- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784905158974
作品紹介・あらすじ
「恋愛」についての映画は「人生」についての映画である。
町山智浩がトラウマ級の恋愛映画8本を徹底解剖!
『(500)日のサマー』は、なぜ「ラブストーリーではない」のか?
『マリッジ・ストーリー』は離婚を描いているのに、なぜ『結婚の物語』というタイトルなのか?
『美女と野獣』での野獣の「醜さ」は何のメタファーか?
『愛がなんだ』のヒロインは、なぜ絶対に自分を愛さない男を愛し続けるのか?
町山智浩の恋愛映画教室、ここに開講!
『(500)日のサマー』
『マリッジ・ストーリー』
『美女と野獣』
『愛がなんだ』
『SHAME -シェイム-』
『汚れた血』
『COLD WAR あの歌、2つの心』
『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』
これらの映画の主人公は恋愛を通して、それを超えた向こう側にたどり着きます。それは「他者」です。人は人を恋すること、愛することで、自分以外の人の気持ちをどうしても知りたいと願います。そのためには自分の心も開かねばなりません。それによって今まで知らなかった本当の自分自身を知ります。そして変わります。自分として生きるため。人は自分自身では変わることができません。そのチャンスをくれるのが恋であり、愛なのではないでしょうか。(本文より)
カバーイラスト:高柳カツヤ
感想・レビュー・書評
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未見の映画はものすごく観たくなり、観たことある映画はまた観たくなる、映画評論家・町山智浩さんのシネマトーク。
今回は『トラウマ恋愛映画入門』に続く二冊目の恋愛映画評論集。
面白かった!
町山さんの語り口は話題があっちに飛び、こっちに飛ぶ。
それはまるで、「映画の庭」で、縦横無尽に遊び回る子供(と例えたら、とても失礼かもしれないが)のようで、こちらも目が離せなくなってしまう。
とにかく、読んでいて楽しいです。
この人の頭の中にはどれだけの映画の知識と映画愛が詰まっているのだろう。
あと、監督とかに直接お話を聞けるのは羨ましいな、と思いました。
私にはほとんどの映画は理解できてないのではないか、と感じているので、こういう解説本を読むと、ちょっと恥ずかしくなります。
一筋縄でいかない恋愛映画を楽しみたいかたは是非。
ただ、シーンの細かいところも、ラストシーンまでもネタバレしているので、それが嫌な方は観てからどうぞ。
『(500)日のサマー』
『マリッジ・ストーリー』
『美女と野獣』
『愛がなんだ』
『SHAME‐シェイム‐』
『汚れた血』
『COLD WAR あの歌、2つの心』
『ハーフ・オブ・ノット 面白いのはこれから』
表紙のイラストの女の子は『(500)日のサマー』のヒロインのサマーちゃんかな。映画同様魅力的。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ものすごくおもしろくて一気読み!
紹介されている映画は8本(500日のサマー、マリッジ・ストーリー、美女と野獣、愛がなんだ、SHAME、COLD WAR、ハーフ・オブ・イット面白いのはこれから。わたしは見たことあるのが3本。サマー、マリッジ、ハーフオブイット)、語り口調でストーリーも細かく説明されていてなんだか映画そのものを見たような気になる。関連するさまざまな映画や、監督や役者の実生活の話も、次々芋づる式に語られていってすごく楽しい。これはこの映画へのオマージュ、とか、ここからの引用、とか、こういう歴史があって、とかいう知識は、へえーと思うことばかりでいちいちためになるし、町山さんの解釈にもいろいろ考えさせられる。
とりあえず、「500日のサマー」をもう一度見て、あと、「愛はなんだ」は角田光代の小説を読んでみたいと思った。
そして、なんだか、なにより心に響いたのは、はじめに、の町山さんの言葉。(帯にもある)
「これらの映画の主人公は恋愛を通して、それを超えた向こう側にたどり着きます。それは「他者」です。人は人を恋すること、愛することで、自分以外の人の気持ちをどうしても知りたいと願います。そのためには自分の心も開かねばなりません。それによって、今まで知らなかった本当の自分自身を知ります。そして変わります。自分として生きるため。
人は自分自身では変わることはできません。そのチャンスをくれるのが恋であり、愛なのではないでしょうか。」
……すばらしい。 -
人を好きになるということは、他者を知ることであり、自分を知ること。恋愛のゴールは誰かと結ばれることだけではなく、自分の人生を変えることだったりもする。『(500)日のサマー』『マリッジ・ストーリー』『愛はなんだ』『ハーフ・オブ・イット』他。
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自分は自分の心の扉を開いてこなかったんだなと思いました。
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一本目の「(500日の)サマー」からしてものすごい解説。確かに引用やパロディがふんだんに出てくる種類の映画ではあるかその孫引きやシーンごとのオマージュなどがむちゃくちゃ細かく解説されている。
また「SHAME」 などは作風暗くてかなり悲惨な話だと思うが声出して笑いながら読んでしまう。
「愛がなんだ」「マリッジストーリー」「ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから」未見。見てから読む主義。また最初から見るっていう羽目になるが。
ようやく全部表題作品見終わったものの、今回は表題作というよりもあちらこちらに飛んでいく別の作品紹介の方が実はよっぽど熱がこもった評論になっていたりする。「美女と野獣」なんてディズニー版ではなくジャンコクトー版の方がよっぽどページが割かれている。
でも町山さんが口にする映画はまずはどの作品も、けなしてる映画でさえも、面白さと興味深さのアベレージは確実にキープしている。信頼できるのだ。