はるかな国からやってきた

著者 :
  • 童話屋
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887470330

感想・レビュー・書評

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  • 『今年』
     くだらぬことに喜ぶだろう
     今年も
     ささやかな幸せがあり
     それは大きな不幸を
     忘れさせることはできぬだろう
     けれど娘は背が伸びるだろう
     そして樹も
     御飯のおいしい日があるだろう
     新しい靴を一足買うだろう
     決心はにぶるだろう今年も
     しかし去年とちがうだろうほんの少し
     今年は
     …

  • 谷川さんの詩は、2500篇以上あると、何かで読みました。いくら読んでも読み切れないですね。

    「沈黙」なんか、ただ、ただ、じーんとしました。

    「冬に」死ぬために生まれてきたのではない
        生きるために生まれてきたのだ

    「Weddinng day」今まで読んだことのある結婚の詩の中で一番、美しいことばばかりでできていると思いました。
        離れてゆくのではありません
        お母さん
        わたしは近づいてゆくのです
        あなたのやさしさに
        あなたのゆたかさに
        そうして
        あなたのーかなしみに

    「旅」最近、どこにも旅はしていませんが、今、人生という旅をしているような気持ちがしました。

    「生きる」これは何度も読みました。1冊の絵本にもなっていますね。

    「魂のいちばんおいしいところ」この詩集の中では一番好きでした。

    「明日」ひとつの小さな約束があるといい
        明日に向かって
        (中略)
        ひとつのたしかな今日があるといい
        明日に向かって
        歩き慣れた細道が地平へと続き
        この今日のうちにすでに明日はひそんでいる

    童話屋の田中和雄さんの「この詩人の気がついたことは、日本を超えて地球のあらゆるいのちを幸せにしてくれるにちがいありません」ということばが印象的でした。

  • 童話屋さんが詩を非常に大切に思っているのが伝わってくる、素敵な装丁。
    銀河をイメージしたかのような表紙と同じ一枚が、各章のはじめごとに現れる。
    そのたびにこちらは少しはっとして、ひとり空を見上げる気分になるのだ。
    初期の頃のソネット形式の美しい作品郡は、やや硬質な立原道造という趣で、独立して歩き出している有名な「生きる」も入っている。
    前述した「すてきなひとりぼっち」よりも、こちらはより若々しく魂の彷徨を語っている。
    それぞれ好みがあるだろうが、私はこの一冊の方が好きかな。

    「生きる」はもちろんのこと、「みみをすます」や、ファンの多い「魂のいちばんおいしいところ」などが良いなぁ。
    難しいことを実に分かりやすい日本語で語ってくれる。しかも美しい。
    それは詩による哲学入門でもあり、立ち止まって考える貴重なひとときをくれる。
    手元に置いていつでも開けるように、本棚にはしまわない。
    「二十億光年の孤独」に出会ったのは、思えば高一の時だった。

    谷川さん、あなたは私の人生に小さな光を当ててくれた方です。 

    • 地球っこさん
      nejidonさん、こんにちは!
      「鬼平」の件では、ありがとうございました(*^^*)
      この銀河をイメージしたかのような表紙
      の詩集、...
      nejidonさん、こんにちは!
      「鬼平」の件では、ありがとうございました(*^^*)
      この銀河をイメージしたかのような表紙
      の詩集、わたしも大好きでした。
      懐かしいです。
      また読んで見たくなりました。
      わたしが谷川さんをはじめ、詩というも
      のに出会ったのは中高生の頃。
      あの頃は谷川さんの詩に自分の心を見つ
      め、また銀色夏生さんの詩に心をときめ
      かせたものです。
      今よりも詩というものが、もっと身近な
      存在だったのではないでしょうか。
      少年少女時代に、素晴らしい(好きな)詩に
      出会うことは、生きていく上での財産に
      なるんじゃないかなと思いました。
      かせたものです。
      2018/08/01
    • nejidonさん
      地球っこさん、こんばんは(^^♪
      鬼平のことでお話出来て、とてもスッキリしました・笑

      いえ、それよりもこのレビュー、古いものをよくぞ...
      地球っこさん、こんばんは(^^♪
      鬼平のことでお話出来て、とてもスッキリしました・笑

