史上最強の哲学入門 (SUN MAGAZINE MOOK)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896447323

感想・レビュー・書評

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  • 究極の屁理屈って感じで、やっぱり哲学って面白いですね。

    人類が紀元前から追い求める真理。

    32人の哲学者達が考え出した真理に対する答えはまさに千差万別。

    しかし、本書にて時系列に繋がっていく反証からの新たな知見は初心者にも非常にわかりやすく、一層の興味を持つことが出来ました。

    哲学に魅せられる人って、やっぱりどこか変わり者なんでしょうね。


    説明
    内容紹介
    難しそうな学問を、噛み砕いた言葉で、ひたすらわかりやすく解説した本(『哲学的な何か』シリーズ)が大好評の、飲茶氏による書き下ろし哲学ガイド。
    カバーイラストに、『グラップラー刃牙』シリーズで絶大な人気を誇る板垣恵介氏を起用し、「真理」「国家」「神」「存在」といった、哲学の永遠のテーマを、哲学者=知の格闘家たちが、熱く激しい議論を繰り広げた物語として読む。
    図解や写真を多用し、「哲学」ってどんなものか知ってみたい人、今まで、「哲学」に何度も挫折してきた人も、これでハマる哲学入門の決定版。
    著者について
    飲茶(やむちゃ)
    北国生まれ。
    東北大学大学院卒業。
    哲学や科学など、とっつきにくい学問を楽しくわかりやすく解説した本が大好評。
    元は普通のサラリーマンであったが、ある日、道を歩いているときに良いビジネスを思いつき、「そんなときどうする? 勝負だ、勝負するに決まってる!」と叫びながら、突然退社して起業。
    しかし、現実は甘くなく、現在、未曾有の不況に直面して苦戦中。明日はあるか?
    著書に『哲学的な何か、あと科学とか』『哲学的な何か、あと数学とか』。
    著者ブログ:http://blog.yamcha.jp/
    熱烈なバキファン。

  • 難解な哲学を分かりやすい言葉と軽快なテンポで解説してくれる。アリストテレスだ〜、教科書でみたな〜。そんな軽いノリで読める。哲学に少しだけ触れてみたい人におすすめ。

  • 普段小説ばかり読んでいるので違うジャンルに挑戦してみたかったのと、フォロワーさんの面白いレビューに背を押される形で選択。知ってたけどカバーがめちゃくちゃ派手だし、パラっと目を通してみると内容も軽そうだったので、楽しく読書できるか一抹の不安を覚えながら読みはじめたが、全く問題なかった。どちゃくそ面白かった。

    哲学書に手をつけたのはこれが初めて、大学の講義も退屈すぎて聞き流していたので、何が良くて何が悪いかも全く分からないくらいの哲学初心者だが、とにかく「理解しやすかった」、これに尽きる。そしてわずかでも理解できれば、その奥深く広大な魅力を湛えた学問(であることを本書に教わった)に惹かれないはずはなく、つまり本書が格闘漫画「バキ」を模した(模せてるかは疑問)史上最強"強い"論バトルの哲学者紹介形式として奇を衒ったのは、入口として大正解だったというわけ。必殺技とかカードゲームっぽくて地味に面白く、印象にも残りやすい。

    平易に解説しようとするあまり、もしかしたら本来の意味とは違ったものになっているのでは?という不安が頭を掠めたりもしたが、どっちにしろ正解なんて私には分からないので問題なし。聞いたことある名前が大体いつ頃にどんなことをしたのか、具体的な知識として得ることができただけでも価値がある。

    個人的には「真理の『真理』」が一番興味深くて衝撃的だった。だって、紀元前から知識人たちが「絶対的真理」を探求するために脈々と受け継いできた(時には争った)知の積み重ねが、「絶対的真理なんてありません!」なんていう結論に至るなんて、そんなことある、、、?数学も物理もひっくるめて、人間の知が「絶対に理解できない何か」にすでに敗北していたなんて、、、約10年前の本だからまた今ではなにか変わってるかもしれないけど衝撃的すぎた。でも作者が言うように、人間如きでは完全に理解するに遠く及ばないほど、この世界は広く、深く、大きいんだと、安心と同時にワクワクもした。こうなると東洋哲学も気になるので読みます。

