ものづくり道

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  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898310762

感想・レビュー・書評

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  • 西堀さんの本に私が寸評を書くことは僭越であります。なので書きません。ただし、感想は書ける。「ほんとに西堀さんはすごい」。一度でも生の西堀さんに会え、お話を伺えた幸運に感謝します。

  • ものづくり道 タイトルに相違して、思いがけず組織論とリーダー論の本でもあった。
    ドラッカーと共通した考え方か?

    P95 リーダーは「幅役」であれ
    リーダーの役割は目的を設定し目的を分配するものであり、そのリーダーが設定した目的を配分して末端に下ろすのが組織の役割である。

    リーダーというのは偉い人ではなく、あくまでチームの代表者である

    P114 リーダーの心得
    リーダーの条件として、チームの目的を明確にできる人、そして目的を達成するための方針を与えられる人、チーム全員の意欲をそそりたてることのできる人

    最後に本題?の品質管理について
    P211品質管理とは品質を作る工程を管理することである

    まさに慧眼。

  • 色々な方向に議論や内容が発散するが、それはそれで面白い。
    リーダがどうやってチームをまとめていくかを考えた時に、スコット式(=強制、嫌嫌)とアムンセン式(=やる気を出させて自分で考えさせる)の対比など、参考になる部分も多かった。

    日本のものづくり道、のような内容をタイトルから期待していたが、リーダ論の方が印象に残った。

  • 知恵はいつでもどこでも自分次第で生むことができる。紅茶を極寒環境下で接着剤代わりにして雪上車を補修したり氷で輸送パイプとしてみたり、ついつい「できない」を連発したくなるものづくりの現場で勇気をもらえます。
    またリーダーとしてどうあるべきか?責任について考えながらも、仲間には忍法でも良いから目的を果たせば良い、と信じて任せる姿も学ぶべきと感じた所です。

  • 何度聞いても面白い話というのはあります。

    この本に書かれていることは別の本で読んだことがある話が多かったのですがそれでも大変面白く読むことが出来ました。

    ★★★

    本書は、SESSAME例会で、誰かが「SESSAMEで、日本的なものづくりの考え方をまとめてみてはどうだろう?」と発言された時に、別の人が「それならすでにこんな本があるよ」と鞄から取り出して紹介してくださったものです。

    確かに、高度成長時代の日本を牽引した考え方が書かれているので、読み直す価値があると思います。いままで読んだ西堀の本の中でも一番まとまっているように思います。

    ★★★

    さて、西堀は1965年から4年間、日本原子力船開発事業団理事を務めたことでも知られています。

    また、別の書籍からの伝聞ですが、原子力船「むつ」に関して、「原子力船の安全性を疑う者は、火を見ておののく野獣」と発言して反発を買ったという事実もあるようです。
    その後「むつ」は、1974年に太平洋上で開始された出力上昇試験の開始早々に低出力で放射線漏れが発生しました。そして、帰港せざるを得なくなったのだけれども、地元むつ市の市民は放射線漏れを起こした本船の帰港を拒否したため、漂泊したことはご存じの通りです。

    本書で、西堀は、「科学は知的分野の探検である」と述べています。つまり、「科学とは森羅万象における知識を発見すること」です。それに対して技術とは、「科学で得た知識を何らかの目的に結びつけて物を作ること、またはそのシステムを作ること」と定義しています。

    つまり、核分裂反応自体は科学の知識であり、単独では善悪はありません。しかし、それが原子爆弾にという多量殺戮という目的に結びつけば悪の技術となり、エネルギーを効率よく生成するという目的に結びつけば善の技術となるというのです。

    ただし、

      科学というものを利用するのに、人間はよほど賢くあらねばなりませんよ

    とも警告しています。

    技術者が忘れてはならない言葉だと思いました。

  • どうすれば真に価値のある仕事をできるようになるのだろうか。土
    を耕したり、読書をしたりしながら、そんなことを考え続ける週末
    でした。その中で読み返したくなって手にとった本が、今週ご紹介
    する『ものづくり道』です。

    著者の西堀榮三郎氏は、日本の半導体研究の基礎を築いた伝説的な
    技術者であり、日本流品質管理の普及者、原子炉の研究者、ヒマラ
    ヤや南極探検で隊長を務めた探検家という面も持ち合わせた方です。
    既に20年前に他界されているので最近は話題になることはありませ
    んが、自身で「専門のない専門家」と称していたように、一言では
    定義できない人です。昔の日本人には、こういうスケールの大きな
    人が多かったですよね。

    本書は、そんな多彩な著者がご自身の経験の中で培ってきた考え方
    をまとめたものです。タイトルは『ものづくり道』ですが、語られ
    る内容は創造性、チームワーク、リーダーシップ、仕事の価値や目
    的、ものづくりの心構え、等と多岐にわたっています。

    何かとても特別なことが書いてあるというわけではありませんが、
    研究や製造の現場での経験と南極やヒマラヤでの極限の地での経験
    を背景にした言葉の一つ一つには重みがあります。未知の仕事に挑
    戦したり、何かを誰かと価値あるものにまとめあげたりしたいと思
    っている方には、きっと沁み入る言葉ばかりだろうと思うのです。

    本書は1990年に出版された底本を、2004年に新装したものですが、
    残念ながら、既に絶版になっています。こういう名著が数年で絶版
    になってしまうという事実に出版業界の厳しさを感じますが、Ama
    zonで簡単に古本が手に入りますので、是非、読んでみてください。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    非常識な発想がモノになるためには、それをする「馬鹿」といわれ
    る人と、それを育てる「大物」が現れてこなければならないと思う。

