自らの身は顧みず

著者 :
  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898311288

作品紹介・あらすじ

「日本は素晴らしい国だ」「侵略国家などではない」と言った著者は、航空幕僚長を解任された。しかし、国益を損なうと思ったことについては、日本の立場をきちんと主張しなければならない。国家防衛の基盤は愛国心である。

感想・レビュー・書評

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  • お騒がせ元航空幕僚長の田母神俊雄氏の歴史認識、日本の防衛等についての自論のオンパレード。
    内局(背広組)と制服自衛隊の意思疎通の悪さなど防衛省・自衛隊の内情を伝えてくれていることや、制服自衛官のモチベーションの重要性の指摘や幹部学校への留学生誘致の提案などの日本の防衛政策に与える示唆など、有益な内容がまったくないわけではないが、著者の歴史認識論を中心に独善的かつ自己陶酔的な内容が目立って、読むに堪えなかった。
    歴史認識に関する記述についていうと、南京事件等を否定する根拠が薄弱であること、安易なコミンテルンの陰謀論に陥っていること(なにがしかの工作はあっただろうが、最終的に意思決定したのは当時の日本政府であることを無視)、「日本だけが侵略したわけではない」→「日本は侵略していない」という論理の飛躍、都合の悪い事実の無視など、とても信頼できる内容ではないと感じた。過去にあったことはあったことで認めることと、現在の日本が良い国だと認識することは、決して矛盾しないと思うのだが、著者のような人は、少しでも過去の日本の侵略行為等を認めたら、即、日本は悪い国であり誇りが持てなくなるという短絡的な発想から逃れらないようだ。

  • 航空幕僚長という多忙な職にあった著者が、罷免後間もない時期にこれだけ内容の濃い著作を発表したことに驚かされる。自衛隊は、人材豊富である証左だ。内容自体は、他の有識者の既出文献からの引用が多いのだろうが、自らの経験に基づく力強い主張と熱意には感心させられた。著者には、今後の日本再生の一翼を託したく、今後の更なる活躍を期待したい。

  • 一言で表すと「おしい」。GHQによる公職追放で消えた20万人の穴は左翼思想派で埋め合わせたことが自虐史観を生んだ、とか、日本軍の満州統治開始以降満州の人口は増え続けた(だから日本軍の統治は民主的で平和的だった)、など、真偽は別として面白い理論を展開しているのに、それ以外の派手な文言が台無しにしてる。日本は戦後の思想教育で「軍は必ず暴走する」と植え付けられたと批判しておきながら、「軍は国家の大黒柱」と美化するのは誤解を生む気がする。核所有や武器輸出開放に関しても、「日本人は世界に誇るべき民族」と言うなら、率先して非核や非暴力を貫き続けるところに美徳があるのでは。子孫に誇れるような選択をしなくてはならんと思った。

  • 自分たち一人一人が愛国心を持って日本の未来を考えなければいけない。

  • 右よりな人も左よりな人も読んでみると良いと思う。

  • どこまでが本当なのか、参考文献に興味が出た。
    歴史をきちんと学ばせない理由がよくわからない。

    田母神ワールドに少しはまってみようと思う。
    更迭の本当はなんだったのだろう・・・
    興味深い内容だった。

  • 田母神さん偏ってるな〜。非核三原則は死守すべきと思う。彼には自衛隊改革を本気でやってもらいたい。

  • 田母神閣下に敬礼!

  • テレビに出演していた時の発言が非常に興味深かったので読んでみた。
    繰り返し繰り返し同じことを同じ文言で書いていることを除けば、内容は非常に良いと思う。
    色々批判はあるようだが、私は著者の意見に賛同するところが多かった。

  • 国防のあり方と現実について、ここまでわかりやすく、具体的に記し、問題提起された本はないだろう。

    航空自衛隊のトップである航空幕僚長であった著者は、「日本は侵略国家などではなく、いい国だった」という趣旨の論文を発表し、その結果幕僚長を解任され、自衛官としての職を追われることとなった。この騒動を政局に利用しようと考えた野党は、著者を国会に参考人として召致までして追求をかけ、国民に「田母神は危険人物である」という印象を植え付けた。

    しかし、報道でも、国会での参考人質疑の場でも、論文の内容について、そして著者の本当に意図するところについて触れられることはなかった。

    これら一連の流れを振り返って、著者は「日本国内では冷戦構造が未だ残っている」「日本には自虐史観に基づく言論の自由はあるが、愛国の精神からの言論には自由がない」と指摘する。まったく的を射た見方である。

    著者は一貫して自衛官を「軍人」と呼び、自衛隊を「軍」と定義して論を進める。理想論、机上論ではなく、現場の第一線に身を置き、そのトップにまで上り詰めた人物だからこそ持てる徹底した現実論なのである。その意味で、著者の訴えるメッセージは非常に重みがある。

    もちろん、歴史観や政治思想には多種多様なものがある。著者の持論が国際的に見てすべて正しいと言い切れるものではない。この問題を機に、日本国民は様々な角度から「平和」「戦争」「国際関係」等々について議論を深める必要がある。現在その土壤は、著者も指摘しているようにネットの普及によってすでにできあがりつつある。

    著者はおそらく非常にスピーチの上手な方と見受けられ、メッセージが端的にまとまっているため読みやすい。ただ、強調したい部分をスピーチのように繰り返してしまっているため、本の構成としてはいささかくどく感じられた。この点は残念である。


    余談だが、著者は私の高校の大先輩である。質実剛健、文武両道、開拓者精神の3つをモットーとする我が母校に、まさにこれらを体現するすばらしい先輩がいることは、誇らしいことである。

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著者プロフィール

第29代航空幕僚長

「2015年 『田母神「自衛隊問答」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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