オリンピック経済幻想論 ~2020年東京五輪で日本が失うもの~

  • ブックマン社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893088550

感想・レビュー・書評

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  • ・参考図書指定科目:「スポーツビジネスのしくみ」

    <OPAC>
    https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/764YIgFYSRwuEJwOIUMJjKYU4Pn/description.html

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  • 今日の書評ブログは「オリンピック経済幻想論」アンドリュージンバリスト著/田端優訳

    オリンピックの経済効果に疑問符を呈した書籍です。
    私も、以前東京オリンピックに疑問を持っていました。「オリンピック用の東京都の4000億円の剰余金を都営地下鉄の欠損金に穴埋めしてメトロと合併しろ(メトロは財務体質がいいから、都営地下鉄との経営統合を拒否ってる)」っつって。怒られましたがかなり。

    ではコピペ書評ブログ・スタート!

    オリンピックの招致活動は、開催年の11年前に各国の国内オリンピック委員会((NOC)が国内で立候補希望都市を募る。

    その後、関心を示した都市間で競争が行われて国の代表を決める。これが開催の9年前。この段階で選ばれた都市は「申請都市」となり、各申請都市は審査の為IOCへ15万ドルを支払う。

    やがて申請都市は3から5都市の最終候補、いわゆる「立候補都市」に絞られる。各立候補都市は追加でIOCに50万ドル支払う。

    都市の招致活動は、地元の様々な関係者の思惑によって突き動かされている。彼らは都市に経済的利益がもたらされているという主張を練るために広告会社やコンサルティング会社を雇う。

    しかし、特別なケースを除いて、見込んでいた利益がもたらされることはない。

    それと厄介なのが、開催に向けて都市は区画整理しなければならない場合が多いことだ。

    そしてそれは、借金、未来の増税を伴う。

    大会の7年前、各都市が開催地に相応しいとIOCにアピールする2年間を経て、IOCが開催都市を決定する。

    もともと、オリンピックは、フランスの貴族であり、作家でもあるクーベルタン男爵の「教育改革」こそが国造りの重要な要素であるという考えによるものであった。

    しかし、それはあまり上手くいかず、彼は古代オリンピックの復興を目指した。またクーベルタンはそこに古代オリンピックで体現されていたと考える2つの基本原則を織り込んだ。すなわち:①競技者はアマチュアであること②大会は異なる文化や敵対する国々を一つにまとめ、よりよい理解と平和を促進する手段であるべきだ、という2点である。

    近代オリンピックがアテネで開始された1896年夏、クーベルタンが正しい歴史を認識しているのか神話を追い続けているだけなのかは問われなかった。オリンピック・ムーブメントはの意志は、以下のような原則とともにオリンピック憲章に記されている。

    「(前略)オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び(中略)、社会的な責任、されに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。(中略)したがって人種、宗教、政治、性別、その他の理由による、国または個人に関する差別はいかなる携帯であれ、オリンピック・ムーブメントと相いれれない」

    現在のテレビ放送に対するIOC.の見解は1970年代から80年代にかけて確立されてきたが、いまだに大会組織委員会とIOC間のみならず、IOC、国内オリンピック委員会、各国際競技連盟のあいだでも収入の分配法をめぐる議論は続いている。

    なかでも議論の的になっているのが、放送局から現金として支払われる金額と、スタジオや通信機器などの「技術サービス」に支払われる代金をどのように分配するからだ。

    例えば1984年のLA五輪では、ABCがUSでの放映権料2億2500万ドルを支払った。そのうち1億ドルが料金として支払われ、残りの1億2500万ドルが技術サービスに割り当てられた。

    しかしロサンゼルスの大会組織委員会は放映権料の1億ドル全部でなく、3分の1の3300万ドルのみを受け取ることにした。

    他の大陸のテレビ放送料の分配についても反対意見が出たため、そのような場合、IOCが25%ほど受け取ることで落ち着いた

    ロサンゼルス市は大会開催が決まると、0.5%のホテル税を徴収する決定を下し、五輪のチケットに対して市税を設けた。

    そうして集められた約1930万ドルは大会運営やセキュリティ強化(ロサンゼルス市警)に使われた。

    このようなロサンゼルス大会は大きな転換点となった。16年に及ぶ冬の時代を経て、商業的成功を(2億1500万ドルの黒字)がIOCの運命を好転させたのだ。テレビ放送料の高騰、新たな企業協賛戦略、そしてIOC会長のサマランチがプロ選手の参加へと舵を切ったことがことがすべて良い方向に働いた。

    しかし、サマランチは「勘違い」をしていた。周囲に自分を「閣下(His Excellency)」と呼ばせ、一国の主のように扱うことを求めた。

    サマランチが会長になる前はIOC委員は立候補都市へ自費で訪れないと行けなかった。それがサマランチが会長になって以来、2名分のファーストクラスの往復チケットと、すべての経費と豊富な接待費を手にした。

    サマランチ自身は行く先々でリムジンサービスを利用し、最高級のホテルの部屋に滞在した。ローザンヌでは、彼が試用するためパレスホテル最上階の巨大な一室を年50万ドルでIOCに借りさせていた。IOCの委員たちもサマランチに倣うようになり、支出は飛躍的に増えていった。

    こうした行為については、批判が上がっていたが、噴出したのは1998年11月24日、ソルトレーク招致委員会がカメルーンのIOCの娘に対し、大学の奨学金を提供する旨の文書を現地の放送局KTVXが報じたのだ。

    当時IOCの規定で招致委員会からの贈呈品は許容されていたものの、150ドル以下のものに限られていた。その後の調査により、制限を遥かに超える贈呈が行われていることが判明した。

