水仙月の四日

著者 :
  • 三起商行
3.56
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本棚登録 : 124
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784895881128

作品紹介・あらすじ

日本図書館協会選定図書

春の訪れを告げる雪嵐の中、死にかける子どもを見つける雪童子。その子は、雪童子がぷいっと投げつけたヤドリギの枝を拾った子どもでした。仲間に悟られないよう助けようとする雪童子のおかげで、子どもは無事に朝を迎えることができるのでした…。

大いなる自然への畏れと感謝を込めた宮沢賢治の傑作!
柔らかく繊細なタッチの鉛筆画で描かれた世界。冬の冷たさと美しさを「青」と「白」で、そこに映える子どもの「赤」は生命の力を連想させます。

感想・レビュー・書評

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  • 雲を紡ぐの中に
    宮沢賢治の水仙月の4日の
    少年が羽織っているのは
    岩手のホームスパンなのではないか
    と書かれていて、
    どんな話なんだろうと
    読んでみた。
    たった数時間で豪雪をもたらす
    低気圧を、雪狼、雪童子、雪婆んごとして
    を比喩しているのかな。
    自然の脅威をおとぎ話にして
    伝えてるんだろうな。
    真っ白な世界の中に、赤い毛布、宿り木の赤い実
    だけが浮いている幻想的な世界。
    何度か読むと宮沢賢治が自然をこどものような純粋な心で見ている
    のが分かる。


  • 『雲を紡ぐ』(伊吹有喜著)にこの絵本が出てきたので再読。この絵本で主人公が身にまとう赤いケットが『雲を紡ぐ』の主人公を守るものとして重要な役割を果たしていました。

    黒井健さんの絵がこの物語にピッタリ合っています。
    そして、宮澤賢治の言葉選びにも改めて引き込まれました。
    カリメラ、雪花石膏、雪狼、カシオピイア…。
    心が洗われます。

  • 三月に咲き始めた水仙を見て、この本を思い出した。黒井健さんの絵がより美しく幻想的な話に仕上げています。

  • 『雲を紡ぐ』より。


  • 自然の美しさと脅威、慈悲深さと残酷さの狭間に生かされている人間の命。息を飲むような美しい雪景色もほんの少しの間で猛吹雪にもなってしまう。そういう自然の中で生きていくことはすなわち、生かされているということなのでしょう。
    雪童子が星に呼びかけるシーンは、壮大な宇宙の中にいる私たちであることも思い出させてくれます。
    雪童子によって助けられた赤い毛布の子供の命は私たち一人一人を代表しているように思えます。黒井健の絵がこれまた素晴らしい。とにかく全てが美しくて圧倒されました。

  • 「春の訪れを告げる雪嵐の中、死にかける子どもを見つける雪童子。その子は、雪童子がぷいっと投げつけたヤドリギの枝を拾った子どもでした。仲間に悟られないよう助けようとする雪童子のおかげで、子どもは無事に朝を迎えることができるのでした…。

    大いなる自然への畏れと感謝を込めた宮沢賢治の傑作!
    柔らかく繊細なタッチの鉛筆画で描かれた世界。冬の冷たさと美しさを「青」と「白」で、そこに映える子どもの「赤」は生命の力を連想させます。」

  • 「雲を紡ぐ」を読んでその中にこの絵本が出てくる。赤い毛布(ケット)はホームスパンだというおじいちゃん。赤い毛布は子どもをやさしく包み込む。

  • 言葉に独特の響きがあり美しいだけではない吹きすさぶ雪の景色が広がっている.そこに赤い毛布の女の子.黒井健氏の絵がまたその余韻を余すことなく伝えて素晴らしい.

  • 二匹の雪狼を連れた雪童子と赤毛布の子供の話。正直初めは話の内容がわからなかった。きっと読み返す事でもっと情景が鮮やかになるのだと思う。自然の厳しさ、希望の光など話の情景が感じられる。さすが賢治ワールドです。まだ、一度しか読んでないので今の私は星⭐️3つ。

  • 去年から、少しずつ宮沢賢治を読もうと決めていて、まだ10作ほど。
    この作品も、うなってしまった。
    ちょっと怖くて、どこにでもありそうな話なのに、宮沢賢治の世界としか言いようがない。
    本の美しさにも息をのむ。
    手もとに置きたい1冊。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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