高校生からわかる 日本国憲法の論点

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901510332

作品紹介・あらすじ

「憲法は、個人を尊重し権力に歯止めをかけるもの」。立憲主義の視点から、憲法理解のポイントを整理し明快に説く。
 憲法学の常識を知れば、意識が変り、日本が見えてくる。著者は、司法試験界では知らぬ人のいない「伊藤塾」塾長。

感想・レビュー・書評

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  • 2005年刊行の本なので、その後いわゆる「国民投票法」は成立している等やや古い点もあるけれど、日本国憲法の構造や立法趣旨・成立過程・改正の論点などが非常にわかりやすく説明されていました。

    自分は独立国である限り国家は自国民を守る責務があり、その為に自衛的戦力を保持するのは当然だと考えるのだけれど、いわゆる9条護憲論者の意見もよく理解できました。憲法改正ではなく本来ならば立法や行政政策で対応できる問題を政治家が濁すような形で改憲論に持ち込んでいる部分もあるのだとわかりました。
    とても読みやすかったし、説得力のある本でした。

  • 安倍政権下での改憲議論は不安ばかりが募る。そんな思いから手にした。日本国憲法の「そもそも」が分かりやすく整然と説かれていながら、これまでの憲法論争に対する鋭い指摘と見解に、読んでいて自然と身が引き締まる。「この憲法が、自分の国さえ平和なら他国はどうでもいいという、いわゆる「一国平和主義」とはまったく逆の考え方を採用している」という一節に深い感銘を受けた。著者の熱い思いが伝わる素晴らしい一冊。

  • 流石のわかりやすさ 憲法改正が問題になるもどれだけの人が憲法を知っているのか(理解という以前に) そんな時に読む本

  • けっこう長い事生きてきて知らない事が多いことに気付かされる今日この頃です(笑)

    最近、世の中を賑している憲法改正?か改悪?か
    9条は戦争放棄の条文だということぐらいは知ってましたが・・
    96条と言われるともう???です。

    余計なことには好奇心を持ち、広く浅くでもいいからと何でも知りたがり屋の私ですが(笑)
    「憲法」についてはハッキリ言ってまったく考えたこともありませんでした。
    でも興味がないからといって目を背けたり、脇に置いてしまったりしてはいけないこともあるということにやっと気づいた次第です。

    タイトルには「高校生からわかる・・」とありますが、
    解りやすく書かれているという点では高校生から・・といえますが、
    内容はかなり深いところまで掘り下げているように思います。
    大人が読んでも充分読み応えのあるものだと思います。


    第1部 明日は国民投票!その前に
     第1章 なぜいま憲法改正なのか
     第2章 「国民投票」を知っていますか
    第2部 もっと知ろう、憲法のこと
     第3章 「立憲主義」を知っていますか
     第4章 日本国憲法はやわかり
    第3部 自分の頭で考える「憲法改正」
     第5章 改正案を読むヒント
     第6章 「押しつけ論」と九条の問題
     第7章 いまの憲法のどこが不十分か
     第8章 もしも憲法が変わったら
    日本国憲法全文



    「第1部 明日は国民投票!その前に」
    では、まだ一度も行使されたことのない

    20**年、*月**日。日本国憲法改正国民投票の当日。
    という仮定の話から始まります。
    そんな日が来る前に、憲法についてちゃんと知っておこうということでしょう。

    読んでいくと大事なところには下線を自分で引かなくてもいいようにか?(笑)
    文章に点が打ってあります。
    まず最初の点がうってあった文章は・・

    すなわち憲法とは「国民を縛るものではなく、国家権力の行使に歯止めをかけるものである」という近代憲法の大原則を知らない人が多い。

    これを読んで私がグッときたのは憲法の定義よりも、最後の「知らない人が多い」という部分です。読み始める前は無知な自分を恥じていましたが・・「知らない人」多いんだ~と安心とともに我が意を得たりという感じでした。

    それを踏まえた上で丁寧に説明されています。
    例えもすごく解りやすいです。

    憲法と他の法律は向いてる方向が反対だということも初めて知りました。
    憲法を守らなくてはならないのは国民ではなく、国家権力を行使する人々ということです。
    といことを知ると・・
    え?改憲を唱える人は自分たちのための改憲??なんて素朴な疑問がわいてきます。

    また日本の憲法には素晴らしい原則が含まれていることも知りました。
    ・基本的人権の尊重・平和主義・国民主権
    原則ですから過大な解釈や勝手な解釈をする人も出てくることもあるんでしょうね。
    そうならないためにはその原則の根底にあるものを捉えなければいけないと思いました。
    この本はそのための第一歩になりそうです。

    著者は自分の考え方を明確に述べています。
    読後の私の考え方は・・
    「内心」を表明しない自由すなわち「沈黙の自由」を認めた
    憲法第19条にのっとりまして内緒!です。

    ある事象を見た時そのことについての知識が(少しでも)有ると無いとでは全然違う見え方になると思います。
    堅苦しい表題のわりには面白く読めた本でした。
    また初版は2005年ですがまるで今現在の社会情勢をふまえて書かれているかのように感じました。
    おすすめです!