    情熱がないところに執念はなく、また、意欲のないところに情熱も
    ない

    この経験から痛感したことは、私たち日本人に創造的なアイデアが
    ないのではなく、そうしたアイデアが出ても、周囲の人とか組織が
    協力して育てることをしようとしないことである。また、大姑、小
    姑がたくさんいて、「ああでもない、こうでもない」といってまぜ
    返して駄目にしてしまい、創造的能力を出す勇気を萎えさせてしま
    うことである。

    今後日本が国際化するに伴って問われてくるのはこの組織の「目的」
    であり、組織としての「哲学」ではなかろうかと思う。(中略)だ
    からこそ、その目的を常日頃明確にする努力を行い、絶えず協調し、
    全員に周知せしめて、徹底させる必要が生じてくるのである。

    価値というのは、まさに理想に向って近づいていくその過程にある
    わけで、その意味からすれば、目的は努力したり協力したり働いた
    りする「価値」の方向づけを示してくれるものである。

    リーダーの役割は目的を設定し目的を分配するものであり、そのリ
    ーダーが設定した目的を配分して末端に下ろすのが組織の役割であ
    る。

    労働には「働く」という活動性と「考える」という創造性と「喜ば
    れる」という社会性の三つの要素があり、これらが互いに影響し合
    い、相互に作用し合ってうまく循環したとき仕事は楽しくなり、も
    っとやりたい、もっとやってやろうという労働への意欲がわいてく
    るのだということが分かる。

    変えられないのは人間の個性で、能力というのはいくらでも伸ばす
    ことができる。

    (チームワークを可能にする条件の)ひとつは「競走心」である。
    これは私の造語で、他の人を負かして勝つ「競争」ではなく、たと
    えばランニングのように、自分が一生懸命に走っていて、自然に勝
    った、あるいは他の人が負けてくれたという「競走」であって、私
    としてはむしろ、「励まし合いの競走」とでも呼びたいような種類
    のものである。

    ちょっと試してみてうまくいかなかったからといっていとも簡単に
    あきらめてしまう態度は、リーダーとしてもっとも慎むべき態度で
    ある。

    「少し知っている」ということは、考えようによってはたいへん恐
    ろしいことである。人間は、どんなことが起こるか予想のつかない
    ときは細心の注意をしてかかるものだが、あれだけ勉強し、マイナ
    ス四十二度の寒さも体験してきていると、つい警戒心が薄らぐので
    ある。

    作った人の魂が安物であれば安物の魂しか入らないし、愛着をもっ
    て作ればそれが製品に込められることになる。つまり、作る人の魅
    力がそのまま品物に現れるのである。

    ※既に絶版になっていますが、Amazonで中古品が入手可能です。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ●[2]編集後記

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    今、住む家は築40年以上たつ木造の貸家です。すきま風が凄いので
    冬は寒いですが、日々のうつろいが感じられる、なかなかに素敵な
    家です。ただし、古さゆえ、何かとトラブルが絶えません。昨日は
    トイレがつまりました。

    詰まってしまい、便器のフチまで上がってくる汚水を見ている瞬間
    というのはどうしようもないですね。手の施しようがない。ただた
    だ恐怖と共に水位の上昇を眺めるしかないのです。

    それで早速、近くのDIYのお店に行きました。「つまりとり」(プラ
    ンジャー)を買うためです。といいつつ、今時、そんなものが売っ
    ているのだろうか、と一抹の不安がよぎりました。昔の家には必ず
    常備されていましたが、今はトイレが詰まるなんてあまり聞きませ
    んものね。

    でも、ありました。しかも、洋風便器でも使いやすいようにと、形
    が進化しているのです。これには驚き、かつ、嬉しくなりました。
    いまだにこういうものをつくっているメーカーがあって、しかも、
    きちんと使い勝手を考えて、進化をさせている。通常ならお椀の形
    をしたゴムの部分が、トランペットの消音器のような形状になって
    いるのですが、こういう進化は、まじめにものづくりをしていない
    と生まれないだろうな、と思わせるものがありました。

    どんな使い心地なのかちょっとわくわくしつつ、でも、溢れそうな
    トイレの水にどきどきしつつ、その「つまりとり」を使ってみまし
    た。最初は何も変化がなかったですが、二回、三回、と繰り返すう
    ち、ずずーっと音をたてて水が引いていきました。

    滞っていたものが流れる瞬間というのは本当に気持ちの良いもので
    すね。勿論、問題が起きないにこしたことはないのですが、どんな
    ものにも日々の澱はたまります。気をつけているつもりでも、確実
    にたまってしまうその澱を、たまりすぎて爆発してしまう前に、す
    っきりと流してあげる。それは時に大変な作業だったりするのです
    が、その結果、とても気持ちのよい気分を味わえるのですから、そ
    のための手間を惜しんではいけないよな、と思うのです。

  • A1

  • リアルな思考術-『ものづくり道』
    http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20100806/1281047490

  • プロジェクトXで知ってからのあこがれの人です。
    日本の製造業が大きく発展し、高品質の製品を生み出すようになった理由がここにある。ホワイトカラー(管理者)とブルーカラー(労働者)が明確に分かれている欧米型のマネジメントと共に知恵を出しあって改善してきた日本型のマネジメントの違い。人間に対する自主性、創造性を信じる著者の揺ぎ無い信念が感じられます。
    当時最先端だったアメリカの管理手法を導入した工場で、田舎の女工さんたちが自主的に工夫を加え、それを上回る生産性をあげた逸話は特に印象に残りました。
    技術はどんどん変わっていきますが、それに携わる人間の本質は変わりません。いつの時代にも大切な視点を与えてくれる本です。

  • むっちゃ良かった。自分でも買おうかと思う。
    今読めてよかった。
    色々、悩んでたことのヒントがあった気がする。
    こんな人になれたらいいなあと思う。

    研究活動で悩んでる大学院生に進めたいなあ、と思った。

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