ドキュメント・コミュニケーションの全体観 上巻 原則と手順
- コンテンツ・ファクトリー (2010年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904256053
感想・レビュー・書評
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20190407 再読
いわゆる「神本」です。「全ビジネスマン必読書」だと思います。私は経営コンサルタントとして様々な企業にお邪魔していますが、分かりづらいドキュメントが横行しており、多大なコミュニケーションロスを目の当たりにしています。その問題の本質・解決策が、すべてこの本に書かれています。
私のような外部から来たコンサルは「分かりやすさ」「(第三者的な)率直さ」だけで重宝されます。シメシメと思いつつも、たったそれで価値提供できてしまう日本のトップ企業ってどうなのよとも思います。問題なのは、その企業の人たちが「問題を全く自覚していない」ことです。分かりにくいドキュメントを前にして、真面目な顔であーだこーだと長々と不毛な時間を過ごし、結果として労働が長時間化して「仕事」した気になってしまう。個人的には、働き方改革の文脈で最も効果が高い施策は、ドキュメントコミュニケーションの推進だと思っています。Digitalizationの前にやることあるでしょって思う。
本書のおすすめポイントは下記3点。
①読みやすい(ロジカルな構成、余白が多い)
②痛快(ここまで言い切れるのは流石としか言いようがない)
③分かりやすい(定義が明確、具体例が豊富)
特に③で、名著「ロジカルシンキング」の考え方と紐づけた上で、経験を踏まえて独自解釈を付け加えているところが素晴らしい。解説型=空・雨・傘ストーリー、並列型=Becauseストーリーという部分ですね。完全に腹落ちしました。
読もうか悩んでる人はぜひ読んでください。3,000円が安いと思える内容ですよ。
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■原則
・3つの原則
①解・動・早
②問題解決(Trounle, Problem, Potential Risk, Improvement Opportunity, Them)
③スタンドアローン
■手順1: ストーリーづくり / Develop narrative
① 空・雨・傘ストーリー(解説型)、Becauseストーリー(並列型)
② ピラミッド構造で、Why so?を補強
③ HTDを忘れずに(WTD空・雨・傘+HTD)
一つの傘から複数のHTDが考えらえれる。初めからすべて考えると頭がパンクする。序盤:最もベターなHTDを1つだけ考える、中盤:WTDストーリーが固まった段階でHTDを見直す、終盤:HTDが必要な理由付けを簡単に明示
■手順2: 構成検討 / Create storyboard
①ストーリーに沿って構成する
例)
1章 空 課題
2章 雨 課題発生のメカニズム
3章 傘 課題解決のためのアプローチ
4章 HTD コンサルティングの進め方
②ストーリーをベースに「ページ組み」をつくる
・テキストページ(主役)と図表ページ(脇役)
・テキストページと対応するように、図表ページを後に添える
・1スライド1メッセージにすると、差し替えがしやすい
③ストーリーを「仮テキストページ」に書き下ろす
④メッセージに合わせて「仮図表ページ」をつくる
・仮図表ページは2ステップでつくる(テキストページからメッセージ書き出し⇒メッセージにフィットする図表を考える)
・パートごとの図表イメージ
空: 事実ベース
雨: 論理・概念説明
傘: アクション解説
HTD: 実行促進
■手順3: 図表つくりこみ / Create slides
①ロジカル・ビジュアルに作り込む
<ロジカルな図表>
・メッセージに過不足なし
・ページ内の論理性(直読、論拠並列、三段論法)
・配置・配列に規則性がある
<ビジュアルな図表>
・シンプル
・イメージフィット
・アイキャッチ
②パートごとに異なるアプローチを使う
③フィードバックLoopでもれなく修正する
④各パートは重ねて進める
1つ1つは負け戦。4つ重ねてこそ勝ち目が出てくる
■手順4: 全体調整 / Finalize slides
①機能チューニング
②文章チューニング
③図表チューニング詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【星:4.5】
良いビジネス資料(提案書など)の作り方的な本。
この内容の本としては初めてなのだが、ここまで体系的かつ分かりやすく書かれたものはおそらくないだろうし、今後もそうは出てこないと思う。
それぐらいよくできている。
ビジネス資料の作成目的は「問題解決」が基本で、問題解決のフレームワークといえば「空・雨・傘」、という基本コンセプトを中心に置いた上で説明が展開されており頭に入りやすい。
また、資料作成という観点から問題解決方法の深掘りも図れて一石二鳥である。
なお上記のコンセプトで書かれているので、同シリーズの「問題解決の全体観」を先に読んでおくことをオススメする。 -
良書。ドキュメントがわかりにくいために、膨大なコストが費やされていることがまず、述べられている。
(1)正しく伝える
(2)アクションを促す
ために、「全体感アプローチ」という方法論を展開しているが本書です。
上巻・下巻を通じて、目次は以下です。
上巻 原則と手順
序章 ドキュメントの大問題とその解決策
Part1 Principle 3つの原則を守れ
原則1 「解・動・早」
原則2 「問題解決コミュニケーション」
原則3 「スタンド・アローン」
Part2 Process 勝ちにつながる手順に従え
手順1 「ストーリーづくり」
手順2 「構成検討」
手順3 「図表ページ造り込み」
手順4 「全体調整」
下巻 技法と試合運び
Part3 Art 実戦技法で質とスピードを両立させよ
技法1 ストーリーの捌き方
技法2 ピラミッド構造の組み方
技法3 文章表現の磨き方
技法4 図表の描き方
技法5 演出の加え方
Part4 Tactics うまい試合運びで効率・効果を上げよ
試合運び1 「個人戦」の戦い方
試合運び2 「団体戦」の戦い方 -
企画書、提案書など、社内のドキュメント作成の技法をわかりやすくキャッチーな表現でまとめた本。
「空・雨・傘ストーリー」とか「スタンド・アローン」とか、言葉の作り方が巧く、頭に残りやすい。
読んでいて、マッキンゼーっぽいなと思って、著者紹介を見たら、やっぱり元マッキンゼーだった。 -
すぐ読めて、一生使える(かも)。
解動早
ストーリーがすべて
四段論法(空雨傘HTD)
ストーリー仮作図仮完成
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最初は読みにくかったが、途中からかなり頭が整理され、資料作りのポイントとフレームワークが構築された。
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資料作りの目的は、相手に動いてもらうこと。
「相手に動いてもらうこと」について突き詰めた1冊。
・「解っていただく・動いていただく・できるだけ早く」のために資料を作れ
・動いた結果、問題解決に繋がる、ということがわかるストーリーで資料を書くことが重要 -
空雨傘まではよくあるが、HTDまで丁寧に説明してあることで、まさに全体観を掴むことができる