デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

著者 :
  • PLANETS/第二次惑星開発委員会
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905325093

作品紹介・あらすじ

いま最も注目の研究者にしてメディアアーティスト、落合陽一の最新作!

十分に発達した計算機群は、自然と見分けがつかない――
デジタルネイチャー、それは落合陽一が提唱する未来像でありマニフェストである。
ポストモダンもシンギュラリティも、この「新しい自然」の一要素にすぎない。否応なく刷新される人間と社会。それは幸福の、経済の、民主政治の再定義をもたらす。新たなるパラダイムはここから始まる……!

感想・レビュー・書評

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  • 自分が出会わない言葉で私たちが生きる世界の実像の根幹を解説していく手法は作者の真骨頂と感じた。私のような凡人の頭では文字を追いかけていくのがやっとで、自分の中にない言葉が宙に浮いたようで、抽象的かつぼんやり理解できたように感じさせられてしまう。まさに異世界に触れたという感覚。何冊かの読書の合間に読むと愉しく読めそう。

  • 初見で理解するのはかなり難解な内容です。3回程読み直してようやく全体像を理解する事ができました。

    本書はタイトルにある通り、デジタルが自然化した先の未来を、東洋、西洋、あるいは近代と相対的して書かれています。日本人が持つ独特な感性「侘び寂び」から語られる思考の拡張性や、ポストシンギュラリティー時代の二項対立の融和(テクノロジーによって障害者という言語自体が消失する)、またイルカのエコロケーション獲得による言語から解放された人類(簡単に言うと、技術によって脳で思考した事が言葉を介さずに相手に伝達可能になる)など興味が惹かれる内容ばかりでした。

    落合さん独特の専門用語が多いため理解するのは難解ですが、無知な言葉を検索しながら読み進めるうちに、落合さんの思考の多くを獲得できたと思います。
    半年掛かっても読む価値はありますので、是非。

  • 『超AI時代の生存戦略』を読んで興味を持ったので借りてきた。こっちは難しめ。こちらもわかりみは多かったが、抽象的すぎる。(2018/9/4)

  • 魔法の世紀から3年経った2018年に執筆された、続編というかアップデート版というか。すでに2020年なので未来館等の仕事を経て落合氏の中では更にアップデートが進んでいるんだろうなと思うとゲンナリする。まじですごい。
    この2冊は基本難しいのだが、なぜか途中で諦めようという気にならず、辛い気持ちになる事なく文字を追い終わり、半分くらいはわかった気になれる。
    とりあえず自分が勉強不足であることを痛感させられるので、意識は高くなる。もう少しディープラーニングとか和風の美意識について知ってから再読したい。

  • 「侘びと寂び」とあるのでもっと人文系の内容を想像したが、AIを含むITの現在到達点を基に近未来のITと人間の関わりや人間社会の近未来像を冷徹に推測した部分が大半となっている。

    「侘びと寂び」は冒頭部分と巻末部分にだけ著されているが、著者の辿ってきた道筋がわかるようで興味深い。

  • デジタルとアナログの境目がなくなるデジタルネイチャー。
    テクノロジーが進歩することによって、人の感覚器で捉えられる解像度よりも、機械の方がより高解像度なものも存在する。音の例を出すとわかりやすいが、人が聴取できる音域は20〜20000Hzであるが、機械がつくりだす音域はもっと広く医療で見られる超音波検査などは3000万〜1億Hzの音波を発している。

    つまり、アナログの方がデジタルよりも解像度が高く鮮明だという定義は当てはまらない。
    ひと昔前であれば、アナログの方がデジタルよりも解像度が高かったけれど、テクノロジーの進歩によってそれが逆転し始めている。
    そのような状況で、今後どうなるかを予想したのがデジタルネイチャーだ。全ての領域においてデジタルの解像度が高くなっているわけではないが、遅かれ早かれいずれ数多くの領域においてデジタルがアナログを上回る時代がやってくる。

    そうなると、機械なのか自然なのか気にしない状態になるはずだと落合陽一さんは言っている。

    今まで全く考えたことのなかった発想なので刺激的で将来に対するワクワク感が大きくなった。

    僕自身は、これからも進歩する技術の中で、人とはなにか?心とは何か?という疑問が生まれ、これに向かってしばらく考えていきたい。

  • 難解で心をへし折られそうになりますが、
    読み進めていく毎に読めるようになります。

    理解度合いはそれぞれのレベルによるでしょうが、
    理解できる箇所だけでも新しい知見が得られます。

    テクノロジー、哲学、アートなど
    多種多様な素養が自然かつ複雑に混じりあって
    それ何色よという感じです。

  • ものすごい量の注釈が物語っているが、専門用語やカタカナ語を多用し一見分かりづらいが、落ち着いて読めば理解できる内容。経済産業とテクノロジーの進化により、人々の生活がどのように変化してきたかの沿革を落合流に解説し、その先の未来を提示する。
    現実とテクノロジーが限りなく境目なしにつながり、まさに「デジタルなネイチャー」な世界になるという。それは単なるIoTということでなく、ホログラムやトランスニューマニズムの延長になる。究極は、人間とは意識であり、それをクラウド化すればあとはロボットやバーチャルが世界を成り立たせるというあり方。
    確実にその方向に向かっているが、果たしてそれは幸せなのか。

  • 次の時代を考える上で読まなくてはならない本。

    サピエンス全史と同時読みしていたら中々シナジーがあって良かったです。

  • "高度に発達したコンピュータは、社会に偏在する段階(ユビキタス)を経て、自然と融合した新しい生態系として地球上を覆い尽くすことになるだろう。本書ではこのヴィジョンを<計数的自然>または<計算機的な自然>あるいは<デジタルネイチャー>と呼ぶ"と注釈される、デジタルネイチャーというタイトル。なかなかに読み解くのに骨の俺た一冊だった。下記の論点が目に止まった/コンピュータによって全体管理や個別最適が行えるシステムが現れたことで、個人を画一化しなくても、多様性が保てるようになりつつある。Artificial Intelligence = AIの本質のひとつ/我々の社会が抱えている最大の格差、それは経済資本の格差ではなく「モチベーション」とそしてその根底をなす「アート的な衝動」を持ちうるかの格差である/一人一人の人間を均等に分割するような平等観は、全体最適化がリソース的に不可能であった時代の「最良の努力」出会ったというだけだ/テクノロジーが人間の欠損を補完しうる社会では、人間のあらゆる差異はパラメーターの問題に帰着するはずだ/個人はこのイノベーション速度に対して、対象分野の絞り込み(ニッチ化)と継続的な学習で追随するしかない。/コンピュータがもたらす全体最適化による問題解決、それは全体主義的ではあるが、誰も不幸にすることはない/全体最適化による全体主義は、全人類の幸福を追求しうる。

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著者プロフィール

メディアアーティスト。1987年生まれ。JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。
筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢美術工芸大学客員教授。
2020年度、2021年度文化庁文化交流使、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを務める。
2017~2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員,デジタル改革関連法案WG構成員などを歴任。

「2023年 『xDiversityという可能性の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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