- Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903619637
感想・レビュー・書評
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知られざる コムナルカ(ソ連時代の都会の共同アパート)での実態。仕事も世代も異なる人々の日々繰り広げられる生活を生き生きと描くエッセイ集。作者が画家なため、味のあるスケッチ挿絵付き。日本で翻訳発売が決定して間もなくガガ氏は亡くなったそうです。昔は昔でもそんなに昔ってほどでも無いのにロシアの過酷な暮らしぶりが切なかったな。謀らずも一冊前に読んだ『カチューシャ』がロシア絡みだったので、8号室感慨深く読めました!
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ロシア革命後、都市部の労働者のために設立された共同アパートがコムナルカ。本書はコムナルカでの暮らしぶりを知ることができる興味深いエッセイ。画家でもある著者はそこで約二十年暮らした時期を「おそらく一番つらく悲しかった日々」と振りかえる。けれども個性豊かな住民たちは、挿絵とともに明るいユーモアをこめて描写され、日常のひとこまから大事件まで陰鬱さからまぬがれている。ままならない人生に翻弄されながらも、強かに生き抜く人々はどこかすがすがしい。とりあえず、富める時も貧しき時も、喜びの時も悲しみの時も、ウォッカで乾杯。
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「俺の職歴 ゾーシチェンコ作品集」の絵を描いていたガガさんが、こんな文章を書いていたとは。
コムナルカに身を寄せ合って暮らしていた人たちが、小さなエピソードで活き活きと浮かび上がってくる。こんなおばあさんいるよね〜、と、隣人のように思えてくる。
台所やトイレが共同の貧しい暮らしや、お風呂屋さんの様子は、日本も何十年か前にはそうだったはずで、どこか既視感のようなものも感じられる。
でも、誰かが書き留めなければ、どんどん変わり忘れられていくんだよね。
「かもめ」もよかったな。 -
画家のガガさんことゲオルギイ・コヴェンチュークが思いがけず昨年世を去っていた。芸術家の血筋としてはとても恵まれた血筋で、叩き上げの人の苦労はわからないかも、などと思っていたが、こちらはソ連時代のレニングラードの共同住宅住まいを綴ったエッセイで、これまで『ガガです、ガカの』で読んできた楽天主義満載の天才アーティストという印象とは違った面が見えてくる。
というのはコムナルカ(共同住宅)に暮らす人々の人生は、下町のお節介と人情みたいなハートウォーミングな話題に終始するほど甘くはない、いやむしろ予想以上に過酷だという読後感を持ったからだ。
何より、あの時代は過ぎ去り、当時同じコムナルカに住んでいた人々は殆どが故人である。作者のガガさんさえ、もういらっしゃらない。
『私のモスクワ 心の記録』だと当時の生活は古き良きソ連の回顧として語られるが、こちらはもっとずっと苦い味が残る。