大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

  • 海と月社
4.38
  • (108)
  • (60)
  • (21)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 1164
感想 : 90
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903212142

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 内容としては目新しくはないが王道を征く内容で、
    しっかりと体系的に言語化され、さらにエビデンスも添えられるととても説得力があり、思考のベースになりうる良書だった。

    商談プロセス
    ①予備段階
    ②調査段階
    ③解決能力を示す段階
    ④約束を取り付ける段階

    最も大切なのは②の調査段階。
    調査段階には
    (1) 潜在ニーズ(問題点)を聞き出す「発見の質問」と
    (2) 潜在ニーズを顕在ニーズにする「発展の質問」があり
    (1)には「状況質問(Situation)」「問題質問(Problem)」の2つがあり、
    (2)には「示唆質問(Implication)」と「解決質問(Need-payoff)」の合計4種類を駆使する。
    それぞれの頭文字をとってSPIN営業と呼ぶ。

    ③の解決を示す段階では
    ・特徴
    ・利点
    ・利益
    のそれぞれの違いを認識したうえで商談の種類に応じて柔軟な対応をすることを薦めている。

    ④はいわゆるクロージングだが、従来語られるようなテクニックとしてのクロージングがいかに逆効果なのかを説明したうえで、
    重要なのは②の調査段階で見込み顧客に顕在ニーズを認識してもらい、顕在ニーズに対する自社サービスのメリット(利益)を理解してもらうかが勝負だと説く。

  • 何度でも読み返すべき本だと思う。質問の極意が記されている。ただし、自分でも質問をあらかじめ考えてみたのだけど、実践は相当に難しい。ハマればいいが、とくに示唆質問なんて怖くて未だにできない(笑)

  • 以前受けた研修の内容が本ででていたのに気がつきました。日本語でかかれたSPINで内容もわかりやすかった。こういう手法もあるとの気づきが得られる本だとおもいます。
    パイプラインや、
    セールスプラニング
    カウンセラーセールス
    などと組み合わせて、アカウントを攻める定跡のひとつかと。

  • SPIN営業術
    ・小口顧客の営業と大口顧客の営業は根本的に異なる。
    ・大口顧客の場合、基本的に相対担当者が意思決定者ではなく、営業担当者がいない場所で意思決定がなされる。そのため、自分の相対担当者が意思決定者にプレゼンできるように、自社の商材の魅力を面談の際に、自分の口で語らせるデモンストレーションを行うことが有効。
    ・自社の商材の魅力を、目の前の相対担当者が上司に説明できるように、促していくのがS(Situation)P(Problem)I(Implication)N(Need-Payoff)Questionなのである。
    ・それぞれのタイミングに合わせて、質問を使い分ける必要がある。特に重要なのはIの示唆質問である。
    ・顧客が現状の商品や現状の制度の問題点を、自然な形で自分の口から語らせるような質問が示唆質問であり、「現在の制度や商品ですと〇〇ということは問題にはならないのでしょうか」という形で問いかける。
    ・顧客は、商品を購入するコストよりも購入することで得られるメリット(=購入することで解消されるデメリット)が上回れば、購入する。
    ・綿密な下準備の元、仮説を立てて、状況質問でどこがポイントとなりうるかをその場で探る。そして、示唆質問によって、現在の商品や制度のデメリットを顧客自らの口で語らせる。そのうえで、解決質問(〇〇というものがあったら、その問題は解決されますか?)という形で、解決策を投げかける。そこで、初めて自社の製品の紹介を始める。
    ・上記の流れは、相対担当者が意思決定者に対してのプレゼンにおいて、関係性を変えて、再演されることを見越して、設計されている。この流れが面談時に実現できれば、高確率で社内の稟議が通りやすい。なぜなら、自分自身で論理的に腹落ちしたことは、人に簡単に話せるからでる。
    ・このような営業手法や、小口顧客へのセールスで定石とされた手法に関して、データを使用して再検証しようとする試みや、その試みがどのようになされたか、という点が面白い。

