注文をまちがえる料理店のつくりかた

著者 :
  • 方丈社
4.10
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本棚登録 : 181
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908925214

作品紹介・あらすじ

いま話題の、注文をとるスタッフがみんな「認知症」のレストラン「注文をまちがえる料理店」が開店した3日間の完全ドキュメント本。
今年の6月、2日間だけ開かれた「注文をまちがえる料理店」が評判を呼んでいます。80人の客さんを招いただけのプロジェクトになるはずが、全国の自治体や、世界20か国から問い合わせが殺到しています。注文をとるスタッフがみんな認知症のこの料理店が、再度オープンした9月の3日間、準備から、オープン、スタッフの横顔、ちょっとした一大事、お客さんの反応、悲喜こもごもの顛末を、写真をふんだんに盛り込んで、完全ドキュメントで紹介します。

感想・レビュー・書評

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  • ある課題で「未来をあたたかくする本」を探していた時に、図書館で偶然目に止まった本。
    テレビで聞いて興味があった本を読んでみると、認知症に関係なく求められていることじゃないかと思った。
    飲食店ではタッチパネルで注文、ロボットが配膳、セルフレジで会計。早く正確かもしれないけど、人とのつながりがなくなっている。
    コロナ禍で対面NGやオンラインが進んだ時代だからこそ、人と無駄話をして、間違えてもいいじゃないな寛容さが求められているような。
    認知症の親族を見ていても、家事や仕事がなくなると精気もなくなるように見えて。意味のない会話でいいから、誰かと話してつながっていられること、自分の存在が誰かの役に立ってると思えることって、病気の有無や年代に関係なく必要なんじゃないかと。
    そんなことを考えさせられた本です。
    写真が多く、笑顔の人が多く、ロゴはかわいいし、料理はおいしそう。行ってみたくなるお店。

  • ー "「注文をまちがえるなんて、変なレストランだな」
    きっとあなたはそう思うでしょう。

    私たちのホールで働く従業員は、みんな認知症の方々です。ときどき注文をまちがえるかもしれないことを、どうかご承知ください。

    そのかわり、どのメニューもここでしか味わえない、特別に美味しいものだけをそろえました。

    「こっちもおいしそうだし、ま、いっか。」
    そんなあなたの一言が聞けたら。
    そしてそのおおらかな気分が日本中に広がることを心から祈っています。"


    "人生100年の時代。人生最後の一瞬まで、人間らしくやりたいナ。"

    "この企画のデザインの種がいろんな世界中に散らばっていって、そこで独自解釈によってやってけばいい。発想のしかたをいろいろ変えてけば、可能性はさらに広がる。"

    "まかれた種がいろんなところに想像的に誤配され、どこかの誰かの行動を後押しする。何かが変わるというのは、この連続なんだと思います。"

    ああ〜〜。大号泣だった

  • 注文をまちがえる料理店
    http://www.mistakenorders.com/

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    奇跡の三日間をつくったのは、認知症を抱える人たちの笑顔でした。

    「注文をまちがえる料理店」が、この夏、三日間だけオープンしました。
    そこには、数えきれないほどの笑顔と涙と、てへぺろな奇跡が、顔をのぞかせていました。そんな不思議な料理店のこと、カラー写真満載の、完全ドキュメントで再現します。
    「注文をまちがえる料理店」、本日、開店です。
    http://hojosha.co.jp/menu/569631

  • 認知症の方がホールスタッフとして働く、「注文をまちがえる」料理店のドキュメンタリー。
    間違えても「間違えてるけどまぁいっか」となる、むしろそれをちょっと期待してしまう。なんて面白い試みなんだろうと思いました。
    でも間違えを促すようなことはせず、関わる皆がプロで真摯な姿勢で、だからこそ素敵にうつります。
    写真がふんだんに掲載されていますが、「意識が高い」ひとでなくてもなんだか行きたくなるようなお店だと感じました。

  • 「・・・認知症と診断されて自信を失っている人たちっていっぱいいると思うんです。妻も暗く、ふさぎこむようになっていましたが、
    ピアノを弾くようになって、もとの明るい性格に戻ってきました。」

    若年性認知症と診断されたご主人のコラム(P325)より

  • テレビで話題になってた料理店の背景や運営を書籍化したもの

    心温まるやり取りが多く、ほっこりした

  • 認知症の方々が期間限定で料理店をオープン!

