- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784905325109
感想・レビュー・書評
-
Brexitなどについては、ブレイディみかこの地べたの視点からのポリティカルレポートを読んでいたせいか私の色眼鏡のせいか、やはりエリートによるエリート目線の見解という印象も。
それよりもオックスフォードでの学生生活についてが興味深い!
日本人は国際ニュースに全然関心がない、海外ではもっと他国の報道が多いという指摘を目にすることがよくあったけど、英国はコモンウェルス(旧植民地領52カ国)とのゆるい紐帯があり移民も多く受け入れているため、彼らを視野に入れたニュース番組を編成し、新聞でもこれらの国々の人々が祖国のニュースをキャッチ出来るようにしていると読んで合点がいった。それとこれとは別としてもちろん日本でももっと国際ニュースに紙面を割いてほしいけれど!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2014年から2年間、イギリスの2つの大学院(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LSE)及びオックスフォード大学)に留学していた現役若手官僚の著者が、シビアな国際情勢の変動下でしたたかに舵取りする英国社会のエートスを分析。イギリスの①「リアリストとしてのセンス」、②「伝統的、集団的、組織的」な「センスの共有方法」の秘密を著者なりに解き明かしている。
本書は、リアルタイムのメールマガジンでの連載をもとにしているが、著者が滞在していた時期の英国は、スコットランド独立投票、総選挙、EU離脱国民投票(Brexit)と非常な激動期であり、非常に臨場感のある内容になっている。
軽快でポップな文章で、留学体験記もののエッセイとしても楽しく読むことができるが、本書には英国社会に対する洞察があふれており、とても学びの多い書であった。著者の鋭い観察眼、学びを得ようとする貪欲さを文章から感じることができた。著者のように、日々よくものを考えて生きたいものである。
率直な議論を引き出す「チャタムハウス・ルール」の話や、イギリスにおいてクローズドでインフォーマルなクラブ内ソサイエティが大きな力を持っており、それがイギリスの活力の源泉でもあるという指摘、オックスフォード大学でも著者の指導教官の「引用とは演出戦略である」という指摘などが、特に興味深かった。 -
イギリスに留学していた友人の橘宏樹さんが留学中に書き溜めた日記を基に、本書を上梓されました。本書の主題を一言で申せば、イギリスからの学びです。
http://naokis.doorblog.jp/archives/diary_in_Britain.html【書評】『現役官僚の滞英日記』その1:イギリスから学ぶ : なおきのブログ
http://naokis.doorblog.jp/archives/Commonwealth_of_Nations.html【書評】『現役官僚の滞英日記』その2:コモン・ウェルスから学ぶ : なおきのブログ
http://naokis.doorblog.jp/archives/kane_kone_chie.html【書評】『現役官僚の滞英日記』その3:カネ・コネ・チエ : なおきのブログ
<目次>
はじめに
第1章 24億人の首都ロンドン
第2章 「先進する国」イギリスの戦術
第3章 エリート再生産システムとしてのオックスフォード
第4章 階層分断とBrexit(EU離脱)の衝撃
第5章 英国エリートの流儀
第6章 日本への提言
おわりに
2018.02.27 読書開始
2018.03.05 朝活読書サロンで紹介する。
2018.03.08 読了
2018.03.08 社内読書部で紹介する。 -
20180830読了。
日本の官僚が、イギリスのLSE、オックスフォードに行って現地で気づいたことを綴ったエッセイ。
ちょうどBrixitの投票が行われてた時期とも重なっており、官僚の目からみた政治判断なども書かれており興味深い。
知らなくて、ほ〜と思った点。
・イギリスはコモンウェルス(旧植民地の52の国・地域)と共同体的なつながりを維持している。経済面や人材供給・文化共有面な点で関係性が強い。
・何かを始める前に計画をしっかりするのではなく「とりあえずやってみよう」的な空気がある。
・イギリスは慣習法であり明文憲法がない。そのため、選挙でも誰に投票権があるのかはその都度決まる。
・イギリスはじめ先進国の一部では、東京はアフリカ等とともに暮らすのが大変な「障壁地」(蒸し暑く英語が通じない)に分類されていて、赴任者には暑い手当がつく。 -
英国という国について殆ど興味がなく、目立たない存在であったがこの著作で改めて英国の存在について認識できた。ユーロ圏でもドイツ・フランスの後塵を拝し、イタリア・スペインと比べ文化・芸術的な派手さもない印象の英国がまさに大英帝国として君臨してきた歴史が脈々と伝承されている象徴としてのオックス・ブリッジのポジションとそこから生み出されていく著者が言うところのコネクションの価値の偉大さを感じることができ、英国への興味が募る作品であった。