最軽量のマネジメント(サイボウズ式ブックス)

著者 :
  • ライツ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909044211

作品紹介・あらすじ

「理想のマネジャー」ってなんだ?
多様で自立した働き方が実現したこれからの組織で、マネジャーはどういう存在であればいいんだろう?

・育休は最長6年
・働く時間や勤務場所は、すべて自分の希望で決める「働き方宣言制度」
・育自分休暇という出戻りOK制度
・副(複)業の自由etc…

単なるグループウェア会社にとどまらず、「チームワークあふれる社会を創る」の理念のもと、
自社では「100人100通りの働き方」を実現し、超ホワイト企業と呼ばれる一方で、
「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう」をキャッチコピーに
世の中にさまざまな問いを投げかける「サイボウズ」。

しかし、もともとは離職率が28%を超える超ブラック企業だった。

そこから、人事制度や働き方、チームのあり方を考え続け、
働き方改革のリーダー企業として知られるようにまでに進化させたのが
この本の著者、サイボウズ副社長・山田理。

売上や利益を第一に考えるマネジャーのための指南本は世の中に溢れている。
ではサイボウズのように、メンバーの幸せを第一に考える会社で働くマネジャーたちは
この先、何を意識して仕事をすればいいのか。

その指針となる本を。

▼内容・構成

(書籍は現在、執筆・編集中です。内容は大きく変更する場合もございます)

はじめに どうすればマネジャーの仕事を減らせるのか?

・そもそも、マネジャーは本当に必要なのだろうか
・「多様性」と言えば聞こえはいいけれど、生まれたのは「世代間のギャップ」だった
・トーナメントシートみたいな組織図は、実は「情報を集約する仕組み」だった
・偉い人って、一度で全部を伝えてくれないアレはなぜだったのか
・情報格差のない時代へ インターネットは「組織の階層」を破壊した
・働き方改革でいちばん損しているのはマネジャーです
・マネジャーにすべてを任せるのは、あまりにも酷すぎやしないだろうか
・この本は「マネジャーの大衆化」を目指します
・サイボウズは人間が人間を管理することをあきらめた
・マネジャーは完璧じゃなくていい 最小限のリーダーシップで戦おう

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の山田理さんのお話を直接伺う機会を得たのが、ちょうど1年前の、2020年の2-3月頃のことだった。ちょうどコロナが日本でも大きな問題となり始めた頃。関西弁で話されるとても色々なことをきちんと考えておられる方、という印象だった。この本は、お話を伺った直後に買い求め読み、今回、1年ぶりに読み返した。
    人事の仕事をしている私のような人間にとっては、良い意味で、とても刺激的な本だ。サイボウズという会社は世の中にないやり方で、働き方改革を進めようとされている。

    私が一番印象に残ったのは、「ザツダン」の話。
    山田さんが、90人ぐらいの組織の責任者になられた時のこと。人数も多く、組織の階層も深く、実際に組織の中でどんなことが起きているのか、分からなくなって、組織の全メンバーと雑談を始められた。そうすると、それまでは、「みんな」だったメンバーが、一人一人、名前と個性と、それぞれの事情を持った個人として立ち現れてきたという話だ。これは、ある意味で、マネジメントの本質を捉えている話だと感じた。
    マネジャーは、組織のメンバーを通じて仕事をする。そのメンバーは、一人一人が生身の人間であり、どういう働き方をしたいのか、どのように組織に貢献したいのか、一人一人が異なる考えを持っている。一人一人の実情に合わせて活躍してもらうことがマネジメントであるはずだ。
    そこから、サイボウズの「100人100通りの働き方」というコンセプトが生まれた。腑に落ちる話だった。

  • マネージャーという立場に大きな夢を感じていた。
    本書で、その半分が肯定され、半分は考え直すことに至った。
    マネージャーは機能であって、地位ではないということに
    もやもや感が晴れた思いがした。

    人のパフォーマンスをどのように引っ張り出すのかを
    具現化した例が紹介されており、とても参考になった。

  • 【きっかけ】
    「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない」に続いて二冊目の読了。
    サイボウズ社の経営スタイルに興味があり…というよりサイボウズへの転職に興味を持って二冊目に手を出した。

    サイボウズがミッションに掲げる「チームワークあふれる社会を創る」という理想。。。
    じゃあ、その理想のチームワークはどんな形だろう?
    そもそも「チームワーク」ってなんだ?サイボウズはどう考えているのだろう?ということを知りたいと思い手にとった。