    ■真理の「真理」
    ⚫︎絶対的な真理なんかない/プロタゴラス、、、当時の古代ギリシャが民主主義国家であったという衝撃。相対主義で本音と民衆を煙に巻く政治家に、衆愚政治なんて現代そのもの。古代から何も進歩していないのは人間だけでは?
    ⚫︎無知を自覚することが真理への第一歩/ソクラテス
    ⚫︎絶対に疑えない確実なものとは何か?/デカルト
    ⚫︎神も科学も思い込みにすぎない/ヒューム、、、イギリス経験論とか複合概念は本当に「なるほど」なんだけど、2500年前に同じ境地に至ったゴータマ・シッダールタ凄すぎない?
    ⚫︎世界のホントウの姿は知りえません/カント、、、デカルトへの批判からヒュームが牽引するイギリス経験論が生まれ、それを乗り越える真理をカントが見つける、この流れは(本書だけ読むと)すごく綺麗でまさに進化という感じ。
    ⚫︎闘争こそが真理に到達する方法である/ヘーゲル
    ⚫︎個人がそのために死ねるもの、それこそが真理だ/キルケゴール
    ⚫︎僕たちの手で人類を真理に導こうじゃないか/サルトル、、、フランス革命成功の熱気冷めやらぬ時代にヘーゲルの主張は大人気だったし、「人間は自由の刑に処せられている」と主張したサルトルは共産主義革命・学生運動を担う若者たちを大いに感化する結果になったし、哲学は歴史を動かしてきたんだなあ。
    ⚫︎真理はひとつの方向で進むわけじゃない/レヴィ=ストロース
    ⚫︎便利な考えを真理と呼べばいい/デューイ
    ⚫︎到達できない真理を求めるのは不毛だ/デリダ、、、東洋哲学が是としているように、主張がプロタゴラスまで一周。やはり時代はめぐる。
    ⚫︎私と「他者」との関係を成り立たせるもの/レヴィナス

    ■国家の「真理」
    ⚫︎哲学者こそ国家の支配者だ!/プラトン
    ⚫︎国家は腐敗と革命を繰り返す/アリストテレス、、、イルカを哺乳類に分類する観察眼は素晴らしい、古代ギリシャのポテンシャルの高さよ。万学の祖の名に恥じぬ聡明さ。
    ⚫︎国家とは恐怖を利用した安全保障システムである/ホッブズ
    ⚫︎国家の主権者は人民である/ルソー、、、無職で倒錯した性癖の40代がパワーワードすぎる。5人も自分の子供捨ててるのに教育論まで語ってる(しかも教育学の祖とまで言われてる)のもはやコメディ。人間性はクズでも思想と文才が秀でてれば歴史に名を残せる見本。それとは別に、フランス革命後の組織運営が上手く立ち行かなくて、他国の侵略からフランスを救うために颯爽と現れた英雄ナポレオンが、その後皇帝に就いてるの本当に歴史って感じする。
    ⚫︎個人は自分勝手に利益を追求せよ/アダム・スミス
    ⚫︎資本主義は必ず崩壊する経済システムである/マルクス、、、資本主義経済の維持のために働かなければならない私たち(立場の逆転)。「労働の価値を見失った」ニートが現れても、歴史的には少しも不思議ではない、との言にはとても納得。労働の価値を見直す転換期が"今"である。小泉内閣の話題が出てくる辺り時代を感じるけど、「労働の価値」を見直す運動はコロナ禍の今、さらに加速しているように感じる。

