新写真論 スマホと顔 (ゲンロン叢書)

著者 :
  • 株式会社ゲンロン
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907188351

作品紹介・あらすじ

もしかしたら写真は人間を必要としなくなるのではないか

写真は激変のまっただ中にある。
「写真」という用語をあらためなければいけないとすら思っている。
これはスマートフォンとSNSによってもたらされた。
その象徴が自撮りだ。−−「はじめに」より

スマートフォンは写真を変えた。
だれもがカメラを持ち歩き、写真家は要らなくなった。
すべての写真がクラウドにアップされ、写真屋も要らなくなった。
写真の増殖にひとの手は要らなくなり、ひとは顔ばかりをシェアするようになった。

自撮りからドローン、ウェアラブルから顔認証、
ラスベガスのテロから香港のデモまで、
写真を変えるあらゆる話題を横断し、工場写真の第一人者がたどり着いた
圧倒的にスリリングな人間=顔=写真論!


カメラという近代のもたらしたブラックボックスについての初の省察。
謎は解けたのか?!
藤森照信(建築家)

すべてがスマホに撮られる時代、
それは顔と指(プライヴェート)がリスクになる世界だった。
我々が薄々感じていたことをコトバにした、
まさに「現在」(いま)の写真論。
恩田陸(作家)

感想・レビュー・書評

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  • 現在の技術や流行を踏まえ、写真について論じる一冊。写真を仕事にしてる人はもちろん、そうでない人も必読の本。

  • 写真について話しているのかな、と軽い気持ちで読みはじめたが、本当に幅広い議題を入れながらスマホが出てきた写真に対する私たちの意識や顔について細かく書かれている。
    写真を撮るプロセスはカメラの後ろに黒い幕を覆った人が立ってファインダー越しの被写体にピント合わせながら調整。写真が撮れたら暗室で現像して写真が完成する。このフローはスマホの影響で全て1つのデバイスに完結できた。さらに撮影者は必ずしもカメラのうしろにいるわけではなく、インカメで被写体と一緒に映ることができる。また出来上がった写真は事前に確認できるようになり、加工なども手軽に出来るようになった。
    少し前にsnowなどのアプリが出てきて最近は自分の顔に対するコンプレックスを修正できるようになったが、昔の自画像を書いてもらっていた頃もそのままの顔を嫌がって、少し美化された顔にしていたという事実が面白かった。
    そして最近生まれた子はフィルムや暗室の存在知らないんだろうな…と思ったり、逆にその面倒なプロセスにハマる人も出てきているのも面白い。
    奇奇怪怪明解事典で紹介されていたので読んでみたが、普段手に取らないような内容で良かった。

  • はじめに 写真を通じて「なぜそうするのか」を考える

    スマホと顔

    01 スクリーンショットとパノラマ写真
    02 自撮りの写真論
    03 幽霊化するカメラ
    04 写真はなぜ小さいのか
    05 証明/写真
    06 自撮りを遺影に
    07 妖精の写真と影

    スクリーンショットと撮影者

    08 航空写真と風景
    09 あらゆる写真は自撮りだった
    10 写真の現実味について
    11 カメラを見ながら写真を撮る
    12 撮影行為を溶かすSNS
    13 御真影はスキャンだった

    写真は誰のものか

    14 家族写真のゆくえ
    15 「見る」から「処理」へ
    16 写真を変えた猫
    17 ドローン兵器とSNS
    18 Googleがあなたの思い出を決める
    19 写真から「隔たり」がなくなり、人はネットワーク機器になる
    20 写真は誰のものか

    ファサード

    21 2017年10月1日、ラスベガスにて
    22 香港スキャニング
    23 香港のデモ・顔の欲望とリスク

    おわりに

  • 撮影すると言う行為は無くなっていきそうだな

  • ふむ

  • 論、と言うお堅い感じでは無くエッセイ集に近い。示唆に富んでいて面白い。今の写真とはスマホであり自撮りでありSNSで共有するものという現状を正面からとらえ、多くの話題が語られている。

  • スマホとSNSによって変容した現在進行形の「写真」についての考察。プロカメラマンや写真家と呼ばれるひとたちが撮る以外の写真についての考えが述べられている。そうした写真についての研究は民俗学的でもあり、こういう本を読みたかった、というのはある。また、明治の家族写真、遺影写真が一般家庭まで普及した過程など、歴史的写真についても参考になる。
    現代美術での「写真」を見ていると、素朴に考える「写真」から遠いところにいってしまったと感じる作品に遭遇することがあるが、芸術を離れたところでも遠いところにいってしまったな、という感想。

  • 写真と顔に関する書籍。写真ほぼない。

  • ・スマートフォンとSNSによって、「写真3.0」の段階に至った。
    ・スクープが偶然の産物でしかなくなって、撮影者が尊敬される理由もなくなった。
    ・写真家がやるべきこととは、「その時間、その場所にいる」ということだ。
    ・写真家というか文筆力がすごい。

  • 写真について自分はまだまだ言語化できていないと痛感した。著者は「『写真とは何なのか』を言語化できるのが写真家」と書いている。
    この「挑発」に負けず、まずは自分の分野でさらに深く言語化を進めたい。

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著者プロフィール

写真家/ライター。1972年生まれ。工業地域を遊び場として育つ。
千葉大学工学部卒業後、松下電器株式会社(現Panasonic)に入社。シンクタンク部門に10年間勤めた後、写真家として独立。出版、
イベント主催なども行っている。
著書に『工場萌え』(石井哲との共著、2007年)、『団地の見究』(2008年)、『ショッピングモールから考える』(東浩紀
との共著、2016年)、『立体交差』(2019年)など。
Instagram: @ken_ohyama、Twitter: @sohsai、Facebook: 大山顕(Ken Ohyama)。

「2020年 『新写真論 スマホと顔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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