おいしいもので できている

著者 :
  • リトル・モア
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本棚登録 : 645
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898155387

作品紹介・あらすじ

飲食界随一のエンターテイナー、稲田俊輔(イナダシュンスケ)による初のエッセイ集。

どんな食べ物にも喰いつき、「おいしさ」をトコトン暴きだす天才!
人気店「エリックサウス」創業者、飲食店プロデューサー、自称変態料理人=イナダシュンスケが、ど定番の「おいしいもの」一品ずつを語る。

これを読めば、食事は最高のエンターテインメントになる!
食べ物への偏愛が注ぎ込まれたエッセイ集。レシピ4点付き。


■目次より
幸福の月見うどん / 一九六五年のアルデンテ / サンドイッチの薄さ / 手打ち蕎麦の困惑 / ヤマモトくんのおやつ、キリハラくんのおやつ / ホワイトアスパラガスの所在 / 菜っ葉とお揚げさんのたいたん / カツレツ贔屓 / コンソメスープの誇り / チキンライスの不遇 / 幕の内大作戦 / 史上最高のカツ丼 / ストイック宅配ピザ / 小籠包は十個以上 / カツカレー嫌い / 天ぬきの友情 / 食べるためだけの旅 / ビスクの信念 / お伽噺の醤油ラーメン / ポテトサラダの味 / ポトフとpot-au-feu / 麻婆豆腐の本質 / ミールスの物語 / 誰が為のカレーライス / かっこいいぬた / ミニサラダの永遠 / から揚げ稼業

■収録レシピ
・東海林式チャーシュー「改」とチャーシュー麺
・ミニマルポテトサラダ
・塩漬け豚のpot-au-feu
・ミニマル麻婆豆腐

《全篇書き下ろし》


食いしん坊はめんどうくさい。だから面白い。
「おいしいものには何かがある」と気づかせてくれた、あの店、あの味。

感想・レビュー・書評

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  • 食のこだわりが強いと自負する著者が、幕の内弁当の食べ方やオムライスにおけるオムレツとチキンライスの主従関係など、多くの人が無意識にやり過ごしてしまうような日常の食体験を異常な解像度で語るエッセイ。


    稲田さんのTwitterやラジオなどをそこそこ追っているせいで、ほとんどどこかで聞いたことある内容だったがそれでも面白い。ただ、ですます調は紙媒体になると途端に「遅い」と感じてしまうなぁ。質問箱の回答を読んでもそう思わないのになんでなんだろう。
    あとがき代わりに置かれた、脈々と受け継がれる食いしん坊の系譜のお話が一番面白かった。稲田さんにはぜひいつかカルミネ・アバーテの『海と山のオムレツ』的な自伝的小説を書いてもらいたい。

  • フォローしてる方のお勧めで読んだ。先日行って美味しかったカレーの店のアドバイザーとの事だったので、リアルに美味しいモノを求める気持ちがよく理解できた。が、美味しい物とは一緒に食べる人や場面でそれぞれ違うので大上段に論じられてもなぁ

  • 食エッセイに思い出は付き物。世の中にこんな美味いものがあったとは⁈衝撃的驚きがもたらす感動、お弁当の時だけ入ってた甘い玉子焼き、学生時代お世話になった定食屋のアジフライ、おふくろの味、父親が好んだ酒肴、忘れ難きあの店の一品…。そう、食の個人的体験を郷愁の調べにのせて綴るのが食エッセイだと…定義できる。

    本書も然りで、ただちと趣きが違うのは『アンチテーゼ』を投げかけてくる内容となっていること。いずれも軽妙なユーモラスなタイトルでまぶしてはいるけど、我が物顔で今やトレンドに躍り出たわんぱくサンドに代表される超分厚いサンドイッチに対する一家言、時代の流れと共に風化していったコンソメスープに対する郷愁と嘆息、国民食ポテサラの味付けに関する疑問、脇役扱いの小籠包に向ける憤懣と惜しみない愛情、蕎麦屋好きだけど蕎麦通扱いされ尻こそばゆい感覚を独白…等を豊富な語彙を費やし、往年の北別府よろしく巧みなボールの出し入れを見せられてるような手練れさで、食への偏愛を語る。