    ■神様の「真理」
    ⚫︎神様のことなんか気にしなくていいよ/エピクロス
    ⚫︎汝の隣人を愛せよ/イエス・キリスト、、、ユダヤ人の不幸な歴史から生まれたのが唯一神信仰で、その歴史に報いる形の救世主ではなかったためキリストは処刑された。だが、当時の伝統的な宗教や教義が古臭くなっていたこともあり、シンプルで分かりやすいキリストの教えは、その処刑のインパクトと共に広く西洋に受け入れられるようになる。キリストがユダヤ人に迫害された経緯が今までよく分からなかったんだけど、ようやく腑に落ちた、なるほどね、、、
    ⚫︎人間は神の恩寵なくしては救われない/アウグスティヌス
    ⚫︎神学と哲学、正しいのはどっちか?/トマス・アクィナス、、、信仰を守るために童貞を貫いた話が面白かった。動機はどうあれ、哲学が画期的な学問として持て囃された時代に「理性だけでは説明できない領域がある」ことを見抜いたのは素晴らしい。トマスは「神の領域」としたけれど、それこそが現代哲学でいう「他者」ということか。あと「全能のパラドックス」は言いがかりみたいで面白かった。
    ⚫︎宗教や道徳なんて弱者のルサンチマン/ニーチェ、、、うーん、過激!言いたいことはよく分かるのだが、ユダヤ人の不幸な歴史への恨み・嫉妬が神への信仰や道徳を産み出し、それが人間の生を押し殺している、なんてユダヤ人差別に利用されやすそうな思想。でも騎士的・貴族的価値観と僧侶的・道徳的価値観が本当にキリスト教を契機に逆転したのだとしたら、イエス・キリストは世界を塗り替えた本当にすごい人だということになる(良いか悪いかは別にして)。個人的には「強者こそ善!」みたいな価値観は疲れるからごめん被りたいし、そもそも今は本当に神なき時代なのか?むしろ神は万物に宿るのでは?まあ誰にも何にも強制されず、自分の人生を生きたいように生きることに否やはない。

    ■存在の「真理」
    ⚫︎「存在」は変化する/ヘラクレイトス、、、人類初の哲学者(タレス)が紀元前600年頃に存在していたことが一番の衝撃。古代ギリシャ強い、、、
    ⚫︎「存在」は不変である/パルメニデス
    ⚫︎「存在」は原子でできている/デモクリトス、、、いや、紀元前に思考だけで原子論まで辿り着くの凄すぎない???こんなに発展していた哲学や都市基盤・建設技術を全て奪い取り葬り去ったキリスト教会はほんっっっっとうに許されない、、、
    ⚫︎地上でも天空でも「存在」は同じ法則で動く/ニュートン、、、リンゴの逸話が創作だったという衝撃。
    ⚫︎「存在」するとは知覚することである/バークリー
    ⚫︎あらゆる現象はどこから来るのか?/フッサール
    ⚫︎「存在」とは人間の中で生じるもの/ハイデガー、、、人間は既にあやふやな推測をしながらも「存在」という言葉を使っているのだから、「存在」について知りたければ人間について知るべき。哲学はどうも内に内に向かっていく傾向があるなあ。多分だけど下巻は元々書く気がなかったのでは?
    ⚫︎世界を区別する/ソシュール、、、存在をどのように区別したいか、という価値観の違いこそが言語体系の違いである。目から鱗。つまりこれを踏まえて存在を哲学すると、ある主観にとって区別する価値のないものは存在しないことになる。

  • とっつきにくい印象の哲学だけど、分かりやすくてサクサク読める。歴史的な流れも踏まえつつ、当時の哲学の潮流を説明しているので、広く浅く体型的に学べる。
    具体的な政治判断が、新自由主義という哲学の考えからきているのは驚いた。社会を作っているのは哲学者ということになるのか?それなら、大学の研究費を減らすとか文系科目を減らすのはお門違いじゃないか。

    古代の哲学者でも、現代的な考え方をしている人もいて、驚いた。哲学者が問い続けることで、宗教が崩壊したり、資本主義が生まれたり、と社会を変えてきたんだと分かった。今もまだ完璧な社会ではないから、哲学のように問い続ける必要がある。現代に、過去の哲学の偉人が生きてたら、今の社会をどのように変えるだろう。

    マルクス、ニーチェは中でも衝撃的だった。それは私が現代に生きてて、現代がかかえる問題が、彼らが危惧していたことと重なるから。







  • 良くまとまっていて、かつ、面白い。
    できれば高校生のときに出合いたかった本のひとつだ。そうすれば、ルソー最高なんて思っただろうなwww
    大好きなエピクロスの逸話も、知らなかったことが書かれていたし。