      いえ、それよりもこのレビュー、古いものをよくぞ見出してくださいました。
      自分でも忘れていましたので、何だか新鮮な気持ちで読み返してしまいました。
      自分のこと・人生のこと・色々なことをいっぱい考え出す年頃に谷川さんの詩はとても良くマッチしますよね。
      ひとつのフレーズで、あっという間にその頃の自分に戻ったりします。
      地球っこさんもこの詩集をご存じだったなんて!
      銀色夏生さんもよく読みました。。私の方こそ懐かしいです。
      優しいコメントをいただいて、あれこれ記憶がよみがえりました。
      今まさに手を伸ばせば届く場所にある詩集です。
      これから開いてみます。
      嬉しいなぁ・・地球っこさん、ありがとうございました。
      2018/08/01
  • 数年前の誕生日に友人からもらった詩集。
    再読してみて、もらったその時よりもさらに、今のほうが心に響いたように思う。
    詩は昔から好きでいくつか読んでいるけれど、今より若い時は難解なものを好んでいたような気がする。でも今は、谷川さんの詩のように、誰にでも理解できる言葉を使って、誰にでも理解できる意味のことが書かれているにも関わらず、引っ掛かりを覚えたり感銘を受けたりする、そういうものを書くのが実はいちばん難しいということを知っているので、純粋にすごいと思う。
    折に触れて読み返したい詩集。

  • わたしたちは、どこからやってきたんだろう。

     「はるかな国」というタイトルにある言葉と、
    谷川俊太郎氏の世界観がとても噛み合っていて、すんなりと読めた。
    氏の本は数冊もっているけれど、これが一番魅力的な詩集のように思う。きっと編み方が丁寧なんだろう。
     「芝生」という詩がいっとう好きだ。
    「なすべきことは わたしの細胞が記憶していた」
    という言葉に、全身が泡立つようだった。
    わたしの細胞も記憶しているだろう。わたしのなすべきことを。
    だからわたしは不幸になったり幸福になったりするのだろう。
    すべてわたしの勝手だ。
     
     詩集の構成やらコンセプトはもとより、
    詩集の装丁がとても美しい。
    最初、本屋でこの本を見かけたときに、目がさめるようだった。
    手におさまる文庫サイズの本で、上製本。ぎんいろの表紙に、宇宙の挿絵。
    「こういう詩集がほしかったんだ」と思った。大切にしたい。
    そして、誰かに贈りたい詩集だと思う。

  • 私は学生の頃から「生きる」という詩が好きです。

  • お誕生日プレゼントにもらった本。
    谷川さんの詩が好きです。
    易しいことばで深い、広い世界のことを表現してる
    たまーに難しい言葉がでてきて、スパイスになってる
    そんなバランスが私の目標です

  • なんか谷川俊太郎さんって好きなようでいてあまり好きではなくて、でもふと折に触れて思い出す詩があるのよね。要素が好きです。

  • 生きる

    生きているということ
    いま生きているということ
    それはのどがかわくということ
    木もれ陽がまぶしいということ
    ふっと或るメロディを思い出すということ
    くしゃみすること
    あなたと手をつなぐこと

    生きているということ
    いま生きているということ
    それはミニスカート
    それはプラネタリウム
    それはヨハン・シュトラウス
    それはピカソ
    それはアルプス
    すべての美しいものに出会うということ
    そして
    かくされた悪を注意深くこばむこと

    生きているということ
    いま生きているということ
    泣けるということ
    笑えるということ
    怒れるということ
    自由ということ

    生きているということ
    いま生きているということ
    いま遠くで犬が吠えるということ
    いま地球が廻っているということ
    いまどこかで産声があがるということ
    いまどこかで兵士が傷つくということ
    いまぶらんこがゆれているということ
    いまいまが過ぎてゆくこと

    生きているということ
    いま生きているということ
    鳥ははばたくということ
    海はとどろくということ
    かたつむりははうということ
    人は愛するということ
    あなたの手のぬくみ
    いのちということ

  • 「傲慢ナル略歴」から始まり、およそ谷川俊太郎を愛する人が
    なぜこの詩人は詩を読むのか?
    問いてくる詩集。正解を問いてくるのではなく、どう思うか、みんなで語り合いたいという問い。
    「二十億光年の孤独」からはじまった詩人としての生き方は、実は、ただ、宇宙の壮大な摂理に気づいてしまった若者が、この世界に、そっとふれ、気配りをし、静かに語りかける優しさ。ひとりではできないことも、力を合わせ、役割を分かち合うことで、大きなことを成し遂げることができるというメッセージ。人のために、役立つ機会を探し、頼まれなくとも、必要としている人へ、そっと共感する心。

    はるかな国からやってきた若者は、そういう人だと思う。

    「おべんとうの話」
    「芝生」
    「夕焼け」
    「帰郷」

    行動すること、何かをすることよりもまず、願うこと、幸せについて語ろうと、問いかけてくるようだった。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。詩人。1952年、21歳のときに詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など幅広く活躍。主な著書に、『谷川俊太郎詩集』『みみをすます』『ことばあそびうた』「あかちゃんから絵本」シリーズ、訳書に『スイミー』等がある。

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