「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

著者 :
  • メタモル出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784895958646

作品紹介・あらすじ

インターネット上で医師や専門家の信頼を一身に集める著者が、確かな文献に基づき、緻密かつ明解な文章で、「ワクチンは有害」「がんは治療するな」「酵素で健康になる」などという根拠なしの『ニセ医学』をメッタ斬り。自分や大切な人の健康を守るためにも、いざ病気になったときに危険な治療法や健康法に騙されないためにも、必読の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 良書なのだが、おそらくこの内容でも彼らには届くまい。ニセ医学側の目的は金や一部、間違った善意であり、信者はもう感情的にも勘定的にも引き返せないからだ。

    本人がダメなら、周りの人間が勉強して自分や大切な人を守らなければならない。不安になると怪しげなものにも手を出したくなる、というのは人間の本質であり(自分も経験がある)、ここを突いてくる「ニセ医学」を防ぐのは当人の意志だけでは難しい。

    相手の実名を出して批判する勇気と、自身が匿名で出版をする慎重は矛盾しない。疑似科学によって暴利を得ている輩は、批判者に対して容易に理不尽な牙を剥くからだ。匿名であろうと、出典を明らかにし、内容が優れていれば何の問題も無い。水道橋博士、武田教授等の有名人にもきちんと批判をしており、実に真っ当。

    サイモン・シンの代替医療の批判本と比較して、日本の現状に合わせて事例の項目を多く上げる構成は、現状に対する啓蒙として正解だと思う。本書に蒙を啓かれた人は是非サイモン・シンも読んでほしい(「代替医療解剖(文庫版)」「代替医療のトリック(ハードカバー)」)。

    抗がん剤で死ぬんじゃなくて、助からない癌を延命して亡くなるんだよな。間をすっ飛ばすと「抗がん剤を投与して死んだ」となる。自分が統計的に扱われるのは嫌だろうけど、科学技術がリスクを引き下げたがゆえに、その低リスクを引き当ててしまった人、引き当てる怖れが疑似科学の苗床となる。

  • 直ぐにこの手の話に騙される(もとい人を信じやすい)母の為に購入。
    もちろん、そもそも騙される心配の無い人々にとっては「なんでぇ!当たり前じゃねぇか!」な事しか書いてありませんが、知らなかった医療業界の事、ガンのこと、薬のこと、お医者さんのこと・・・色々な事を素人にも解りやすく説明してくれます。無知は罪だなと改めて思いました。
    個人的に、子どもが母親の胎内にいた時の事を覚えているという胎内記憶の件で、著者が「新生児にそんな視力は備わってないんですよ」とやんわり否定しつつも、こうした誰も不幸にならないようなファンタジーについては「信じてるだけならいいんじゃない?」と優しいスタンスだったのに好感度が上がりました。私は胎内記憶を信じてはいませんが、こういう優しい嘘(?)は山盛りで良いなと思っています。やたらめったら否定しまくるのでなく、あくまでも信じすぎると危険なものだけをキッチリ解説してくれます。

  • 分かりやすい。何より怪しいビジネスにハマってしまう気持ちによりそい、決してバカにしない。
    あくまでも冷静な批判をすることがどれだけ大変なことか。有効性のなさを証明するのはかなり面倒で正確さを求められる。しかもその作業をしてる間は自分は新しい論文を出して評価を得るチャンスを失ってしまう。(最終的にこの書籍になったとは言え)1円にもならないことで業者や信者からは誹謗中傷やかなり深刻な嫌がらせを受けているのを見ると頭が下がる。
    例え医学的なことが理解できなくても、ブログのコメントやTwitterのやり取りでお互いがどんな言葉を相手にかけているのかも一つの指標だと思う。著者はあくまでも医学的に有効か否かの詳細を問うのに対し、業者は話をそらして罵詈雑言や発言の捏造や曲解を頻繁に行う。

  • 巷の『ニセ医学』をはい論破!という本。例えばステロイドの副作用のみを過剰に言い立ててステロイド治療を拒否するキチガイや、単なる砂糖玉を全力で心酔するホメオパシーキチガイや、水素水を飲んだら健康になると信じてるキチガイや、まあ、そういう全く根拠ない健康法で体を悪くしている方々はしっかり読んで下さい。世の中に全ての病気が治る万能薬なんぞあるわけないのに信じてしまう、ああ、人間って弱んだよなー、弱いよ。
    要はそんなに効果のあるものであれば試験等で結果を出して堂々と売り出せばよいだけで、単なる『効きました!』『治りました!』が根拠のものは信じるなと、信じるものは救われる効果はいいんですが、明らかに体を悪くする健康食品もあるので気を付けましょうね。
    そしてみなさまが変な健康法で早死にしないことを祈るばかりです。

    因みに『デトックス』は医学的な根拠がありません。どうもお疲れ様でした。

  • 正しい知識は何から得られるのか?「溺れる者は藁をも・・・」に成りがちな医療の知識については、信頼のおけるメルクマールが欲しいと思っていたところです。。。

    NATROMの日記
    http://d.hatena.ne.jp/NATROM/

    メタモル出版
    http://www.metamor.co.jp/syuppanbu_index.html

    因みに、此処で論文等についてチェックしています。
    CiNii Articles
    http://ci.nii.ac.jp/

  • 医療系のニセ科学について必読と言っていい本が出た。ガン治療などに代表される通常医療に関する否定的な言説を読み解き、なぜそれらの治療法が選択されるのかということを医師の視点から解説している。もちろんデータや学説への参照もある。さらに代替医療や健康法に関しても、代表的なものを選んで科学的な視点から検討を加えていく項目も、簡単に読めてなおかつどこが問題かというのがわかりやすく整理されている。

