ねこのき

著者 :
  • クレヨンハウス
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本棚登録 : 89
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906379590

感想・レビュー・書評

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  • 数ある猫の登場するお話の中で、これは特に哲学を感じさせる。
    作者の長田弘さんが、亡くなった猫に捧げたお話だ。

    わたしの愛猫も数年前に亡くなり、茫然自失の日々を過ごすときに、友人にこの本を紹介された。
    繰り返し読むうちに、わたしの心にも「ねこのき」が育った。
    茶色い、一本のゆめのきが。

    詩人でもある長田さんの、最後の一ページは涙なくして読めない。
    「こころという にわにそだつ いっぽんの ゆめのき。
     これが おばあさんの ゆめのき です。
     ねこのき です。」
    花好きなおばあさんが、とても可愛がっていたオレンジ色のねこ。
    そのねこがある日、車にはねられて死んでしまった。
    なきがらを庭に埋めると、めぐる季節とともに芽が出て葉が出てぐんぐん育ち、やがてオレンジ色の実が実り、「はなが いっせいに さきみだれた すばらしいあさ」に、ぽとりとその実が落ちてきたという。
    それが、オレンジ色の猫の実だったと。
    ここが、泣ける。しみじみと泣きながら、わたしは「喪の仕事」をしたのだった。
    長田さんのお話だったら絵を描きたいと頑張った大橋歩さんが、挿絵を担当している。
    四苦八苦したと言われるが、素朴な良い味わいをかもし出している。

    もう会えないと知っていても日々想わずにいられない。
    言い知れぬ哀しみに心が塞ぐ日は、どうか読んでみてね。
    あなたの胸にも、ねこのみが成りますように。

  • 愛猫たらちゃんが亡くなった時に動物病院から届いた絵本が”ねこのき”でした。

    絵本には病院からのメッセージが添えられていました。
    ----------------------------------------------------------------
    タラちゃんのご冥福をお祈り申し上げます。
    タラちゃん、よく頑張りましたね。
    点てきもずーっと通われ、飼主さんご家族の皆様の献身的な看護のたまものでした。
    9才は少し若いですが、でも、この9年の愛情いっぱいの猫生は、きっときっと幸せだったことと思います。
    美人薄命と云われますが、タラちゃんは本当に美しい猫ちゃんでした。
    これからしばらく寂しくなられることと思いますが、タラちゃんとの楽しかった日々を想いお過ごし下さい。
    心よりお悔やみ申し上げます。 

    スタッフ一同 追伸:タラちゃんに会えなくて私達もとても悲しく寂しいです。
    ----------------------------------------------------------------

  • おれんじいろのながいしっぽのねこがいました。
    おれんじいろのながいしっぽのねこははなのすきなおばあさんのねこでした。


    ねこと暮らしたことのある人にオススメしたい絵本です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      長田弘の詩は勿論ですが、エッセイ「ねこに未来はない」はバイブルです。
      長田弘の詩は勿論ですが、エッセイ「ねこに未来はない」はバイブルです。
      2014/02/18
  • お花がいっぱいの家に住んでいるおばあさんが飼ってるオレンジ色のしっぽの長いネコ。淡々と語られていく中で、猫が帰ってこなくて車にひかれて死んでしまいます。唐突で悲しくなりました。最後はまた子猫に生まれ変わって帰ってきたんだね。よかったね。

  • 「ねこのき」タイトルに導かれ手に取った本。
    猫を愛し猫と暮らした事がある人ならこんな木があったらどんなにかいいだろうと思うお話。
    猫は好きだけれどどの子でもいい訳ではないのです。
    縁あって一緒に生きて行く事になった子。もしもう一度生まれ変わって来てくれるのならまた会いたい。猫だってきっとそう思ってる。だから奇跡が起きたのですね。
    ‘ねこのき’からではないにしろいつか私も生まれ変わって来た愛猫に会えますように。


    このお話に出てくる猫は交通事故で亡くなりました。今、猫の死亡原因で一番多いのは交通事故だそうです。猫と暮らしている皆様、出来る事でしたら家の中だけで暮らせるようにしてあげてください。お願いします。

  • 図書館の昨年の訃報のあった方々をしのぶコーナーに長田弘さんの名があり、
    たしか長田弘さんの本で「ねこ」の本があったっけと調べてみて、この本に、あたった。
    思い出したように、新聞の切り抜きを引っ張り出してみたら、気になる本は、実は、この本では無かった。
    こんどは、気になる本のほうを探してみようと思う。
    今月は、この本で、勘弁してくれ。
    この本も良い。
    何だろうか、ほんわかと、じわっとくる、なぜだか。

  • 命、大切。
    悲しいけれど、つながってる。

  • 四分 あらー、どうなるのと心配したけどハッピーエンド。少し不思議なお話。低学年から中学年もいけそう。

  • ぎゃーイヤーやめてー!
    と、思ったけど、夢のあるラストでほんわり。

  • おはなの好きなおばあさんは、オレンジ色のしっぽの長いねこと一緒にくらしていましたが、夜出かけるのが好きなねこはある朝帰らず…。やがて、女の子がみつけてくれたねこの亡き骸を小さな庭に埋めます。季節がめぐるとそこには木が育ち…。“心という庭に育つ一本の夢の木”ラストにむくわれる優しい物語は、詩人長田弘さんが、いなくなった猫に捧げたもの。四苦八苦したという大橋歩さんの絵がまたいいです。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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