    ソルトレークのスキャンダルが報じられると記者たちは1998年冬季オリンピックの開催都市である長野の招致委員会にも金銭記録の開示を迫った。そしてジャーナリストたちは、同地招致委員会が90冊に及ぶ帳簿の焼却を指示したことを聞かされる。

    招致委員会の事務局次長は「機密情報」を含んでいたため帳簿を処分したと説明した。この長野招致をめぐる不穏な舞台裏の工作については、様々な説が流れている。

    長野大会組織委員会のロビイストを務め、36万3000ドルの報酬を受け取り、長野での会開催が決定した際はボーナスを受け取ることになっていた、サマランチに近いアドバイザーのアルトゥース・タカクスの息子の関与を疑う者もいた。

    ある日本の企業は、長野の五輪開催が決定したら、ローザンヌのオリジナル・ミュージアムの建設に2000万ドルを寄付する約束をしていた。長野は招致に成功した。ソルトレークは招致に失敗したが教訓を得た。

    以上、第2章の一部をいつものようにコピペブログした。

    ここに書いているのは、一部のことだけなので、興味を持った方はぜひ本書を手に取って欲しい。

  • 東京オリンピック1964で失ったものは何か、また東京オリンピック2020で東京が失うものは何か、それを考えるためのヒントを求めて読んだ。
    1984年のオリンピックは、立候補する都市がなかった。そこでロサンゼルスがオリンピック委員会と話を付けて実施したのがロス五輪であり、これが初めて黒字になった大会であった。
    「オリンピックは儲かる」ということがわかれば話は変わる。ロス五輪以降、招致に乗り出す都市が増えるが、近年はまた採算が取れないことが明らかになったため、候補地が減っている。国民投票で取り下げる例も出ている。
    最も成功したオリンピックは、1992年バルセロナと言われる。しかし、バルセロナはもともと観光資源が豊かにありながら放置されていた「宝の都市」であり、オリンピック招致が決まる前から開発計画は進んでいた。オリンピックはその開発計画を後押ししたに過ぎないのだ。
    では東京オリンピック2020はどうか言うと、招致が決まってからの後手の動きになっているように思える。
    東京五輪1964の4年後に日本は世界第2位の経済大国になる。そして、北京五輪2008の2年後に中国が世界第2位に踊り出る。
    しかし、東京五輪2020は日本の経済成長の引き金にはならないだろう。むしろ衰退の引き金になるのではないかと危惧している。

  •  オリンピックは開催地に経済的利益がある? その問いに答える。

    実はオリンピックは開催地をなかなか見つけられない歴史があった。それは開催地の負担が大きいからだ。
    この本では開催時の短期的な利益やその後の長期的な利益について否定するだけでなく、バルセロナなどの数少ない成功例も検証し、五輪開催が開催地に何をもたらすかを記していく。

    残念ながら20年の東京もこの本に書かれたような問題を体験することになるだろう。私たちは五輪を開催するにあたって、五輪とはどうあるべきかを問い直す必要性に迫られている。

  • もっと、予算オーバーの実態を明確に示すべき。東京オリンピックは、悲惨な状況になるが、なぜもっと大きな問題にならないのか。待機児童問題等他にカネを使うべき所はいくらてもある!

  • オリンピックがいかに経費ばっかり莫大にかかって、地元住民への利益にならないかを解説した本。
    いやー、ほんとに4年前に出てて欲しかった!
    そもそも最近の世界情勢見てると、オリンピックやりたいとこあんのかな??て感じなんだけど、パリはやっぱり2024年立候補するんでしょーか・・・
    東京は当初の予算案からの増加が問題になってるけど、別に東京に限った話しやのーて、どこも平均2.5倍になってるとな。そこ・・・最初から都民に教えといてくれよな、つーか都民が自ら調べとかなあかんかったこと・・・
    とりあえず、少しでも東京うまくいきますように(>_<)

  • ちょっと未読(みどく)なのですが?、今回の熊本の準被災者として、忌憚無く申し上げさせて戴きます。確かにオリンピック(と同時にパラリンピック)は?…スポーツ競技の最高峰で在る事実は否定しません!。


    「しかし、タイトルで大体見当が付くので申させて戴くのであれば?…オリンピック開催によるインフラ整備に因(よ)って、失う伝統の風情と両大会終了後の設備の維持や利用‥そして、雇用と言うその後の拡充が世界各地で問題と為(な)り、欧州諸国では?…栄誉有る撤退を選択してます(ユーロ圏がメインなので?、ユーロの価値観維持と言う悲劇も見逃せません)!。

    そう言う意味でオリンピック等の開催地が決定した!国では?…国の金融政策に政府干渉が強い国が多く、他でも諸々考慮します!と?…設備の補充の必要性が低い(季節とは言え常時利用する!為(ため)に)世界水泳や、バスケット‥卓球という手っ取り早く、かつ効率的に運営が出来、撤収も簡単なものに各自治体が国の後押しを受けて狙ってますが、それでも2018年の平昌(韓国)オリンピック〜2023同のドーハ(カタール)の世界水泳までは?…(ロシア連邦までが(ロシア連邦は2018年にサッカーのフル代表の国際大会を行いますが、アジア(国土の7割以上をアジア)に擁する為にアジア扱いしました!)いずれもアジアでの開催です!。

    これを鑑みていれば?…やはり政府の肝いりと、民間のビジネッサーカバナンシビック(経営(大会組織委員会)陣単独の事)との対立の構図も?…書かれてたら?、面白そうです!」けどね?‥。

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著者プロフィール

ハーバード大学経済学部教授

「2018年 『アメリカの大学スポーツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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