    簡単に紹介すると、哲学の流れが手に取るようにわかる本だ。
    思想の系譜。あるいは地図。

    哲学書が良くわからないけど興味があると言う人は、一度読むと良いんじゃないかと思う。
    決して無駄にはならない。

  • ソクラテス愛してます!無知の知最高です!なんと、間接的にあの覇王アレクサンドロス大王の師匠なんだぜ! アリストテレスの政治体制の唱えも面白い。 1君主制→独裁制 王様が好き勝手やって国がボロボロ 2貴族制→寡頭制 権力争いをやって国がボロボロ 3民主制(今の日本だよ!)→衆愚制 みんなが政治に無関心になって国がボロボロ つまり、今ある政治のやり方は全て、いつかは壊れてしまうものなんだよね。 つまり、壊れない政治をするためにはズバリ、簡単なものだけを決めてしまえばいいんだよ。 例えば、1人を殺してはならない2強制性交及び暴力とかさ、簡単なものを決めて、環境とか、そ言うのを気にせずにやればいいんだよ。そうすれば、壊れないと思うんだよね。ただ、地球が壊れるだけw。だから、壊れない政治か、壊れる地球か、どっちを選ぶことかによって、世界は大きく変わってくるってことだ。

  • 自分が最近、悶々と悩んでいたことを人類はずっと昔から考えていたんだなーって思った。何も考えずパッパと答えを出すだけの思考停止よりかは、真理に対して真っ向勝負するのがいいのか悪いのか…
    良い、悪いの判断基準は何なのか?
    これが哲学だと思われる。

  • 縄文聖地巡礼→その悩みすでに哲学者が答えを出しています→なぜ世界は存在しないのか に続いての哲学的な本。楽しく読めると評判の本書を読んでみた。
    「なぜ世界は、、」は読み終えるのに2カ月以上かかった---それでも読み通せたからだいぶわかりやすかったと思うのだけど---、こちらは2時間でサーっと読了。ホントにサクッとわかりやすく楽しく読める。

    1.真理
    2.国家
    3.神
    4.存在

    について。歴代のツワモノ哲学者たちがどんな説を唱えたかを知れるだけでなく、それぞれが先人たちの説をどのように進化させ、または塗り替えてきたのかという流れがわかるのが面白い。
    2010年の本なので「小泉内閣はアダム・スミス的」とか言っているのだけど、著者が10年後の今の時代をどのように考えてるのか、とかも読みたいと思った。

  • 哲学の本。
    非常にわかりやすい切り口で観点概念を説明するよき本
    かつ、歴史とセットで哲学を学べる名著。

    メモ
    ・プロタゴラス 相対主義
    ・ソクラテス 無知の知と真理への情熱
    ・デカルト 方法的懐疑
    ・ヘーゲル 弁証法
    ・サルトル 人間は自由の刑に処せられている
     だからこそ決断して強く生きていくべき
    ・レヴィ=ストロース 向かう先は一つではない。
    ・西洋では進化するもの、東洋では輪廻するもの。
    ・中世哲学は信仰によって真理に到達、近代哲学は理性によって真理に到達、これを批判的に発展させたものが現代哲学
    ・デューイ プラグマティズム 道具主義 有用性があるものを真理とする
    ・デリダ 読み手中心主義 書き手の意図は無視して解釈されたものを真理とする考え方。わからないものを求めても仕方がない!
    ・レヴィナス 他者論 他社の存在 不愉快で理解不可能であると同時に問いかけが可能な唯一の存在
    ・プラトン イデア 究極の理想の存在
     究極の理想がわかっている優れた人間を頂点に置くべき ホントウを知る人間がいないなら作るべき。アカデメイアの設立 
    ・アリストテレス イデア論を否定。国家は腐敗と革命を繰り返す
    ・ホッブス 国家は人間が互いに共存するためにつくったもの。社会契約説
    ・ルソー 人民主権
    ・マルクス 共産主義
    ・エピクロス 快楽主義

  • https://opac.kokushikan.ac.jp/Main/Book?book_id=TS01510940&q=3&qt=0&qp=0&qv=50&qs=sort_title&qd=0&qn=0

    この本は2016年刊版が電子ブックとしてLibrariE(電子図書館)にも所蔵されています。
    電子ブックを閲覧する場合は以下のURLからアクセスしてください。

    https://web.d-library.jp/kokushikanlic/g0102/libcontentsinfo/?conid=397253

    (LibrariEを利用するにはIDとパスワードを申請する必要があります。
    申請方法は図書館のHPからご確認ください。
    https://www.kokushikan.ac.jp/education/library/librarie.html

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著者プロフィール

東北大学大学院修了。会社経営者。哲学や科学などハードルの高いジャンルの知識を、楽しくわかりやすく解説したブログを立ち上げ人気となる。著書に『史上最強の哲学入門』『14歳からの哲学入門』などがある。

「2020年 『「最強!」のニーチェ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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