  • ー おおまかにいって、セールスの規模が大きくなると次のようなことがいえる。

    ●ニーズが育つのに時間がかかる。
    ●複数の意見や考え、影響がニーズに関係してくる。
    ●ニーズは理性的に判断される。感情的だったり非合理的な理由が根底にあっても、たいていは合理的で正当な理由が必要とされる。
    ●買った商品がなんらかのニーズをすべて満たしてくれない場合、その決定を下した人物の責任問題になる可能性が高い。

    私たちは、ニーズを以下のように定義している。「買い手が口にしたことのうち、売り手が解消できる欲求や問題」 ー

    非常に参考になった。
    大型商談はありきたりなテクニックで上手くいくと思うなよ、って話。

  • 営業成績が良いメンバーとそうでないメンバーが混在する中で、どのようにしたら全体の売上を上げることができるのか?その解につながることが書かれていると思います。
    商談では話すより聞くことが大事とはよく言われますが、どんな質問をしたら良いのか?何を達成すればその商談は成功なのか?が具体的に書かれており腹落ちしました。

  • タイトルがなんともテクニック本の胡散臭い感じだったので毛嫌いしていたが、非常にシンプルかつ明快で、内容も大変納得のいくものだった。大型商談と小型商談には大きな違いがあって、世の中のテクニック本は基本的に後者を対象としたもののようだ。その点、良い法人営業に関する書籍を探していたので助かった。顧客に行動を起こさせる、というのが全体の一つ大きなポイントのように思える。

  • 当たり前かもだけど
    小口で効果的なやり方は
    大口商談では逆にマイナスになる事が多々
    特にクロージングだとか(ここは衝撃、でも納得させられた)

    1.予備段階=私(売り手)は何処の誰なのか、何故来たのか、話は聞く価値があるのか、興味付けをし買い手の聞く姿勢をつくる
    2.調査段階=SPINを使う
    3.解決能力を示す段階=利益を語る
    4.約束をとりつける段階=懸念事項をとりあげきり、利益をまとめ、次の約束を取り付ける(小口商談ではクロージングし切る段階かな?)

    SPIN営業は
    状況質問=現状をヒアリング
    問題質問=ニーズの発掘
    示唆質問=問題を深堀りニーズを育てる(深刻化させる)
    解決質問=ニーズに応えられたとしたら?という質問→買い手に解決策で得られる利益を語らせる

    利益は買い手が口にした顕在ニーズに対して応えたもの
    利点は状況に対しての有効点
    特徴は他社商材との違い等

  • 名著。これは何周してでも体に染み込ませなければならない。営業のバイブル。以上。

  •  SPIN営業術に関しては研修を受けたり実践で試したり10年ぐらいはつきあっており、昨今若手社員を指導する機会が増えたこともあり改めて原著(的な位置づけな本)を読むことになりましたが、全く輝きを失うことのないさすがな名著であると感じました。無敗営業や関連書籍にも参考とされておりましたが、「大型商談を成約に導く」とのタイトルにある通り、私のようなアカウント営業が顧客に向き合ってがっちり案件を育てていくスタイルの場合、本当に勉強になる書籍だと感じました。 ある程度の経験で、自分なりの型というか自分なりの手ごたえを感じていたところでありますが、こうして原著に戻って勉強しなおすと、新たな気付きをたくさん得られました。

     具体的は、自分のスキルレベルだと状況質問や問題質問はある程度できてきていて、そこからすぐに解決の方向性、へと導いていきたい(けどがまんしないといけないというところは頭ではわかっている)ところを「示唆質問」の章でしっかり述べてくださいました。(後ほど引用抜粋します)「この質問は少々難しいので数か月練習しないと慣れないかもしれない」との記載もあり、非常に前向きな気持ちになれました。

