那覇の市場で古本屋: ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々

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  • ボーダーインク
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784899822417

作品紹介・あらすじ

日本一大きな新刊書店の書店員から日本一狭い古本屋の女店主へ。三畳の帳場から眺める日々の切れはしを綴ったエッセイ集。「ジュンク堂那覇店が開店するときに東京から異動してきた私が、その二年後にひとりで古書店を始めるとは、自分でも思いもしなかったー」。
市場通りは行き交う人も本もおもしろい。三畳の帳場から眺める、日々の切れはしを綴ったエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 確か、ジュンク堂での平積みで見つけた1冊。
    いわゆる“沖縄本”で、沖縄地場の出版社が編んでいます。

    著者の宇田智子さんは元は横浜の大型書店で働いていたそうですが、
    沖縄出店に伴って異動し、何故か古本屋を営むようになりました。

    その経緯がなんとも自然体で描かれていて、しっとりと入ってきました。
    そして、沖縄・出版事情の裏側が見えてくるようで、非常に興味深くもあります。

    なお、この本を読んでしばらくしてから、お世話になった友人が沖縄に転勤に、
    たおやかな本好きといった風や、自身が望んでの沖縄入りといった共通点など。

    自然体で頑張ってほしいなぁ、、とのエールをこめて、
    押しつけ、、もとい一緒に旅立ってもらいました。

    また、その友人さんが、沖縄の読書時間の平均は一番少ないとも言ってまして、
    これが地場での出版社が多いことと矛盾しているようで、非常に気になります。。

    現地調査?という名目で、たまには沖縄本島もぶらついてみたいですね~

    “沖縄時間”という言の葉があるのかはわかりませんが、
    本土とは異なった時間や空間が流れているなとは感じます。

    この辺は、久米島の原風景を持つ佐藤優さんともリンクしそうです。

    なんとなく、東北やアイヌの“まつろわぬ”人々と同じく、
    狭義での“ヤマト”とはまた異なる“エトス”を根底に持っているのかな、とも。

    異国情緒と言うほどには遠くなく、でもどこか違った感性が散りばめられていて、
    沖縄の時間に包まれて、こんな風に本に囲まれるのであれば、幸せだろうなぁ、、なんて。

  • 本が有る場所に行きたい。常に居たいです。書店でも図書館でもなんでもいいのです。
    大きな本屋もいいけど、小さい本屋もまた違った魅力が有ります。
    結構有名な那覇の市場にある書店です。この前読んだ「牧志市場界隈」にも出てきました。
    大手を辞めて自分の小さな本屋さんを経営する。とってもロマンが有り憧れてしまいます。それで生きて行けるなら今すぐ小さな本屋さんになりたいなあ。
    この方はメディアへの露出も多く、著書も有るので本屋経営としてのアドバンテージが有るのが強いです。同じことやろうとしてもあっという間に破綻しそうです。
    沖縄ならではの緩い出版社の話が多いですが面白いですね。最近は大手出版社ではない会社の本が熱いですが、沖縄行ったら見たことない本が沢山見れそうです。

    ちなみに那覇にしばらくいた時、毎日那覇図書館に通っていました。結構立派な図書館でした。

  • ジュンク堂書店に入社し、池袋本店で人文書を担当していた著者。
    沖縄那覇店開店に異動を願い出て沖縄へと旅立つ。
    そこで、沖縄のいろいろな人と出会い、やがて知り合った個人書店からお店を譲り受け、古本屋を始めてしまう。
    沖縄の人たちや、東京のジュンク堂でのつながりが羨ましい。
    まだまだ途上の<市場の古本屋 ウララ>が、どんな出会いと絆を結んでいくのか楽しみです。

  • ほんわかな文章の雰囲気がいい本でした。
    この人、文才もあるかも。

    トナリの業界のわけだがよく知らなかった書店の世界、古書の世界を少し知る。
    そもそも著者の雰囲気がほんわかなのだが、けっこうなやり手なのだと思う。
    やはり「あの著者」と対談させたいか?

    著者の店のあたりは、沖縄に行くたびにさんざん歩いた道。
    沖縄本からはここのところ遠ざかっていたが、
    また行くときにはぜひ寄ってなにか買おう。

  • 開業や経営にあたっての苦労話かと想像していたらそうではなく、市場のひとたちとの何気ない日常が綴られていて、なんともほっこりしました。先日初めて訪沖して、正にウララのあるアーケード街をさまよってきたばかりなので、とても臨場感がありました。惜しむらくは訪沖前に読了できていなかったことですね。読了した上でお店に伺いたかった…!沖縄が県産本の宝庫であるとは知らなかったなあ。

  • 古本屋してみたいな…と、なんとなく思うこともあるけど、やはり大変だなぁ!と率直に思うシーンも描かれてた。でも楽しそう。沖縄という土地柄なのかな?というふれあいとか、地元の本が1番売れるとか、面白い。行動力もありながら、仕事熱心な作者で店主さんに会いに、沖縄行きたくなった。あと、本読まない方が本屋に向いてるとか(何故かは読んでみたらなるほどと思う)、目からウロコだったなぁ。

  • 牧志公設市場前の古本屋「ウララ」の店主によるエッセイ集。
    「ウララ」ができるまでのこと、「ウララ」の周りの優しき人々のことなど。

    一つ一つはばらばらの小さなことがつながって「ウララ」ができたのだと感じる。
    「おもしろいな」「やってみたいな」と思うことには手を伸ばしてみる。
    年を取ってきたせいもあるもかもしれないが、そうしたいと思わせてくれた。

  • 著者は大手書店員として那覇支店の開業に携わったのち、那覇の市場に古書店を開業した人物。この本はそのプロセスを綴った著者の初エッセイ集だ。安定した職を捨てて開業なんて・・・といった切羽詰まった感じはなく、周りの人に助けられ、周りの流れに逆行せず、でも自分のポリシーは持ちつつ、古書店を切り盛りしていく。この本を読んでいると、綿密な計画なんかなくても古書店は営業できちゃうんじゃないだろうかと錯覚しそうだけど、著者の書店員として働いた経験と本に関する知識があってこそなんだと思う。

  • 沖縄で古本屋を始めた著者のエッセイ。

  • 面白かった!沖縄に移住したり古本屋始めたりした理由が緩くて、読んでて楽(ノ´∀`*)
    そうだよねえ、なんとなくだっていいよねえ。
    最後の中国でのイベントの話が一番面白かった。
    ちょっと見てみたいかも。招待してくれた中国の古本屋さん♪(´ε` )

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著者プロフィール

宇田智子(うだ・ともこ)
1980年神奈川県生まれ。2002年にジュンク堂書店に入社、人文書担当。2009年、那覇店開店に伴い異動。2011年7月に退職し、同年11月11日、那覇市の第一牧志公設市場の向かいに「市場の古本屋ウララ」を開店する。著書に『那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』(ボーダーインク)、『市場のことば、本の声』(晶文社)ほか。2014年、第7回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。

「2022年 『増補 本屋になりたい この島の本を売る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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