夢と失望のスリー・ライオンズ イングランド救済探求の時間旅行

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905349297

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  • スリー・ライオンズは、サッカーのイングランド代表の愛称。サッカーの母国イングランドであるが、国際大会での戦績は、今一つ奮わない。ワールドカップ(W杯)では優勝が一度あるが、それは1966年、今から50年以上前のことである。ヨーロッパ選手権(ユーロ)では、優勝経験がないばかりか、決勝進出が一度もなく、一度の準決勝進出が最高成績である。
    筆者のヘンリー・ウィンターは、イングランドの記者であり、熱狂的なイングランド代表のサポーター。50年以上に及ぶイングランドの低迷の理由を特定し解決すべく、色々な人にインタビューし、また、提言を行う。イングランド代表のことだけをテーマとした、550ページ超の大部の書であり、その量と内容と筆者の情熱に圧倒される。

    翻って、我らが日本代表はどうか?
    私は、自分でサッカーをプレイしていた経験があり、サッカーは観ることも好きだった。最初にちゃんと観た国際大会は、1978年のW杯アルゼンチン大会。ケンペスの活躍で、アルゼンチンが初優勝した大会だ、その頃の日本は、サッカーの弱小国。正直、日本がW杯に出場することは、全くイメージ出来なかった。
    日本サッカーのレベルが急激に上がるのは、Jリーグ設立が決まってから。W杯出場を初めてイメージ出来たのは、1994年のアメリカ大会。残念ながら、予選の最終戦のアディショナルタイムにイラクに決められた同点ゴールにより、本大会出場を逃してしまう。いわゆる、「ドーハの悲劇」である。この時の主力選手の一人が、三浦カズ。未だに現役のJリーガーなのは、驚き。
    1998年のフランス大会は、予選を苦戦しながらも、なんとかイランとのプレイオフに進出する。一進一退の試合は、延長後半の岡野のゴールデンゴールにより勝利し、本大会出場を決める。本大会は、3戦全敗であったが、中田ヒデが大会後セリアAに移籍し活躍。日本人でも、ヨーロッパのリーグで通用することを示してくれた。
    2002年は日韓大会。本大会では、初めての勝ち点、初めての勝利、初めての予選リーグ突破などにより、日本中が熱狂した。決勝トーナメントは一回戦でトルコに敗退。
    以降、2006年ドイツ、2010年南ア、2014年ブラジル、2018年ロシアと、いずれの大会も本大会に出場を果たす。このうち、南アの大会、ロシアの大会では決勝トーナメントに進出するも、いずれもトーナメント初戦で敗れてしまう。
    長々と書いたが、日本はW杯には6回連続で出場しており、そのうちの3回は予算リーグ敗退、3回はベスト16止まりという戦績である。
    ということで、実際には、イングランド代表の戦績には全く及ばない。しかし、時に代表監督批判はあるが、選手や日本サッカー協会を含めた日本代表全体に対する大きな批判は、今のところあまりない。我々の世代にとっては、上に書いたように、日本代表の弱い頃を知っていて、今の戦績は、ある意味で期待を上回るものであるからということもあろう。それは、我々の世代だけのことではない。ロシア大会で、最後はベルギーに2対0から逆転されて敗退した時も、ベルギー相手によくやったというのが、日本代表に対してのコンセンサスだったと思う。日本代表に対しての期待レベルは、今のところ、W杯本大会での決勝トーナメント進出なのだと思う。

    とまぁ、代表チームのことを語り始めると止まらなくなることは、イングランドも日本も変わらない。

  • これは最高。
    50年間勝てないイングランド。期待は裏切られ、望んでは落胆に終わる。その原因を探り、勝つためには何が必要なのかを探るルポだ。これが抱腹絶倒ものの語り口で展開される。いかにもイギリスっぽい自虐的でシニカルな筆さばきだ。これってタイガースファンの気質に似てるよなぁ。毎年、何の根拠も無く自信を持って開幕を迎え、「どうしてなんだ」と嘆く秋を迎える。だけど決して見捨てないぞ。

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