての「弱さ」は、社会の「伸びしろ」】
あなたが持つマイノリティ性=「苦手」や「できないこと」や「障害」や「コンプレックス」は、克服しなければならないものではなく、生かせるものだ。
弱さを受け入れ、社会に投じ、だれかの強さと組み合わせる──。
これがマイノリティデザインの考え方です。そして、ここからしか生まれない未来があります。
この考え方と実践方法を、僕と同じクリエイターに、そしてすべての働く人たちに共有したい。

感想・レビュー・書評

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  • ポジティブ思考のプロ。

    今の社会にある、常識的な価値観を180度回転させてプラスにしてしまう。

    そして、それを現実に実行してしまう。

    すごい。素晴らしいです。

    はからずも、コピーライティングの価値、つまり言葉の使い方によって見せ方を工夫することの大切さを感じました。

    すべての弱さは、社会の伸びしろ。


    PPPPP:ピンチ、フィロソフィー、プラットフォーム、ピクチャー、プロトタイプ

    ピンチを見つける。解決するための価値観、合言葉。たとえば「ゆるスポーツ」という長期的かつ広い視野で受けることができる、プラットフォーム。別の領域にも展開できるような、持続可能な計画を描くピクチャー。そして、速攻でプロトタイプ、お試し品をつくること。

    プラットフォーム。大事。すごく。きっと。

  • 日々思っている事、感じている事が書かれていて興味深い内容だった。
    マイノリティだと楽しめないのか。
    多様性言うけど、結局は大多数の人と同じ事が出来る人が住みやすい世の中になっている。
    そこに焦点を当て、デザインしていく澤田さんはすごい。怒りをポジティブな気持ちに変換してパワーに変えるというのは、あると思う。でもここまで行動に移せる方はなかなかいない。
    働き方、考え方、勉強になった。
    「ゆる」に対してもゆるいから楽とか、ゆるいから面白くないじゃなくて、ゆるに属しながらその分野を精一杯楽しめる事を開発していくのが素敵だと思った。
    みんなと同じだから幸せな訳じゃない。
    大多数の人が出来る事が出来なくても、それをマイノリティデザインしていく事を楽しめる。
    そう思わせてくれる本だった。

  • 広告マンだった著者が視覚障碍者の息子の誕生をきっかけにマイノリティに関連する仕事に切り替えたよ、という本。

     申し訳ないのですが、途中までしか読んでいません。
     (正確には157pまで)

     苦手だなと感じながらも読み進める努力はしましたが、どうにも肌に合わなかったです。違和感は以下に箇条書きで。

    ・本全体を端的に言うなら、広告マンが自分を広告した本
    ・広告業に携わってきた過去の影響が色濃く、(著者ご本人がどう考えているかは別として)「マイノリティを応援したいという純粋な気持ち」よりも「広告業の自分が活躍できる場所」「自分が輝けて、ビジネスになる新しいステージ」のようにマイノリティを捉えていて、それをダシにしているように(個人的に)感じてしまったこと
    ・キメゾーとか電車の中吊り広告の良さが私にはイマイチ分からなかった。「マイノリティを応援」なら、あんなに文字を詰め込んだ広告が、下から見上げる車椅子ユーザーや視力の悪い人間などには不向きだということや、「キメゾー」では女性に対する思慮の浅さが、気にならなかったのだろうかと疑問に思った
    ・実は消費されているのは作り手の自分!➡いつの間にかファスト・ピープルになっていた!➡そうだ、SDGsだ!持続可能な広告を作ろう! というくだりは、さすが広告マンというか……ミーハーなんだな、という印象を持った(個人的には苦手な考え方)


    著者と直接関係はないですが……

    ・「未来のブラインドサッカー候補」で盛り上がる話が出てくるが、健常者であれ障害者であれ、夢を押しつけるのはどうなの? と感じた。ブラインドサッカーは障害者だけのものだよね、と考えているようにも取れる
    ・ユナイテッドアローズのディレクターの話に疑問を感じた。「福祉ではなくビジネスです」って、これって「同情じゃなくってビジネスとして対等ですよ、上にも下にも見てませんよ」を強調したかったのかもしれない。でも、裏を返せば「ビジネスにならない相手には取り組みませんよ」ともとれる。前後の話がもう少し欲しかった

    諸々、ごくごく個人的意見ではありますが、どんどんモヤモヤしてきてしまったので、不本意ではありますが本を閉じることにしました。
    私の「貴重な時間を、この本に使っていいの?」という問いかけを、私自身、この本を参考にして問いかけたところ、Noという答えが出た、というところです。

    実際、コピーライターを目指している人や業界の向きを知りたい人、マイノリティ周辺の広告に携わりたい人には向いているかもしれません。あなたがその周辺にいるのであれば、読んでみる価値はあるかもしれません。

  • 「誰しもが何かしらの分野でマイノリティ」という視点に救われました。
    「どうしてみんなと同じようにできないんだろう」と思うこともあるけれど、自分のそんな部分を掘り下げていくと、回りまわって自分と同じ課題を抱えていない誰かにも役立つことがあるかも知れない、と思うと、少し前向きな気持ちになりました。
    この本を読んで、今より優しい世界をつくる一員になっていける気がしました。

