ランドセル俳人の五・七・五 いじめられ行きたし行けぬ春の雨--11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。
- ブックマン社 (2013年4月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
- / ISBN・EAN: 9784893087997
作品紹介・あらすじ
たった944gでこの世に生まれた男の子。入学と同時に受けた壮絶ないじめ。母は、不登校という選択をした。学校に行けなくても、俳句があるから僕は生きていける。不登校の少年凛君は、俳句をつくり始めたことでいじめに耐えた。春の陽に彼は輝く。
感想・レビュー・書評
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毎日小さい身体で地獄のような小学校へ行かなければならなかった凛くんのことを考えると、今、生きていてくれて本当に良かったと心の底から思います。
凛くんが新しい教頭先生に大津のいじめ事件のことを伝えたこと、彼の心の中を思うと辛く言葉が出ません。不登校の決断をされたお母さま、おばあさま、亡くなられたおじいさま。「張り切って不登校!」と言えるまで、どれだけの葛藤があったことでしょう。今度こそは、今度こそは先生は分かってくれるだろう。いじめっ子は悔い改めてくれるだろう…そんな儚い願いは何度も砕かれ、更に傷つかれたに違いありません。凛くんの幸せのため、命を守るために選ばれた道だとよくわかります。
凛くんの俳句からは自然への愛おしさや生命への力強さなどが大きな眼差しで詠まれているようです。いじめの辛さを詠んだ彼の句にも自然はそっと寄り添っています。まるでそれは読者であるわたしまで自然の力で浄化されていくようです。
俳句があるから生きていける。彼の声が聞こえてくるようです。これからもどうぞ俳句をたくさん詠んでください。応援してます。 -
予定日より3ヶ月も早く超低体重児として生まれた小林凛太郎君
物心つく頃から他の子よりもできないことの多い自分を感じている凛太郎君には他から認められることが何よりの教育と、お母さんとおばあちゃんは、一貫して褒めることに徹しておられる
一句出た時には、三人で手を取り合って喜びのダンスをされるそうだ
そんな深い愛に包まれ育った凛太郎君なのに、学校という環境は、あまりに非情で残酷で厳しかった
一年生から五年生まで命の危険を感じるようないじめを受け続け、お母さんは「「自主休学」という選択をされた まさしく登校拒否。
「登校することを拒否します」だ
学校から解放された凛君(俳号)は、次から次へと、大人顔負けの俳句を作る
かの難関の朝日俳壇にも2回掲載されたとのこと
凛君に触発されて、お母さんやおばあちゃんが改めて俳句を学ばれたそうだ
生まれしを幸かと問われ春の宵
強風にあおられまいとしじみ蝶
いじめを受け土手の蒲公英一人つむ
ゆかるみに車輪とられて春半分
当たり前のことではあるけれど、一貫して凛君を守る
姿勢を貫かれたご家族には頭が下がる
凛君やお母さんを笑顔で励まし続けた英会話のショーン・ハート先生の言葉にはっとさせられた
「日本ではコミュニケーションが苦手な子がうまく挨拶できなかったりすると.親は『すみませんこんな子なので
』とあやまる。なぜあやまる必要があるのか
アメリカでは、『アンダスタンド ヒム この子を理解してください』と言う」
そして、この本を読んで何より腹立たしく歯痒かったのは、なぜ学校は5年間もいじめを放置しておいたのか
クラス替えがあっても、なぜいじめは無くならなかったのかということだ
学校一丸として取り組んでいたのか
いじめている子に間違っていることを気づかせられなかったのか
悔しくてならない
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魔法の小石
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この本に寄せた、日野原重明さんのことば:
“不登校の少年凜君は
俳句をつくり始めたことで
いじめに耐えた。
春の陽に彼は輝く。”
100歳になった日野原重明さんに、小林凜君が贈った一句:
(あとがきより)
“百歳は僕の十倍天高し” -
瑞々しい感性をもった凜くん。いじめという過酷な中でもお母さんやおばあさんの愛情でたくましく生きている。
いじめという苦しい中で生きている多くの子供たちご両親の力になる本だと思う。
また、私のような大人にもすごく響く。-
2018/05/30
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きっと生まれる前から俳人だった
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まず、俳句が素晴らしい。文語文法の間違いがなく、しかも語彙が豊富。
よほどたくさんの俳句に親しんでいることをうかがわせる。好きな俳人は、小林一茶、松尾芭蕉、正岡子規らしい。そして、さらりと口語を織り交ぜるセンスの良さも現代俳句から学んでいるようだ。読んで俳句として自然なのである。
そして、ここがすごいのだが、この人しか詠めないという世界を感じさせてくれるのだ。
強風にあおられまいとしじみ蝶
蒲公英や霜将軍にやられずに
こういう小さいもの、弱いものの視点は、作者自身の視点の投影であるのだろうが、句として見事である。
いじめられて不登校(非登校?)の11才という情報がなくても、作者の寂しさや悲しみは十分伝わってくる。いやあ、勉強になった。 -
18.9.6
ETV特集
少年俳人・小林凜の軌跡!ETV特集「しじみ蝶 我の心の中で舞え」 -
「張り切って不登校」と言えるようになるまでの苦しみは痛ましい程、よく伝わってきた。
それにしても作品もさることながら知識レベルが凄い!
とても小学生レベルではない。
ぬかるみに車輪とられて春半分
冬ざれや小石を溝に蹴飛ばして