- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908960
作品紹介・あらすじ
えんえんと、えんえんと、えんえんと、
訊(き)く。纏(まと)める。
下準備、節度などの基本から依頼の仕方、聞き方などの技術までを網羅。
その上で、「インタビューにはなにができるか」という可能性を探る。
インタビューとはなにか。
インタビューになにができるか。
インタビューをし続けていると、人は「誰」になるのか?
インタビューとはなにか。この問いを出発点に、著者は途方もない旅に出る。「道具」としての便利さ、使い方を懇切丁寧に伝えたあと、新たな問いを自らに課す。−−その道具を使い続けると、世界や社会がどのように見えてくるのか。「帰ってこられない」危険を感じつつ、「捏造や支配」が横行する現代において、インタビューだけが果たせる役割を見出していく。「植物的」とも言えるスタイルで綴られた異作ノンフィクション、ここに誕生。
感想・レビュー・書評
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まるでプルーストのように、歩きながら立ち止まりながら、ぐるぐると巡ってゆく。
たしかなことなどなにもないのかもしれない。
だからこそ、聞くことのなかになにかがあるのかもしれない。
ひとつの答えがあるかのような、型にはまった職業的なインタビューやライティングは嫌だなあと思ったり、インタビューは好きだけれどその事を仕事にできるのか?と考えていたときによんだ。
取材者になるかどうかということは、どういう生き方をするか、ということを選ぶことなんだと思えた。
人生は短い。だけど、本当に大切なことは時間をかけて、えんえんとやっていくなかで、微かに手触りを感じられるかどうか、ぐらいのことなのかもしれない。
何度も読み返したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今の私には半分も理解できていない、しかしとても共感する部分、自分の血肉としたい言葉があった。時を置いて何度も読みたい。
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インタビューは人と人が出会うことの意味が凝縮された空間だと思った。
量産型の答えではなく取材対象者の本音を引き出すには、インタビュアーも本音でぶつかっていくことが必要。
一文が長く、着地点の見えづらい文章だった。でも、それによって著者の頭の中を覗かせてもらった感覚なる。 -
”
<キーフレーズ>
<きっかけ>
山田ズーニーさんと木村俊介さんの対談記事を読んで。” -
インタビューというものについて、
深く考えたことがなかったので、
よいきっかけにはなった。
誰にもできそうなことだと
軽く見られがちなその“弱さ”こそが、
インタビュアーにとっては重要だという見解が、
興味深いと思った。 -
読むというより、こちらがインタビュアーになり、著者の語りを通して内面を受け止めているような感覚。
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人に直に会って話を訊きその内容を文章でまとめるために必要なことが作者の多くの実体験に基づいてまとめられた本。
前半はインタビューのメソッド、
後半はインタビューの意味。後半がおもしろかった。
結局、こちらの根本思想は伝わる(バレる)ってこと。話を訊くときもそれをまとめて伝えるときも。だから正直に丁寧に長い時間軸(同じ事実も経年で解釈は変わる)でやっていくしかない(〆切や求められる結果との折り合いのつけかたはあるにせよ)。自販機でモノを買うように自分が欲しい結論を相手から奪っていたら、わざとらしさや嘘臭さや自分スゴイから逃れられなくなるから。
本当の中の嘘だけでなく嘘の中の本当や本当の中の本当に気づけるようになるのは大変。でも大事なのは、それを評価することではなく、さらにその先、話の後ろや間にあるおもいをわかって伝えられること。インタビューって深い。 -
インタビューを専門に行う木村俊介さんによる、『インタビュー』を読んだ。インタビューという営為に内在する意味を、自らのこれまでの経験を思索しながらたどっていく。『仕事論』や『物語論』を引きつつ、相対化ではなく絶対化に結論を導いていく。
いまの世の中において、広告や虚飾の度合いが少ない言葉に出会えるだけで、それこそが貴重な体験のうちのひとつと捉えられもすると私は思う。p146