    例えば…
    ダシの熱でほどよく温まり、微かに粘度を増しつつも部分的に冷たさを残した卵黄、そのミルキーな香りと濃厚なコクをダシの旨みが下支えし滑らかなうどんにまとわりつく、一口の愉悦。すすり切る直前に初めて感じる、うどんの端に引っかかった無味に近い卵白の滑らかなテクスチャーと咀嚼、後からそれを引き締め始める葱の香味。コンマ数秒の間に濃密なドラマが展開し、卵という食材の魅力があらゆる角度から引き出される立体感は、まさに唯一無二なものです。

    …はたしてこれは何の料理について書かれたものなのか?答えは『月見うどんの卵黄を破ってうどんをすする最初の一口』を実況した下り。さながら古舘伊知郎の実況を聴いてるようで、偏愛を通り越しほとんど変態の域。まぁ、このクセのスゴさが本書の最大の魅力。とはいえ暴論妄論には走らない。確かにそうだよなぁと頷くことしばしば。

    正月休みに食っちゃ寝で増量した方には胃もたれを起こすかもしれませんが、年初にさて何を読もかいな…と思われたる方には、ついついニヤリとするライトな中にエスプリの効いた食エッセイはいかがでしょう…。

  • ぬたの話がよかった。満足したあと、の小籠包とかピザとかも。関西化の話は納得。どっちかというと洋食化のような気もするが。

  • Voicyパーソナリティ芳麗さんの影響で興味を持ち始めたミニマル料理!

    dancyuの特集にもなっていた!!

    噂のエッセイ読みました。
    世界は贈与でできていると似ている、世界は美味しいものでできている、か。

    なるほど

    シンプルおいしいは理想的◎

  • 難解な本と交互に読んで、こちらでほっこりしてバランスを取るのにちょうどよかった。
    バター粉チーズパスタとポテサラを作ってみたくなった。

  •  『ミニマル料理』というレシピ本があって印象的な装丁とユニークなメニュー内容に魅了され、よくそのレシピをもとに料理している。(お気に入りはミニマルしゅうまい)その著者のエッセイがあると知って読んでみた。レシピ本への助走になっているような本で背景を知ることができたし著者のあくなき食への探究心が最高だった。
     冒頭の「はじめに」で著者自身が書いている通り、食への異常なまでの探究心、それは世間で「グルメ」と言われるものとは異なる。読了後、冒頭で言っていることが痛いほどによく分かった。何を、どこで、どういうシチュエーションで、どれだけ食すか。そして味や雰囲気がどう機能するのか。こういったことを考察しまくっていて美味しいかどうかは大きなファクターではない。ここが画期的な食の本だと思う。しかも普段気にもしていない、もしくは言語化していない食にまつわることがエッセイの主題になっている点もポイント。たとえば幕の内弁当の食べる順番、店と家で異なるポテトサラダの味、定食についてくるミニサラダなどから世界を広げていく。飲食で働く方はこういったことを普段話したり考えたりしているのかもしれないが着眼点とそれを伝える文章力がずば抜けているのは間違いない。
     著者がエリックサウスの創始者なのは知っていたけども、具体的にどういう過程でお店ができたのか書かれており興味深かった。(まさか魯珈の店主が元社員だなんて全然知らなくて驚いた。)今ではコンビニで本格的なスパイスカレーを食べられるような素晴らしい時代になったけれども、すべては著者のような食の探求者の地道な積み重ねの上に成り立っていることを強く感じた。エリックサウスのことに限らず様々なプロデュースをしていることもあって一種のマーケティング実践本(唐揚げの威力!)としても読めて、その点も興味深かった。

  • 料理の美味しい食べ方について

  • 食に対する解像度が高い人が、異様な言語化能力で書いたという感じの本だった。「わかるわかる!」と「なるほどなるほど!」を行ったり来たりしながらあっという間に読んでしまった。
    言語化能力が異様なので、「うんざりブースト」「ご飯親和性」「ライスマネージメント」といった、初めて見るけど文脈上完全に意味が理解できる言葉が頻出する。
    ご飯をもりもり食べる人なのも良い。自分が下戸なので、酒のつまみに最高系の話はファンタジーとしての面白さになってしまうので。

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著者プロフィール

南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長。2011年、東京駅八重洲地下街に「エリックサウス」を開店、現在は東京、名古屋、岐阜に計8店舗を構える。近著に『ミニマム料理』(柴田書店)、『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(西東社)。他、料理書から小説まで著書多数、イナダシュンスケ名で発信するTwitterも人気。さまざまな切り口で、食の世界を楽しくざわつかせている。

「2023年 『「エリックサウス」稲田俊輔のおいしい理由。インドカレーのきほん、完全レシピ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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