生きる はたらく つくる

著者 :
制作 : 松家 仁之 
  • つるとはな
4.23
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本棚登録 : 488
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908155079

感想・レビュー・書評

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  • 皆川明さんの人生がぎゅっと凝縮された一冊。「せめて百年つづく」という言葉がとても印象的だった。何をするにしてもこの方針に沿った選択をされている様に感じ、どうなりたいかを言語化する重要性を感じた。
    タイトルの「生きる はたらく つくる」それぞれを分断する事なく、皆川さんにとっては、生きる事がはたらく事でありつくる事なんであろう、自分もそんな生き方をしていきたい。

  • ミナペルホネンの皆川明の本。
    図書館で借りた。
    ミナペルホネンの服が気になっていたから読んだ。
    幼少期のこと、ブランドの立ち上げのこと、人との出会い、ミナペルホネンの理念。
    ますますミナペルホネンの服が好きになった。

  • 皆川さんの理念がたくさん詰まった、伝記のような本。
    自分が心から楽しいと思えることを、愚直にやり続けた結果が、今のミナペルホネンを作ったのだと思う。利益が出ない期間、認められない期間が、僕の感覚ではとてつもなく長いのに、それを苦と思わない、でも過信しているわけでもない、そんな生き方が凄すぎる。普通の感覚なら数ヶ月利益出ないだけで、挫折してしまうよ。
    ミナペルホネンの服はよく着ます。素材も生地のデザインも、シルエットも飽きない。この本を読んでより一層理解できた。

  • 2年ほど前に、『ミナを着て旅に出よう』(文春文庫、2014)を読んで、その無理のない自然な姿勢に感銘を受けて以来、皆川明という人物は関心のある、あこがれの人だ。この『生きる はたらく つくる』は『ミナを着て~』よりも深く皆川さんのことがわかる。
    そしてやっぱり思ったのは同じこと。ちょっと長い引用だけど、象徴的なのは「縫ったりするのは、けっしてうまくない。うまくできないことは、なかなか覚えない。上達するのに時間がかかる。だから逆に、こういう仕事は自分にとって、長くやっていられそうな仕事だな、と思ったのだ。うまくできないことだからこそ、ずっとつづけられるんじゃないかと。妙な考え方だと思われるかもしれない。スキルとかキャリアアップの発想からすれば、得意でないものを四苦八苦してやっているのは効率も悪いし、ストレスだし、得るものが少ない――そう考えるのが普通だろう。でも、そうは考えなかった。この仕事は自分の得意なことではないから、長く続けられそうだ、と当たり前のように思う自分がいた。」(p.44)というあたりかな。自信とは違うものだと思うけど自分の感覚を頼りに、信頼してぶれずに生きる姿勢が表れていると思う。
    皆川さんは自然と「よく生きる」ということを知っている人なんだなと思うし、だからこそ長江青さんや田中景子さんといった稀有な仲間が寄ってくるんだな。

  • ドキュメンタリー番組を観てるような感覚で、最初から最後まで数時間で勢いよく読み切った。
    皆川さん、味があって素敵な人だなぁ。
    仕事に対する姿勢等も、自分に落とし込めるような内容になっている。

  • P44 “縫ったりするのは、けっしてうまくない。うまくできないことは、なかなか覚えない。上達するのに時間がかかる。 だから逆に、こういう仕事は自分にとって、長くやっていられそうな仕事だな、と思ったのだ。 うまくできないことだからこそ、ずっとつづけられるんじゃ ないかと。妙な考え方だと思われるかもしれない。”

    P92 “ところが長江には苦手意識のようなものがまるでないように見えた。「ちょっとこれは私には無理だ」と思わないらしい。ぼくが縫製を苦手だと思い、だからこそず っとやっていける、やめないでいられると考えるのとは、ちょっと感覚がちがう。ちがうの だけれど、結果的には似ているのかもしれない。自分のいる場所が行き止まりだと感じない。 これ以上やってもしかたないと諦めない。この感覚がなければ、ミナの長く厳しい時期をし のぐことはできなかったと思う。”

    P188 “「働かされる」と感じたとたん、停止してしまうものがある。それは想像力だ。
    あらゆる仕事には、自分の想像力をひろげる余地がある。部屋に掃除機をかけること、窓ガラスを拭いてきれいにすること、食後の皿洗いでも、自宅のトイレ掃除でも、想像力をひろげる余地はある。 想像力は、単純な労働作業に思えたもののなかに、変化を呼びこむなに かを発見することができる。 靴磨きのベテランは、どんなブラシをどの段階で使うか、汚れ の効果的な落とし方、クリームの適量、磨く布の種類の使い分け、磨く方向、力の加減など、 知識と経験のストックから手順を導き出し、身体的記憶にしたがって靴磨きの作業を進めて いるはずだ。自分を目指してやってきてくれる常連のお客さまとの会話、やりとりも、働く よろこびのひとつにちがいない。”

    P213 “つまり服は、人間が最初に収まる、いちばん小さな空間でもある。そのなかに収まりながら、外側の空間と触れることのできる最小単位の空間、それが服である、と考え るようになった。服の空間をまといながら、外の空間に触れるよろこび。服の空間に包まれているからこそ、からだがのびのびとする。 服には着心地という言い方がある。しかし空間 の居心地として考えたとするなら、服に対するあらたな考えかた、クリエーションの発想が 生まれてくるのではないか。ぼくはいま、服の着心地とは別に、服の居心地とはなんだろう、 と考えるようになっている。” 

    おもしろかった。つくりたくなる。

  • 守ること 更新すること
    野生的 直感的
    せめて100年続く
    ふくふくした時間
    草木が自由に
    大きな幹からの枝分かれで茂
    衰えてからの可能性
    不完全な人間

  • あの有名なミナペルホネンの服がどのような過程を経て作り出され、そして人気になったのか知ることができました。

    誰からも評価されてない、知識も経験もお金もない。その状況下でも、諦めて辞めてしまうことなく我が道を行く姿に勇気をもらいましたし、強いな、、、と思いました。

    どうしてその状況下で服作りを続けられるのか、私からしたら信じられないです。

    ですが、いま、多くの人から憧れの存在となっている強いプロダクトをうむちからは、このくらいではないとなかなか作れるものではないのだなと痛感しました。

    私が憧れている甲斐みのりさんは、「ミナペルホネンのワンピースを着れる私になるんだ!!と意気込んでがんばってきた。」とおっしゃっていました。
    憧れの人の憧れを知ることができました。

    得られるものが多い本でした。

  • ミナペルホネンができるまでとできてから。
    「うまくできないことだからこそ、ずっとつづけられるんじゃないか」という考えに感銘を受ける。
    仕事に対して真摯に向かう姿がいいなと思いつつも、仕事に対する考えには賛意しかねる部分もある。そこがまた面白い。

  • 憧れのブランド、ミナペルホネンの皆川明さんの本。
    いちばん印象に残ったのは、
    「ぼくたちがさまざまに、お客さまに提供しようとしているものとはなにか。
    それは、『よい記憶』となることではないか。」
    という一文です。2年前に「つづく展」で見た、あの時のぞわぞわとした気持ちを鮮明に思い出しました。

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著者プロフィール

デザインブランドminä perhonen( ミナ ペルホネン)創業者、デザイナー。手作業で描いた図案によるテキスタイルでのファッション、インテリア等で注目を集める。個人としても、国内外の様々なブランドとの協業を精力的に続けるほか、新聞や書籍への挿画、宿のディレクションなど活動は多岐にわたる。

「2021年 『アイノとアルヴァ 二人のアアルト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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