    テレビで一度このプロジェクトが取り上げられていたのを見て、なんて面白い、素敵な企画だろう!と思っていたのです。

    あるテレビ局のプロデューサー(著者)が認知症のドキュメンタリー番組の取材のため、あるグループホームを訪れます。
    ここのグループホームでは、認知症があってもできることはする、という姿勢を徹底していて、買い物に出かけたり、料理を作ったりということを日常的に行っています。

    お昼をご馳走してくれることになっていて、その日の献立はハンバーグ。ところが運ばれてきたのは餃子。
    著者は「あれ?間違いですよね?」という言葉が出てきそうになって、でもその言葉をグッと飲み込みます。
    それまで認知症の方々と築いてきたものがその一言でぶち壊されてしまうと思ったのです。
    ハンバーグと餃子。美味しければどっちだっていいじゃないか。
    その瞬間、この「注文をまちがえる料理店」が頭に浮かんだのだそうです。

    まちがえちゃっても「あ、間違っちゃった、ごめんね。テヘペロ」、間違えられても「あ、間違えられちゃった、ま、美味しいからいっか。」と心を広く寛大に。
    だって「注文をまちがえる料理店」なんですから。むしろ、そのことを楽しんでしまったり。

    このひらめきに賛同した企業や飲食店、グループホーム、広告代理店等、様々な人たちの力を借りて、クラウドファンディングでもたくさんの賛同者がいてあっという間に資金も集まり実現するのです。
    ここでのこだわりは、認知症だから、ごめんね、というのをすべてに通用させるのではなく、やはりお金を頂いて提供するのだから、絶対に満足させる美味しいものと満足がいく時間を過ごしてもらう、ということ。
    プロ意識が随所に感じられて、さすがだな、と思いました。

    メニューを間違えられても大丈夫のように、どのメニューでも金額を同じにすること。
    ホールスタッフとして働く認知症の方々が混乱しないよう、メニューは3種類にするなど、随所に工夫がみられます。

    プレ企画から始まって、終了後そこでの改善点を見つけ、本番までに修正する。
    そうすることでサービスがより完成度が高いものになっていくのです。
    当日、認知症の方々のホールでのサービスを手出しをし過ぎず見守るスタッフさん。

    お客さんも認知症の方々との会話を楽しみながら食事も楽しむ。
    間違えられても大らかに楽しんでしまう。最高じゃないですか!

    この企画を成功に導くまでの沢山の裏方さんたちの努力が、表舞台のホールスタッフの皆さんを光らせるのです。

    色んな違いを認め合い、理解し合う、そんな理想の世界をこの3日間は見せてくれたのです。

    読んでいて、ドキュメンタリー番組そのものを見ているように、まるでそばで見守っているようにドキドキしました。
    優しさがいっぱい詰まっています。
    誰でも認知症になる可能性はあるのです。
    こういった共生できる世の中になればいいな、と強く思いました。

  • う〜〜ん
    図書館で偶然手にした本。
    タイトルに惹かれたといえば惹かれた。

    一つの試み、また企画としては素晴らしいと思う。
    また認知症のあるいは障害がある人の...
    そもそも、色々突き詰めてしまうと、そういう(そういうって一体どうゆうってこと??ってことになるけど)ハンディ(?)の有無というか線引きはどこだって感じだし...

