夜明けの約束 (世界浪曼派)

  • 共和国
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907986407

作品紹介・あらすじ

狂おしいまでの母の愛を、全身で受けとめる私の愛。純粋なふたつの愛の遍歴――。謎の多い作者の半生が赤裸々に語られる最高傑作。
史上唯一、ゴンクール賞を2度受賞した作家で外交官、女優ジーン・セバーグの伴侶にして、拳銃自殺を遂げたロマン・ガリ。その代表作であり、戦後フランスを象徴する自伝小説の白眉、ついに刊行。

感想・レビュー・書評

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  • フランス美青年の魅力全開!文豪ロマン・ガリを演じる、ピエール・ニネがまぶしすぎる…|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS(2019/12/3)
    https://moviewalker.jp/news/article/218219/

    【映画でフランス語】ロマン・ガリ『夜明けの約束』と250通の手紙│ふら塾どっとこむ(2020-10-28)
    https://frajuku.com/romain-gary/

    夜明けの約束 ロマン・ガリ著 - 日本経済新聞(2017年7月29日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO19378510Y7A720C1MY6000/

    【書評】ガリ『夜明けの約束』 [評者]たけだはるか | 書評 | web ふらんす(2017.10.05)
    https://webfrance.hakusuisha.co.jp/posts/167

    バルト三国⽂芸事情研修・視察ツアーの主観的レポート | 版元ドットコム(2024年3月27日)
    https://www.hanmoto.com/nisshi1138

    凧 ロマン・ガリ(著) - 共和国 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784907986612

  • サラサラと読み進めることができたが、お母さん、こわいー!!子供に対する愛情が凄すぎる。これは、子供の父親に対する愛を子供に向けているからなのか、お国柄なのか、、、ただ、子供(自伝的な話なので、ロマン・ガリのこと)もそれに応えようと必死になっているところがすごいと思った。普通なら?反抗して出ていく、いうこと聞かないなどなど、、、になるはずなのに、そうならずしっかり母の期待に応えて、作家になった。母と子の強い結びつきの成功例と言えるのかなーと思った。
    内容については、自伝的な内容が綴られていて、お母さんもそうだが、ヴァレンティーナも怖い。登場する女性にびっくりしてしまうが、時代なのか。
    自伝なので、すごく盛り上がったりする訳ではないが、最後にものすごい衝撃を受けた。この最後を書くために今までの話しがあったのか!!と思わされた。
    母親の執念というか、愛情の奥深さになんだかとても感動してしまった。最後の最後に逆転された気分になった。

  • 『凧』と一緒に購入。買ったと思っていたが、買ったのは『ハバナ零年』の方だったか。
    フランスの有名作家、ロマン・ガリの最高傑作と名高い長編。自伝的な要素が強く、主人公の経歴やエピソードは概ね、著者本人のものと考えていいだろう。
    さて、本書を読んで感じたのは、要するにこれって、フランス版の『母を恋ふる記』、或いは『少将滋幹の母』ではないか? ということ。
    今の時代、現実にいたら、間違いなく『キモいマザコン野郎』扱いされるであろう主人公だが、何処までも純粋に母親の影を追い求めている辺り、物凄く谷崎っぽい……。

  • ううーん。けっこう濃いわよ。スタイル的には、私がつぶやいてる家族の話っぽいスタンスの気がするのよね。雰囲気は違うけどさ。お国柄ですかねー。いい大人がいつまでもナイーブのまま生きていて、いんだろか、と思う。日本人なら「あいつイタイよね」とヒソヒソされる物件でも、パリなら「うわあの人繊細やわ、都会人」となるんやろか。
    何だか勝手にイアンマキューアン的イメージを作者にぶつけてたらしいな。ジミーちゃんの絵画あるじゃないですか、あんな感じ。世界的にすごい評価されてる!でも自分の周りで好きな人は誰もいない!

  • 夜明けの約束 ロマン・ガリ著 過剰な母の愛がもたらす孤独
    2017/7/29付日本経済新聞 朝刊

     二〇世紀のヨーロッパ文学は神の存在が万人の拠(よ)り所でなくなったのちの文学なので、しばしば個人の孤独をテーマとし、孤独に起因する絶望を基調低音とした。しかし、人間は本当に独りで生まれてきて、独りで死んでいく存在だろうか。いや、そんなことはない。人は誰でも、誕生の瞬間から他者の関与を受けている。SFの世界は別として、この地上に、母親から生まれぬ人間はいない。







     むろん、母親もさまざまではある。この小説の著者ロマン・ガリの母親は、一九一四年生まれの一人息子に底なしの愛情を注ぎ、過剰きわまる期待をかけ、その子のためならどんな献身も厭(いと)わない勝ち気なシングルマザーだった。ユダヤ系ロシア人ながら大のフランス贔屓(びいき)だった彼女は、東欧から南仏ニースに移住し、幼い息子に、あなたは将来フランス大使になるだの、大劇作家になるだのと予言し、さらには、美しい女性たちを征服するにちがいないなどとも吹き込んだ。


     そんな「成功」を人生の「夜明け」に「約束」させられた少年が、その後どれほどの心理的な重荷を背負いつつ、しかし、自分を育てるために闘い続けてくれた母親になんとしても報いなければという、愛情とないまぜになった正義感に駆られてどんなふうに生きたか、本書はそれを、抱腹絶倒のエピソードや痛切なシーンを次々に繰り出す手法で語りつくす。全篇(ぜんぺん)にある種の寂寞(せきばく)感が漂っているが、そこに潜む孤独は、絶望をつむぐ観念的な孤独とは異質だ。神は不在でも、一人の具体的な他者(母親)との間の無償の愛の記憶がその孤独には宿っている。


     『夜明けの約束』は、孝行息子のきまじめな人生物語ではまったくない。それどころか、自分自身を笑うところから来る滑稽味と、人間観察的な含蓄に満ちたユーモアがこの本の持ち味だ。自伝的な一人称での語りで実話を素材にしているが、多分にフィクションである。フィクションだからこそ真実を浮かび上がらせるという小説の本領を見事に結実させている。


     今こそ再発見されるべき二〇世紀フランス屈指の小説家ロマン・ガリの代表作の一つが、良質な翻訳で読めるようになったことを大いに喜びたい。




    (岩津航訳、共和国・2600円)


    ▼著者は14年ロシア帝国領に生まれ、35年フランス国籍を取得。作家、映画監督、外交官。著書に『自由の大地』など。80年没。




    《評》慶応大学名誉教授


    堀 茂樹

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著者プロフィール

出生名、ロマン・カツェフ。
フランスの小説家、映画監督、外交官。
1914年、ロシア帝国領ヴィリア(現在のリトアニア共和国ヴィリニュス)に生まれ、
1980年、パリの自宅で自殺。
1935年、フランス国籍を取得。第二次世界大戦では空軍に参加し、対独戦に従事。
戦後は外交官として各国を転任しつつ、戦後フランスを代表する小説家として活躍する。
主な作品に、
『白い嘘』(1944)、
『自由の大地』(1956、ゴンクール賞受賞)、
『夜明けの約束』(1960/1980、小社刊)
『白い犬』(1970)、
『これからの一生』(エミール・アジャール名義、1975、ゴンクール賞受賞)、
『ソロモン王の苦悩』(エミール・アジャール名義、1979)がある。
自作の短篇小説を原作にした映画『ペルーの鳥』(1965)では、
妻ジーン・セバーグを主演に監督を務めた。

「2020年 『凧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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