    医療否定言説に疑問などを持っている人や、これからガンなどの治療を受ける人のほか、是非とも消費者行政に関わる公務員や研究者にも読んで欲しいと思う。健康法や医療に関する場では、通常医療へのバッシングなどによって利益を得ようとしている向きもあるため、そういうものに社会的・経済的リソースがつぎ込まされることのないように、是非とも消費者行政の場に広がってほしい一冊。

    ただ本書一番のサプライズはやはり版元なのだが…。

  • <概要>
    現役の内科医であり、ブロガーでもあるnatrom氏のニセ医学に警鐘を鳴らした本
    下記のようなありがちな医療否定に対して、医学的見地からその誤りを指摘している。
    ・日本人は薬漬け?
    ・がん治療は放置すべき?
    ・ワクチンは有害?
    ・自然出産がすばらしい?
    ・ホメオパシーをはじめとする民間療法や代替療法は有効?
    ・健康にいい特別な食事がある?食事で癌が治る?
    ・健康食品は買うべきか?
    ・健康グッズに効果はある?
    ・タバコは肺がんにならない?

    natrom氏のいう標準医療とはメリット(効果)とデメリット(副作用)が第三者(専門家)が検証可能な形によって証明され、公的機関で認められているもの。

    本書でとりあげられるニセ医学とはそれらの科学的根拠にとぼしく、唯一根拠といえるのはきいたという体験談しかないものを上げている。

    上記のような巷でさわがれがちなトピックについて極めて論理的にその矛盾を指摘している。

    <感想>
    ここ最近読むようになった医学系ブログnatrom氏の著書。

    そろそろ健康を気にしだす年になったが、概要であげたような言説というのは多かれ、少なかれどこかできいたことがある。

    科学的な見地からするとさきほど上げたような言説は全て誤り。
    否定すべき明確な根拠がはっきりとしめされている。

    一般書であり、対象読者は医療従事者ではないが、それでも医学的知識が乏しい人間にとってはやや難しい内容が多い。

    ただ、ニセ医学に気をつけなければいけない考え方やポイントについては医学的知識がなくてもはっきりわかる。

    ニセ医学が効果があると思ってしまうのは下記のような理由だろう

    ・因果関係を取り違える(自然治癒したり、標準医療が利いているケース)
    ・解釈のあやまり(癌の疑いが強いといわれたのを癌だと思い込んでいた)
    ・プラセボ効果(被験者自身がきくと思い込んでいるため心理的効果が生まれる)
    ・願望と事実を区別できない(科学的治療法は悪で自然療法が善など)
    ・科学的事実よりも安心を望む(科学的根拠では否定されるけれどひょっとして効くかも・・・と思ってしまう)
    ・人間は不安なときは判断力が落ちる(健康という大切なものを失うので冷静でいられなくなる)

    自分や家族が健康を害したときに知っておきたい考え方であろう。

    実は自分の実家は健康食品を売って生計をたてており、本書の内容を肯定することで自分の実家の仕事を否定することになるのだが・・・

    <詳細な採点基準>
    個人的採点(5段階で)
    読みやすさ・・・・3
    (読みやすいが、医学的知識がゼロだとややきつい)

    オリジナリティ・・5
    (ニセ医学をここまで論理的に論破した本はなかなかないかも)

    理論的背景・・・5
    (根拠には一般の書籍ではなく科学的論文を上げている)

  • 医療において、どの治療を選ぶかはその人の価値観によるけれど、その選択を誤らせるようなニセ情報は悪質だなと思った。
    食品に関しても同じことがいえると思っていて、たとえば食品添加物のリスクが小さい(がんの原因としては1%以下、とか)ことを理解した上で心情的な面から避けることを選択するのは個人の自由だけれど、「がんの原因になる」と思い込んで避けるのは問題だ、ということ。

    問題なのは、ニセ情報のほうがこういうまともな情報よりも多く、手軽で伝わりやすいこと。
    悪質な情報を発信する側が悪いのだけど、なくならないのが現状なので、広めないように信じないようにしていくのが現実的かなと思う。

    著者ははてなダイアリーで情報発信をしているけれど、はてなまで見ないような人にも伝わる媒体として、こうやって本で出版されたのはとても意義のあることだと思う。どんどんこういう情報が出て行くといいなと思います。

  • 内容はごく当たり前のことなのだが、この当たり前のことがわからなくて騙される人が多いという現実が怖い

  • 普段なら騙されないようないいかげんな理屈でも、弱ってる時なら簡単に信じてしまうかもしれないですよね。ましてやそれが医者と言う専門家としての肩書や有名な大学・研究所などの人が勧めているものなら特に。ま、でも、インタビューや体験記しかない商品を避けるだけでも、だいぶ被害は減らせそうですが。

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