    でもって...
    この本に書かれているように、こういう企画(レストランやカフェ)が国内はもちろん海外からも注目を集めているとのことで...
    やっぱりそういう意味では『そういう』ことが人ごとでないって感じになっているんだと思う。

    本にこういうことが普通に...って書いてあったけど、
    普通...ってやっぱりまだまだ難しいのかも...と思ったり。

    こういう取り組みは大きな一歩だとも思う。
    気づいた人、企画した人、実行してこうして一冊の本になってすごいことだとも思う。
    でもでも...
    自分としては
    こんなこと『普通のことで、あったりまえ〜のこと!』くらいのスタンスでいた。
    少し前の日常にこういう風景ってあるところにはあったと思う...。

    この本の存在で「そういう人たち」の存在が、やっぱり違和感?の存在としてあるってことを、改めてここに書き記してしまったようにもある意味感じて...
    なんかちょっと胸に棘がチクチクするとういか...
    なんていうのかなぁ〜〜...
    ちょっと...ちょっと違うんだよな〜〜とも思ったり...思わなかったり...
    考え込んでしまうよなぁ〜(遠い目...

  • 様々な立場の人が関わって、認知症について触れる考える。そういう大切な出会いの場の一つなのかもしれない。

    以下本文より
    認知症になれば多くの行動が制限されることが当たり前とされていたそうです。施設の中に閉じ込められた李、薬物で眠らされたり、椅子やベッドに縛り付けられたり・・・「人として”普通に生きる姿”を支える」介護をめざして先駆的な取り組みを続けてきた。

    認知症であっても、自分でできることは自分でするのがルールです。包丁をに切り、火を使って料理をし、洗濯、掃除を行ない、街へ買い物や散髪にもでかけていきます。もりそんけがや事故のリスクもあります。それでも「人間って何が素敵かって、自分お意志を行動に移せることって、どれほど素敵か。」

    私はもともとこういうことに関心を持つような感度の高い人間ではなく、会社から勉強させてもらって興味が湧き、面白いと思えるようになりました。会社のおかげです。(虎屋 平野さん)

    「オムライスはちょいとお待ちください~。卵がね、鶏が生むのが遅かった!」

    これから先、どうやって自信を持たせてあげられるのか、どうやって楽しく暮らしていけるのかなって考えています。

    認知症がある、あるいは身体に障がいがあるというだけで、自分がいっぱいやれることがあるのに、できることを発揮する機会を奪われる。自分に意志がいっぱいあるのに、その意思を確認もしてくれない。

    こんな料理店があり、きょうは時間にゆとりがあるから、店員さんとゆったり会話でも楽しもうかな、みたいなことを人は求めていたのではないでしょうか。今回のプロジェクトに関心を持って、実際に飲食店の方が勉強をされて認知症の方を雇い入れてやるというのは、コストもかかりますし、正直、かなりハードルが高いと思います。けれど、ちょっとこういう機会に触れて「うちでなにかできることはないだろうか」と考える人が一人でも増えると、社会はだいぶ変わると思うんです。

    こうしたお店にはターゲットが2つあって、ひとつは「認知症の方々に幸せに働いてもらう」ことです。ただ、それはともすると、お客様がサービスをする側にまわってしまう可能性がある。これが恒常的な店になったとき、つまり、”普通”のこととなったとき、このバランスがひとつの課題になるのではないでしょうか。飲食店として成功できるかというと、まだまだハードルは高いと思います。

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著者プロフィール

「注文をまちがえる料理店」発起人。
普段はテレビ局ディレクター。2013年に心臓疾患を抱えたのをきっかけに、“番組を作らないディレクター”として生きることを決意。「失うものがあれば、得るものもある」。大手広告代理店への9か月間の企業留学などを経て、150万ダウンロードを突破したスマホアプリの企画開発や「注文をまちがえる料理店」などを手掛ける。「あいつの仕事ってなんだっけ」と周りから言われるようになったが、「こちらが教えてもらいたいくらいです……」といつもドキドキしている。香川県生まれ、埼玉育ちのアラフォー。好物は、ハンバーグとカレー。

「2017年 『注文をまちがえる料理店のつくりかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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