    【結論】
    サイボウズが考える「チームワーク」、それは
    「企業理念」に共感して集まったメンバーが
    ・お互いの個性を尊重し
    ・公明正大に議論して意思決定し
    ・自立したそれぞれがお互いに作用し、助け合い
    ⇒最大限能力を発揮できること

    それを達成するために、
    徹底した情報共有だったり、ザツダンに全力を注いだり、「説明責任」と「質問責任」という概念を用いていたり。。。
    そういったことを通して、コミュニケーションの透明性を徹底的に磨き上げている取り組みが説明されていた。

    【所感】
    「働き方改革」先進企業としてよく取り上げられているイメージが強いサイボウズ。それはただ制度を整えているというよりは、「コミュニケーション」の抜本的な改革が結果として働きやすさに繋がっているのだ、と感じた。
    コミュニケーションのあり方を根本から変えているよね。という感じ。
    あと、内容が本当に正直に暴露しててすごいと思った。自社で働いていた人が精神的に追い詰められて自殺してしまったことを赤裸々に本に綴るってなかなか勇気あることだと思う。それだけ人に向き合っているのだなと思った。

    じゃあ自分はどうだろう?私はマネージャーではないぺーぺーの若手社員だが、コミュニケーションのあり方・考え方には学べるところはあると思う。
    所属しているのは縦割りが強いかた~い大企業だが、それでも目の前の小さな組織単位ではその意識を実践に移してみることは可能なのかな、と考えた。自身の考え、情報の徹底共有。やってみよう。

  • "情報の徹底公開"や"説明責任"、"質問責任"の考え方は
    Netflixでの取り組み方と多くかぶっている。

    あらゆる情報やスキルの境界がなくなっていく中で、人は会社による支配ではなく、理想や共感で動くようになる
    ←セールスフォースがその代表例な気がする。そういう会社がこれから増えてくのかも

  • 勤め先は現在とんでもないモンスターで、社内の雰囲気も悪い。
    マネージャーだけではない。すべて社員が背負ってしまっている
    我々もザツダンから再スタートしませんか?

  • タイトルだけ見て、よくあるマネージャ不要論の話、ティール組織の話かと思って手に取ったがそうではなかった。


    以下、備忘メモ
    =======
    最軽量のマネジメント
    山田理 著

    こうやったらうまくいかなかった事実
    諦めることができた理想のマネージャー像
    結果的に残されたマネージャーの仕事

    4最軽量のマネジメントは情報の徹底公開
    自分が何かのプロを目指すより、誰が何のプロか知っておいた方が圧倒的に早い
    メンバーが取り組んでいる施策は効果的なのか、効果が出ているのか。そして、自分はそれに正しい意思決定ができているか。
    何かを決める際に多数決ではなく、プロの意見。みんなが言ってますではなく、誰がいっているか。

    もっとも無駄なのは、承認における間違い探し。あらゆるものが公開されているとごまかす、隠すハードルは高くなる。マネージャーがかかえていた承認業務を分散させることができる。

    メンバーがひとりで考える時間のプロセスやロジックすら共有する。指示を公開すること

    スケジュールと呼べるものもすべてオープンにする。めんばの目標に対する進捗状況もスケジュールの一種。

    予算もオープンにすることで承認も必要なくなる。

    じんざいいくせに必要なのは、数ヶ月に一回のマネージャーのフィードバックよりも、身近な人からのこまめなフィードバック。

    議論でみんなが納得するのは難しい。大事なのは、誰が何を言って、何を言わなかったのか。すべて議事録にして公開すること。

    私はこういう生き方をしたいからチームに対してこんな時間、こんな場所でコミットしよう。

    メンバーに全て伝える必要も、自分が理解する必要もない。

    互いに仲良くなる必要はなく、心地いい距離感を測ることができればよい。

    最軽量のまねとは最小限にあらゆるものを切り捨てるのではない。軽やか、という意味です。

    不必要な忖度をなくす。
    スケジュール、業務、その他諸々がオープンなので仕事が忙しいかどうか丸見え。

    メンバーにマネージャーへの理解が生まれる
    これからの時代、まねは地位ではなく、役割。役割とは、意思決定。

    一人一人に主体性が生まれる
    じぶんひとりでやった方が早い?なら、チームに所属する必要はなくなる

    任せると放任の違い
    決定的の違いは自分が責任を取るかどうか。究極、マネージャーの仕事は謝ること。信頼って、多くの場合、一方的な思いに過ぎない。マネージャーご信じるべきはメンバーの個々が自分なりの最善を尽くしているという事実です。