  • 本屋で見て気になっていたところ、図書館で借りることができたので読んでみました。パラリンピックがもうすぐ開催されますが、それとはまた少し違う視点で、マイノリティが捉えられているのが面白かったです。学校教育の影響からか、人は自分の弱点を克服しようとしがちですが、もう今は弱点を生かす時代に変わってきているのだと思いました。そしてその"生かし方"をデザインすることが、マイノリティデザインの第一歩であると感じました。

  • コピーライターの澤田さんが、お子さんの視覚障害をきっかけに自らの仕事を見つめ直し、新しい視座を持つに至った、ビジネス書の棚にありながら、自伝のような小説のような本でした。すべての仕事の起点を“マイノリティ”に置く。視覚障害同様に、自らにも“スポーツ音痴”というマイノリティがあるじゃないか、と。面白いのは、スポーツ音痴を“スポーツ弱者”と置き換えたこと。そこから「切断ビーナスショー」や「ゆるスポーツ」につながっていく。ダイバシティを超えて、誰もが見捨てられないインクルーシブな時代にあって、澤田さんの動きは、それこそ“マジョリティ”になっていくのかもしれないと思った。学んだのは、お子さんの障害で落ち込んだときに、たくさんの視覚障害の方や福祉の方の話を聞いた、というところ。もうひとつ、これからはキャッチコピーでなく“キャッチ概念”を生み出すのがコピーライターの仕事、というところ。専門性に特化した話だけれど、汎用性のある話だと思った。

  • 澤田さんの考え方やアイデアの組み立て方がとても参考になった。1冊読み終わったら本が付箋だらけになるほど。

    ご子息の障害によって働き方が180度変わった著者。やはり自分の生き方を変えるきっかけとなるのは家族や身近な人間に違いない。

    今の世の中では障害を持った人たちは生きにくいだろう。全ての人が同じように生きていくために今自分ができることは何なのだろう。障害だけではなく世の中には色々な弱者がいる。そういう人たちに向けた仕事ができれば良いな、と思った。

    私もファストデザインではなく持続的なものを生み出せる人になりたい。

    表紙に点字を施すなど、紙の本の利点を活かした素敵な1冊。

  • とても読みやすかったし面白かった。ただ、その後にBut…というのが、自分の中にあることに気づいて、それも興味深く、いま自分の中を観察しているところ。

    自分の武器(弱さも武器)を上手く活用して、利己利他を追求している、その方法や姿勢(本の中におけるPPPPP?)については凄いと思う。ただ、本の中で紹介されている事例は本当に大きなムーブメントとなっているのか?書き方で盛られているところはないか?と思ってしまうところがあるのは、あまりにも上手くストーリーとして成立しているように思えるからなのだろうか。少し考えてみたい。

    1/9追記 しかし世の中への怒りをこのように昇華できるのは素晴らしいことだなというところまで辿り着いたところ

  • 実践から見出したことから、自分でやるとしたらというところまで。
    最後まで刺激ある、充実した本だった。

    覚えておきたいことメモ↓

    ・元々強いものを強くするのではなく、弱いものを強くする。
    ・世界は一度に変えられない、だから一度ずつ変えていく。
    ・マイベスト喜怒哀楽。
    ・秒単位で消費されるコンテンツではなく、「生態系」をつくる。(Youtube、ゆるスポーツ)
    ・「流行」や「現象」ではなく、「キャッチ概念」=社会のインフラをつくる。(イクメン、おひとりさま、高知家)
    ・「一瞬」より「一生」を、「楽しい」より「嬉しい」を
    ・人ではなく、言葉にリーダーシップを持たせる

  • 「みえない。 そんだけ。」 ブラインドサッカー世界選手権
     視覚障害の息子をきっかけに 
     強いものを強く から 弱いものを強くするへ

    NIN_NIN
     視覚障害者の肩に載せる忍者風カメラ
     視覚と言葉は正常な障害者が視力をシェアする ボディシェアリング

    041 All For One :マス(だれか)ではなくひとり(あなた)のために
     メガネが開発されるまで目の悪い人は障害者だった。今やメガネは個性。

    ゆるスポーツ :スポーツ弱者をなくす
     強い、速い、高い 以外の勝ち方

    生態系をつくる
     PPPPP  
      ピンチ フィロソフィー プラットフォーム ピクチャー プロトタイプ
     あいうえお
      遊び 怒り 疑い エール 驚き
       遊び=役に立たないが愛されるポイント
     リーダシップのある言葉

    広告会社
     アウトサイダー(部外者)
     コンセプトをつくる技術(魅力の第一発見者)
     星座力 (星を線でつなぐ者)

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著者プロフィール

世界ゆるスポーツ協会代表理事/コピーライター。1981年生まれ。幼少期をパリ、シカゴ、ロンドンで過ごした後、17歳の時に帰国。2004年、広告代理店入社。映画「ダークナイト・ライジング」の『伝説が、壮絶に、終わる。』等のコピーを手掛ける。 2015年に誰もが楽しめる新しいスポーツを開発する「世界ゆるスポーツ協会」を設立。 これまで80以上の新しいスポーツを開発し、10万人以上が体験。海外からも注目を集めている。 また、一般社団法人 障害攻略課理事として、ひとりを起点に服を開発する「041 FASHION」、視覚障害者アテンドロボット「NIN_NIN」など、福祉領域におけるビジネスも多数プロデュースしている。

「2020年 『ガチガチの世界をゆるめる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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