「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ

著者 :
  • 大福書林
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本棚登録 : 297
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908465116

作品紹介・あらすじ

ボクには理解できるよ、という傲慢な批評を細かく切り刻む鋭利さに痺れた。武田砂鉄

ガーリーってかわいいと思う?
ううん、めちゃくちゃ強くてしなやかでカッコいい。
ほんとは知らなかったたくさんのこと、
無かったことにされてきたかつての女の子たちの抵抗と戦い、
今を生きる私たちにゆりえさんが
誇りと尊厳について投げかけてくれる。
新しい時代の女の子革命のための指南の書!
とにかくただただ話がしたい。
これから私たちがどうやって生きるかについて。
太田莉菜

1990 年代に若い女性アーチストを中心として生まれた写真の潮流—— 同世代の多くの女性に影響を与え、一大「写真ブーム」を巻き起こしたムーブメントを、木村伊兵衛写真賞受賞作家自らが問い直す試み。

感想・レビュー・書評

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  • フェミニズムに救われた二人の対話──長島有里枝×清水晶子。【VOGUEと学ぶフェミニズム Vol.12(前編)】 | Vogue Japan
    https://www.vogue.co.jp/change/article/feminism-lesson-vol12-part1

    『「僕ら」の「女の子写真」からわたしたちのガーリーフォトへ』書評 男性目線のブームに徹底論戦|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13250690

    「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトヘ by 長島有里枝 | 大福書林 ...
    https://daifukushorin.stores.jp/items/5e19f486da89641f49617170

  • 女性へのエンパワーメントな本ですが、いや待て、LGBTの方々にとってもエンパワーメントになる本だなとも思いました。

    男性以外のセクシュアリティの人々は、言葉によって束ねられ、言葉によって境界線を引かれ、言葉によって上げて落とされてきたのだなと、本を読んで感じました(例えば「女史」とか、「女流」、「女子大生」などの単語は、例外的な存在という意味を含蓄しています)

    長島さんに浴びせられた言葉の数々は、純粋にビジュアルの本質について語る認めるところまで到達していないような。。
    怒りを怒りのままにせずに、冷静に要因を因数分解して作品を作り続けていらっしゃるのがすごいです。

    女性ではなく、すべてのセクシャリティを持つ人間の体に温もりのある血が流れています。簡単に言葉によって束ねられるものではない。そうこの本から教えていただいた気がしました。

    ところで、女性は生まれながらにメカに弱いわけではなく、子供の頃からの環境要因がそうさせてきたのではないかと思います。
    (玩具によるセクシャリティの区分け、男児向けとされた玩具は理数系の知育ものが多い。女児向けの玩具は、家政をメインに、ビジュアルの美しさを尊ぶべきだと知育するものが多い。色の好みも、玩具の影響がある)
    センスがないのではなく、体験値の違いだけではないかと思います。

  • 異議申し立てることはしんどい。大きな権力に立ち向かうのには覚悟がいる。そもそも生きづらさ、違和感に気づかないまま過ごしてしまうことも多い。

    戦うことを決意した長島さんに感謝。
    声を上げてくれてありがとう。

  • ずっと以前から飯沢耕太郎という写真評論家をつまらんと思っていたけど、この本を読んで自分の感覚が間違ってなかったと納得しました。
    また、ずっと以前から長島さんが父親と一緒に裸になって写っている写真が気になってましたが、この本を読んでこの写真が持つ意味が少し分かったかもしれない。
    でも、フェミニズムについては恥ずかしながらずいぶん誤解していて、女性が男性と同じ権利や自由を得るための運動ぐらいに思ってたけど、男と対比してしか女のことを考えられないそのことこそが、最も差別的だという事に気づかされました。
    男こそ読むべき本ですね。

  • 自分の中の違和感がより明確になった。
    被写体が女性である写真と対峙した際、「この写真はなんだかモヤモヤする」という漠然とした感覚でしかなかったものが、「撮影者(男性)と被写体(女性)」という権力の不均衡さ、アンバランスさ、見え隠れする支配被支配の関係性に自分は嫌悪感を抱いていたのだ、と。
    筆者は勿論のこと、本書で取り上げられていたHIROMIXについても、私は全く知識がなかった(2人が活躍したのが自分が生まれる前だった)ので、二人の写真集はいつか必ず手に入れようと思う。

  • 私にとっては今年一番の本。90年代の女の子写真ブームの実情と当事者としての憤りが書いてあると思いきや、もっともっと広義な社会全体の分析。ほぼ同世代なので、自分としてもいろいろ思い出す。それにしても、当事者でありながら、こんなに冷静に分析できるのは素晴らしい。久々にじっくりゆっくり読み込みました。

  • んんんはいそうですかという思い。
    どこかで上野千鶴子氏が書いていた、他の人には聞かなかったのか、という言葉にそうだよなぁと思った。
    あと文中で明確に“区別”していた“世間”での自撮りブーム(多くが女性である)をどのように定義づけするのか(しないのか)に興味がある。個人的にはスマホを使ったセルフ撮影が女性にどの様な写真的あるいは映像的好奇心を及ぼしているのか、そこに写真界(そんなものがあるのかは疑問な時代だが)との接点はあるのか興味を持っている。

  • ずっと気になっていた本。

    アートも写真も音楽も、歴史や込められた思いを知ることがとても大切だと思った。
    今までも雑誌や評論家の言葉に違和感を感じたことがあったけど、そんな些細な違和感を大切にしたいと思った。

    本を読みながら、自分が無自覚に男性の視線を意識して服装を決めていること、男性から見て魅力的じゃなかったら自分は魅力的ではないという意識があることに気付かされた。

    本当の自分の美しさ、楽しさ、喜びを取り戻したい。
    自分の写真を撮りたくなった。

  • ふむ

  • 自分で自分を撮影することが、セルフポートレートからセルフィと名前を変え、自撮り写真がプロ・アマ、男女問わずネット上に溢れている現在、著者の言う撮る者と撮られる者との権力関係を撹乱する、という考え方自体が過ぎ去った時代の遺物であるように思われる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1993年、武蔵野美術大学在学中に「アーバナート#2」でパルコ賞受賞。1999年、カリフォルニア芸術大学ファインアート科写真専攻修了。2001 年、写真集『Pastime Paradise』(マドラ出版)で第26回木村伊兵衛写真賞受賞。2010年、短編集『背中の記憶』(講談社)で第26回講談社エッセイ賞受賞。2020年、第36回写真の町東川賞国内作家賞受賞。2015年、武蔵大学人文科学研究科前期博士課程修了。主な個展に「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」(東京都写真美術館、2017年)、「知らない言葉の花の名前 記憶にない風景 わたしの指には読めない本」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2019年)など。日常で感じる違和感を手がかりに、他者や自分との関係性を掘り下げる作品を制作する。

「2022年 『ははとははの往復書簡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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