  • 第一刷が2005年で,これは2013年の第十刷~国民投票法ができていない現在,誰を国民とするのか。選挙運動ならぬ国民投票活動はどのように展開されるのか。投票率による縛りを付けるか。9条改正は大きな論点だが,前文に「民族の長い歴史と伝統を受け継ぎ・・・美しい国土や文化的遺産を守り・・・」という部分を入れようとしたり,社会の後輩の原因としての13条の個人の尊重の行き過ぎを抑え公の価値観を強要しようとする。新しい人権としてのプライバシーを明記することで報道の自由は萎縮してしまう。夫婦の協力で家庭を守る義務を付加されれば,個人の尊重は後退する。天皇を元首として位置づけしても内実は変わらないし,参議院を廃止すると衆議院に対する抑止力が失われる。首相公選制は地方で実現しているから国政でそんな危険は犯すべきでない。道州制も憲法が改正されなくては実現できないものではない。憲法裁判所が本当に必要だとは思えない。96条を改正してしまったら,一つの政党の意向だけで改憲手続きが可能になってしまう。党の枠を越えた同意が必要な筈だ。義務については国防の責務や社会的費用を負担する責務,家庭等を保護する責務が挙げられているが,立憲主義の要である個人の尊重は共同体の論理で後退させられてしまう。「必要性」と「許容性」の天秤に掛けた場合,改憲論の争点は殆どない。あるとすれば,平和主義の部分だろうが,それが蟻の一穴になって堤防が決壊される危険もある~残念ながら投票率による縛りは出来なかった。過半数も有効投票の半数以上とされた。積極的に変えようと云う人が多数を占めなければ憲法を改定しなくて良いよね。ず~っと「ねじれ」と云われてきて,捻れているのは困ったことだとマスコミの論調も権力者と同じ事に腹を立ててきたけど,解消されてしまった2013年7月,歯止めが利かないぞ。国民投票法も出来たことだし,憲法改正・美しい国日本を声高らかに叫ぶ安倍さんも未だ元気だし,大幅な改訂をして出し直したらどうだろう。議員定数の不均衡で違憲判決が相次ぎ,高校でも道徳教育が求められ,96条改正に焦点が移っているんだから,今こそ出すべきだけど,この聞き慣れない出版社の体力が不足しているのかも知れない。書き直すべきだと云う意見が多くなって,腰を挙げて作り直すかも知れない。まあ,非常に良く出来た本だと思うけど,さて高校生が手を出すだろうか?まあ,中学卒業生なら読めると書いたんじゃ,刺激にならないか! まったく,教科書も政府の解釈改憲が何を目指しているのか書いていないから,教師が話さざるを得なくなるわけで,教師がその立場を使って国民投票活動を行ってはいけないとされているから,いざ国民投票となった時に黙っているしかなくなってしまうのは口惜しい。その時は,この本を読めと云おうか。否,これは明らかに改憲反対派だから紹介することも出来なくなる。困ったなぁ

  • 筆者の思想がどの位置なのかが、この本1冊読んだだけじゃ把握できないけど、言いたいことは明快で分かり易い。なんとなく憲法と言うものを捉えてる程度の人には、深く考える上でとても参考になる本だ。改めてじっくり読みたい。

  • 憲法の本質がわかる
    法律と憲法の違い
    自由の種類
    憲法の本当の意味
    個人と国家
    知っているようで知らない憲法だと気付かされる

  • 日本国憲法なんて中学の時に習って以来、特に必要に迫られることもないので遠ざかっていた。社会人になり「痛快、憲法学」なる入門書をかなり前に1冊読んだのだが、ほとんど印象に残っていない。
    この本を読んで初めて、憲法というものは法律の上位にある法律で、国民の権利を守るために、国家権力に縛りを入れるための法律であることがわかったし、公共の福祉などの用語の意味もよくわかった。今まで日本国憲法の9条はなんとでも解釈できる曖昧なものなので、国防軍について記述すべきだと思っていたのだが、国家権力への縛りという観点で憲法を見てしまうと、憲法を改正すると取り返しの付かないことになるのではないかという立場も一理あると思えてきた。もし憲法改正案が国会を通過し、国民投票の段階になったらどちらを選んだらよいか分からなくなってきた。(中国への脅威はあるが、自衛隊のまま「実力」を持っておき、憲法改正はしないというのがよいのではないか。う〜ん。これはもっと勉強が必要だ)

  • 読んだら更新します。

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著者プロフィール

弁護士

「2017年 『護憲派による「新九条」論争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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