地平線の彼方から: 人と大地のドキュメント

著者 :
  • クレヴィス
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本棚登録 : 30
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904845585

作品紹介・あらすじ

サハラ砂漠からアンデス高地まで、地球上の荒々しい自然の中で生き抜く人々に魅せられた記録。40余年にわたるドキュメントより代表作から最新作まで、写真96年、エッセイ28編収録。

感想・レビュー・書評

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  • 3、40年前などから写真を撮った場所へ再び赴いての写真エッセイ、世界各地の民族の深い深い日常が垣間見れた。
    内戦などで立ち入れない地域や、かつて交流を深めた人々の行方がわからないなどがあったとか・・・切なくなったが素晴らしい写真でした。

  • 写真家の野町和嘉氏がサハラ砂漠に魅せられてヨーロッパで購入したランクルを持ち込んだ若かりし頃の写真&エッセイから、近年の旅と写真まで、さまざまな時代、さまざまな土地について語り写した一冊だ。

    あとがきの言葉にまさに総括されているのだけれど、誰もが手軽に情報を得られるようになり、高機能のカメラで「それなり」の写真を撮れる時代、「秘境」に会社員が有給休暇を利用してパッケージツアーで訪れられる時代に、写真家の存在意義とはなんなのだろうと考えさせられる。
    そして野町氏が述べているように「見てきた」ことの強さを感じる。

    たとえばチベットが近代化することに対して氏は警鐘を鳴らすような文言を連ねる。
    現地で暮らす人々にとって何が幸福かはわからないのではないか、なんて自分は思ってしまうけれど、実際に現地に行って見ていない人間(自分)には反論する力がない、と思う。
    それだけ、「行って、見て、体験する」ことの力を感じた一冊だった。

    印象的だったのが、スーダンの遊牧民族を訪れたときのエピソードだ。
    内戦などの混乱を経て32年間という歳月をあけて再び訪れた氏が、32年前に撮影した写真を見せても、その写真に写っている一人も生存者を確認できなかった、という事実。
    何度も足を運び、体験し、見てきた人だから書ける「現実」だと思う。

  • ドキュメンタリー写真家・野町和嘉の40余年のキャリアの代表作から最新作までの96点の写真に、28篇のエッセイを加えた作品。野町氏は土門拳賞、芸術選奨新人賞、紫綬褒章(2009年)などを受賞している。
    私は、たまたま本屋で本書を手に取るまで、不覚にも野町氏を知らなかったが、その写真のクオリティの高さ・美しさに驚いた。
    野町氏のカバーする場所は、アフリカの乾燥地帯、アラビア半島、チベット、アンデス、ガンジス川等で、テーマは、そこに生きる人々の豊饒な民族文化と多様な宗教である。
    本書には、サハラ砂漠とそこで何百年に亘って変わらぬ生活を送る民族とキャラバン、エチオピアの高原に残る原始キリスト教の世界、16億ムスリムの中心メッカの百万人による夜を徹したライラトル・カドルの礼拝、平均標高4,500mの高地チベットの聖域巡礼、ガンジス川のインド最大の沐浴祭クンブ・メーラ、標高5,000mの谷あいの教会で行われるアンデス最大の巡礼コイユリーテ等の、息を呑むような数々の写真が収められている。中でも、異教徒禁断の地メッカ(とメディナ)の作品は、野町氏の高い技術を信頼し「写真集を作りたいので撮影を依頼したい」という見知らぬムスリムからの要請に基づき、自らムスリムに改宗して撮影した、希少かつ驚くべきスケールの作品である。
    エッセイは、写真の背景を淡々と綴っており、写真の理解を助けるものとなっている。
    野町氏の作品に手軽に触れられる、ベスト作品集とも言える素晴らしい一冊である。
    (2015年8月了)

  • 心惹かれる風景、そこで生活する人々のたくましさ。

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著者プロフィール

野町 和嘉(のまち かずよし)
1946年生まれ。サハラ砂漠などアフリカの乾燥地帯、中国、チベット、サウジアラビア、アンデスなどの撮影に取り組み、国内外で高く評価され、米国報道写真家協会年度賞銀賞、土門拳賞、芸術選奨文部大臣新人賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞、藤本四八写真文化賞など受賞多数。2009年、紫綬褒章受章。

「2022年 『JTBのカレンダー 世界遺産 野町和嘉 2023 壁掛け 風景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野町和嘉の作品

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