     『質問法でニーズを発展させること』や『あなたの示す解決策で得られる利益(ベネフィット)を見込み客の口から語らせる』『買いたがっている人にクロージングテクニックはいらない』など、具体的なアドバイスが多数存在するとともに、『上達するには退屈な練習をじっくりと積むしかないのだ』や『細部の重要性』『一つひとつの行動という、些細だけれど重要なことの積み重ねによって、成功がもたらされる』といった、自らがスポーツから学んだこと、そしてコーチとして重要視していることを、営業術の書籍から改めて学ばせてもらったことは、夏休みの読書において改めて活力(エナジー)を得られたと思います。

     ちなみにこの書籍のすごいところは「あなたがいっていることは衝撃的でも型破りでもない。セールスがうまくいくときに私が実践していることを言葉で説明してくれたのです」という手紙が何通も届いたところだと思います。大学で行動心理学を学んだ著者が上記のようなトップセールスパーソンが実施している一連のプロセスをモデル化し、圧倒的な商談の履歴(35,000以上)でモデルを検証しているところだと思います。付録A部分の汗と涙の結晶がすごく伝わります。


     以下の抜粋は、いつもどおりですが自分への備忘(と若手社員へのメッセージ)混在しておりますのでご容赦ください。
    =======
    P36 セールスにも魔法はない。肝心なのは、どれだけ努力するか、どの点に絞って努力するかだ。私たちがしたのは、その焦点をはっきり示すということだった。

    P52 継続と進展の違いを教えて、商談が継続で終わるような目標は立てさせないことです。

    P69 「見込み客に質問する目的は何か」(中略)「商談で質問をする目的は、顧客のニーズを見つけ出し、育てること」

    P90 「発展のための質問」は確実に重要で、「発見のための質問」より商談成功と強く結びついている。

    P116 「示唆質問」は大型商談でとくに効果を発揮する。中でも意思決定者に売り込むときに有効であることが我々の調査で判明している。(中略)
     意思決定者は、目前の問題がどのような影響を及ぼし、どんな結果を引き起こす可能性があるかを見極めねばならない立場にあるのだから。影響を考えるのが彼らの仕事だといってもいい。

    P140 『示唆質問』を準備する際に大切なこと
     ①顧客が抱えていると思われる問題点を書き出す
     ②その問題に関連したほかの問題がないか考える。問題が引き起こす影響に思いをはせる
     ③書き出した関連した問題点について、どんな質問が可能か考える

    (抜粋)よい質問というのは、見込客と話している最中に急に思いつくものではないのだ。

    P146 特定の問題に関連することが多い「示唆質問」と違い、「解決質問」は、一般的なものが多い。
     「どうしてそれが重要なんですか?」
     「それにどういうメリットがあるのですか?」
     「もし〇〇なら、あなたの役にたちますか?」
     「ほかにも、そのことによる利点はありますか?」

    P251 うまくいく商談の終わり方は、現実的な商談の目標に始まる。(中略)とくに「進展」をどのように獲得するかを考えること。
     (中略)商談の調査段階では、SPINを用いた質問法でニーズを発展させることに力をそそぐこと。
     (中略)どれほどの約束をとりつけられるかは、商談の間にどれだけニーズを育てられるかにかかっている。

     (中略)約束をとりつけるときには、次の三段階を踏むこと。
     ①:主な懸念事項をとりあげたかどうかチェックする。
     ②:「利益」をまとめる。 
     ③:現実的な約束を提案する。

      何より大事なのは、話を複雑にしないことである。

    P266 示唆質問:顧客の抱える問題が引き起こす結果や影響について尋ねる質問。成功に終わる商談ではたいてい、この「示唆質問」の頻度が高い。 (中略)「示唆質問」でその問題点の深刻さを際立たせ ⇒ 最後に「解決質問」で見込客自身にあなたの示す解決策で得られる利益を語らせる

    P273 一つひとつの行動という、些細だけれど重要なことの積み重ねによって、成功がもたらされる
    =======

    以上

全90件中 1 - 10件を表示

ニール・ラッカムの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×