21世紀アメリカの喜劇人

著者 :
  • スペースシャワーネットワーク
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本棚登録 : 89
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906700486

作品紹介・あらすじ

軽映画をあなたに。90年代以降のアメリカン・コメディのキーパーソンとその作品の楽しみ方を解説する、ファン待望の映画ガイド。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙写真もタイトルも地味でまじめそうで損してるんじゃないかと思うけど、すごくおもしろくて読みごたえがあって、ものすごく勉強になった! 
    観たい映画に付箋貼っていったら付箋だらけに。
    最近のアメリカのコメディ映画の流れとか、知らないことばっかりだった。アダム・サンドラーが帝王だったこと、今はジャド・アパトーが帝王だってこと、サタデーナイトライブの歴史、テレビのコメディのこと、ポスト・ウディ・アレンなクリエイターたち、などなど、とてもためになった。あと、ティーン・コメディ、ロマンティック・コメディについても書いてあるところもよかった。
    最近のコメディ映画のクリエイターたちは、無頼派とか型破りとかじゃなくて、文化系草食系で普通人が多い、っていう傾向にも好感。
    大人になりきれない大人たちが仲間と一緒に楽しく、でも真剣につくってる、っていう感じがしていいな、と。

  • <blockquote>アメリカは他民族・多文化なので”あるある”が通用しない。(P.56)</blockquote>というのはなるほどと思った。日本だと笑いの基本いろはのいぐらいになっているものね、あるあるネタ。笑いもガラパゴスな国なんですなぁ。

    それにしても何故タマフルは特集を組まなかったのか。『文科系の為のヒップホップ入門」といい是非とも長谷川町蔵・宇多丸対談を熱望するのであります。

  • ・映画でどんなジャンルが好きかと聞かれれば、ほぼ迷わずにSFとアクションと答える。コメディーなど、ロマンスもの同様、そんなジャンルもあったっけねえという程度の認識でしかないつもりだった。だが、なぜかこの本に反応してしまった。ベン・スティラーが載っていたから、と言うのと、「アダム・サンドラー」を「ウィリアム・サドラー」と勘違いしたからというのが原因。トロピック・サンダーやキック・アス、そしてジム・キャリーのミニ・コントが大好きな自分は、実はコメディ・ファンなのではないかという気もする。

    ・本書はコメディアン単位で、そのバックグラウンドや出演作品への解説をしている。自分にピンと来るのは上述の通り、ベン・スティラーやジム・キャリーぐらい。でもアメリカでもコメディアンには人気が出るまでの母体としてお笑い番組があり、日本もそれには大きな影響力を受けているということが分かったし、そこで活躍しているプロデューサーや脚本家がいるのは日本と同じ構図ということも分かった。

    ・「躁状態の笑いの裏に、ファンタジックな『エターナル・サンシャイン』で垣間見ることが出来る暗い顔を(ジム)キャリーは持っている。彼は私生活では長年鬱病と戦い続けているのだ。(P56)」 この一文にグッと来てしまった。同時に思ったのは、やはり情報というのはコンテクストだなと。例えばこの情報、wikipediaなんかでサラリと見ただけだったらグッとはこなかっただろう(ちなみに実際には日本語版のwikipediaにはこの情報は載っていない)。

    ・「この作品(トロピック・サンダー)を通じてすっかりスティラーと仲良くなったロバート・ダウニー・ジュニアは『彼こそは現代のチャップリンだ。俺は彼にアカデミー賞を獲らしてあげるために脚本を探している』とインタビューで語っている。(P180)」

    ・そう言えば、この本に触れるまで忘れていたが、かつて小林信彦の「喜劇人に花束を」を読んでいたことを思い出した。実は伊東四朗と植木等も好きなのだ。

    ・本書のことは週刊文春の新刊紹介で知った。

  • 英米のコメディ映画が日本で当たらない昨今。笑いが国境を超えない現実を憂う声もありますが、私は日本の笑いも英米の笑いも両方楽しめて得な気分です。多様性は素敵。
    長谷川町蔵さんと山崎まどかさんの映画評がとても新鮮だったので、二方の映画本が出たら必ず買うようにしています。紹介している映画は、よく被るのですが、何度読んでも幸せなので良し。日本に上陸していない映画も平気で紹介されていています。(ハロルド&クマー見たいぞ!)
    アパトーギャングがきちんと高評価になっていて安心。熊系の、のっそりした面々は見ていて安心するよなあ。

  • 鑑賞映画数も人並みだしアメリカのコメディ界についてとくに詳しくないので内容についてはなんとも言えないけど、

    マニアックなテーマでも、好きなものについて魅力を伝えようと熱く語る姿勢が好きなのですごく楽しめた。

    むしろこれだけ知らない俳優や映画をひっぱりだしても楽しませられるのはすごいのでは。

    いくつか知ってる俳優や映画が登場していて楽しかったので、
    もっとコメディ映画観てればもっと楽しめそうです。
    これから観よっかな。

  • ビデオ世代の批評性 タランティーノ、ウェス・クレイブン

    The Office モキュドラマ

    メル・ブルックス
    ギャグの同時代性 対象である事件や流行風俗をまず正確に描写しておいて、次のカットでその意味合いをズラして笑いを取る

  • アダム・サンドラーがいなかったら、俺が一生懸命にロマンテックコメディを観なかったのかと、思い知らされた本。
    「この15年間ばかし、ハリウッドの帝王はアダム・サンドラーだった。」と言い切る本書にピンときた人、反発を覚える人は一読すると良いと思います。

  • コメディジャンルを系統立ててくれる人はいないので非常に助かる。
    何より観てみるきっかけ作りを与えてくれるのがありがたい。

  • 詳しくないので、拘りなく読めた。
    ここで紹介されてなければ、しょうもない邦題のせいで見てなかったであろう作品も積極的に鑑賞していこうと思う。

  • 半日で読み終わった。映画秘宝系の呪詛やコンプレックスを世の中にまき散らすような語り口ではなく、明るくて嫌味のない文章がよかった。著者の人柄か。現在40代前後くらいの若いコメディアンがどのように世の中に出てきたのかがわかって面白かった。邦題がばかばかしすぎて見てなかった映画にも、傑作がたくさん埋もれていることがわかったので、いろいろ見てみたい。

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著者プロフィール

1968年生まれ。ティーン・ギャング(ツッパリ)全盛時代に、東京のダーティー・サウス、町田市で生まれ育つ。90年代末からライター活動を開始。映画、音楽、文学からゴシップまで、クロスオーバーなジャンルでハスリングし続けている。著書に『インナー・シティ・ブルース』(スペースシャワーネットワーク、2019)、『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社、2017)、『あたしたちの未来はきっと』(タバブックス、2017)、共著に『ヤング・アダルトUSA』(DU BOOKS、2015)ほか。

「2019年 『文化系のためのヒップホップ入門3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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