    5だいたいの問題は説明責任と質問責任で解決する
    徹底的に公開した情報を機能させることでマネージャーの仕事は軽量化していきます。
    メンバーが何を知りたくて、何を聴きたくないかは一人一人違う。

    そんなん言ってくれへんとわからん、、、を防ぐために重要なのは質問責任と説明責任です。マネージャーには説明責任があるかわ、メンバーには質問責任があること自覚させられるか。質問する権利としない権利がある。
    すべての社員が自走型の人材として活躍してほしいとはおもっていません。

    みんなが見ているところで尋ねる。みんなが見ているところで答える。

    説明責任を話すためにマネージャーは書く、書く、書く
    ブログをとおして説明責任を果たしているとメンバーの質問責任も活性化した。書くことはひとをたしかにします。足りないのはインプットではなく、アウトプット。ブログはちょうどいい訓練であり、ちょうどいい距離感をもったアウトプット。

    上に対する期待値を上げ過ぎないでください
    社長も部長も普通の人です。

    6会社そのものがなくなる時代に人はどう働くのか
    楽しいとまではいかなくても、嫌じゃないところまでもっていく
    100人100通りの働き方を受け入れることこそ、チームワークを最大化することだと信じています。

    7おじさんを攻撃するでもなく、若者を批判するでもなく

  • 管理職になったら、明らかに重荷が増える、と感じていました。
    そんな中で、タイトルに惹かれて、最軽量って何?と読み始めました。
    印象に残ったことば
    ★「人々の行動原理、すなわちチームの行動原理のパラダイムシフト」
    ★「最軽量のマネジメントとは、最小限にあらゆるものを切り捨てる、という意味ではありません。軽やか、という意味です」
    「チームワークあふれる社会にすこしでも近づくことを願います」に共感です✨✨

  • キャンプファイヤ型にしていく
    説明責任、質問責任
    ざつだん

  • 情報公開、雑談、説明質問義務。面白い!

  • 最近、この手の「管理をしない」という本を片っ端から読んでいるのだが、大きくは下記の2点が肝なのだろうなと感じている。
    1.情報をきちんと開示して、かつ誤解のないように組織に浸透させる
    2.社員やビジネスパートナーが自律的に組織の目指す方向向かって進んでもらうようにする
    少人数であれば効果が現れやすいのであろうが、自分の所属している数千人規模の会社になると、なかなか効果も出にくいのかなぁ…、規則を変えるわけにもいかないしなぁ…、と思いつつも、まずは自部門からでも色々試してみようと思う。

    【メモ】
    ・過去、組織のヒエラルキーは、情報を集約する仕組みであった。情報に価値があり、情報を得るためにコストがかかっていた時代は、情報を効率的に集約する為に必要なものだった。また上位職は、情報を管理する(出し惜しみ)することで権威を維持していた(という見方もある)。
    ・今や100人100通りの働き方を認める時代。働き方が多様化すると、通り一遍の管理手法は通用しなくなる。
    ・マネージャーは地位ではなく、意思決定をする役割と再定義する。組織は「ピラミッド型」から、小規模のフラットな「キャンプファイア型」へシフトする。
    ・メンバーとは100人100通りの距離感を持って業務を遂行する。誰もが同じくらい仕事や会社に思い入れがあるわけではない。
    ・専門性が多様化する為、マネージャーがすべての業務を理解するのは不可能。餅は餅屋で得意なメンバーに任せ、マネージャーはメンバーの意見を聞いて組織としての判断を下す。
    ・メンバーと「ザツダン」をして、メンバー間の情報のハブになり、組織内の情報を整理する。
    ・マネージャーが全てを理解しているわけではないことを、メンバーにも理解してもらう。
    ・説明する側にとっても、相手が何がわからないのかを知らないと正しく説明できない。これをメンバーにも理解してもらう。
    ・「楽しい」とまではいかなくても、「嫌じゃない」ところまでは持っていく。

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著者プロフィール

サイボウズ株式会社取締役副社長 兼 サイボウズUS社長。
1992年日本興業銀行入行。2000年にサイボウズへ転職し、取締役として財務、人事
および法務部門を担当。初期から同社の人事制度・教育研修制度の構築を手がける。
2007年取締役副社長 兼 事業支援本部長に就任。2014年グローバルへの事業拡大を企図し
US事業本部を新設、本部長兼サイボウズUS社長に就任。
同時にシリコンバレーに赴任し、現在に至る。
著書に『最軽量のマネジメント』(ライツ社)がある。

「2020年 『カイシャインの心得』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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