ポケット詩集

制作 : 田中 和雄 
  • 童話屋
4.15
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本棚登録 : 849
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887470033

作品紹介・あらすじ

昔の少年は詩をよく読んだものだ。それも、とびきり上等の詩ばかりを、だ。そしてよく考え、「足る」を知った。みんなへっぴり腰を恥じて涼しげな目の下に、素朴な正義感をひそかにかくしていた。子どもよ、そして子どもの心を持った大人たちよ、この時代にとびきり志の高い詩を読みなさい。

感想・レビュー・書評

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  • この詩集の中には、田中和雄氏が編集した、27人の詩人が書いた、33の詩、田中氏が、まえがき で書かれているとおり、とびきり上等のいい詩が載せられています。
    宮沢賢治、茨木のり子、まど・みちお、大岡信、吉野弘、三木卓、草野心平、工藤直子、石垣りん、長田弘、岸田衿子、濱口國雄、山之口貘、高橋睦雄、新川和江、与謝野晶子、谷川俊太郎、高村光太郎、金子光晴、などなどの、そうそうたる詩人達の、名詩達の中で、1つ、お気に入りの詩を、上げるとしたら、

    なのだソング     井上ひさし

    雄々しくネコは生きるのだ
    尾をふるのはもうやめなのだ
    失敗おそれてならぬのだ
    尻尾を振ってはならぬのだ
    女々しくあってはならぬのだ
    お目々を高く上げるのだ
    凛とネコは暮らすのだ
    リンと鳴る鈴は外すのだ
    獅子を手本に進むのだ
    シッシと追われちゃならぬのだ
    お恵みなんぞは受けぬのだ
    腕組みをしてそっぽ向くのだ
    サンマのひらきがなんなのだ
    サンマばかりがマンマじゃないのだ
    のだのだのだともそうなのだ
    それは断然そうなのだ
    雄々しくネコは生きるのだ
    ひとりでネコは生きるのだ
    激しくネコは生きるのだ
    堂々ネコは生きるのだ
    きりりとネコは生きるのだ
    なんとかかんとか生きるのだ
    どうやらこうやら生きるのだ
    しょうこりもなく生きるのだ
    出たとこ勝負で生きるのだ
    ちゃっかりぬけぬけ生きるのだ
    破れかぶれで生きるのだ
    いけしゃあしゃあと生きるのだ
    めったやたらに生きるのだ
    決して死んではならぬのだ
    のだのだのだともそうなのだ
    それは断然そうなのだ


    、、、ネコ愛が、炸裂してしまいました。


    • 猫丸(nyancomaru)さん
      りまのさん
      ホント素敵ですね!
      りまのさん
      ホント素敵ですね!
      2020/12/25
    • りまのさん
      にゃんこまるさん
      こんな詩好きです。
      ちょっと、猫丸さんぽいイメージだな〜、と思いました。
      にゃんこまるさん
      こんな詩好きです。
      ちょっと、猫丸さんぽいイメージだな〜、と思いました。
      2020/12/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      りまのさん
      にゃーー
      りまのさん
      にゃーー
      2020/12/25
  • どの詩も素晴らしい詩ばかりだが、編者のまえがきも最高だ。ここを、読めばおまえもこの詩集を読みたくなるに違いねえ。
    あとは、曹植の詩が入ってれば5つ星だったな。

  • 「ポケット詩集」 (株)童話屋
    1998 11/3 初版発行
    2000 8/4 第13刷

    哀しくてツラい物語に疲れたぼくに
    読書部メンバーが貸してくださった。

    言葉の持つチカラを改めて感じます。

    一言一言に想いのこもった葉に
    心がざわざわと揺れキュッと収縮する瞬間。

    やっぱり読書は良いよね。

  • 日本の著名な27人による33の詩を集めたアンソロジー。全160ページ。文庫本サイズですが、単行本なみの装幀と紙質で、価格も単行本なみです。ところどころシンプルな挿画のみのページが差し込まれています。

    書店で面陳列されているのを見かけて、前に本書の熱心な愛読者から薦められたことを思い出しました。ページを少しめくってみると、編者の田中和雄氏による前書きの最後に、「この詩集を、ほんとうの子どもたちと、子どもの心を持った大人たちに捧げます」とあります。普段あまり詩を読むことがない自分ですが、収められた詩が心に響くのだろうかと気になりました。改めて手に取ってみると、本の可愛さから所有したい気持ちもおこり、購入してみることにしました。読後感は、帯にある「よい詩はまっすぐ心に届くんです。」という言葉と重なりました。いくつか気に入ったフレーズを残そうかと思いましたが、抜き書きしてみると印象が変わったため、やめました。以下は目次と同様、掲載されている詩のタイトルと作者を列挙します。

    「雨ニモマケズ」宮沢賢治/「聴く力」茨木のり子/「くまさん」まど・みちお/「学校」辻征夫/「虫の夢」大岡信/「I was born」吉野弘/「系図」三木卓/「ぼくが ここに」まど・みちお/「秋の夜の会話」草野心平/「練習問題」阪田寛夫/「あいたくて」工藤直子/「さくらのはなびら」まど・みちお/「表札」石垣りん/「言葉のダシのとりかた」長田弘/「南の絵本」岸田衿子/「便所掃除」濱口國雄/「求婚の広告」山之口貘/「汲む」茨木のり子/「なのだソング」井上ひさし/「鳩」高橋睦郎/「祝婚歌」吉野弘/「伝説」会田綱雄/「わたしを束ねないで」新川和江/「世界は一冊の本」長田弘/「ゆずりは」河井醉茗/「峠」真壁仁/「生ましめんかな」栗原貞子/「君死にたもうことなかれ」与謝野晶子/「死んだ男の残したものは」谷川俊太郎/「なぜ」川崎洋/「ぼろぼろな駝鳥」高村光太郎/「奴隷根性の唄」金子光晴/「自分の感受性くらい」茨木のり子

    複数収録されているのは、茨木のり子、まど・みちお、長田弘、吉野弘です。

    今回とくに心に残ったのは、「秋の夜の会話」「なのだソング」「祝婚歌」「ぼろぼろな駝鳥」などです。

  • 「子どもたち、詩を読みなさい。とびきり上等のいい詩を読みなさい。ー」
    と編者のまえがきははじまる。日本を代表する詩人たちの詩を集めた本。

    私には、ここに詩を集めた意図が強くて、少し息苦しいように感じられた。
    何らかの批判や教訓、そういったものがやや強く打ち出されて
    読み方を限定しているように感じる作品が多い。

    わざわざこんなことを書いて、人を不快にするべきではないのかもしれない。
    ただ個人的には同じ詩人たちの作でも、もっともっと無心につくられた
    美しい詩を読みたいと願わずにはいられない。

    • りまのさん
      clloudthickさん
      ハッとしました。ポケット詩集を読み、私も確かに、そのような感想を持ちました。正直な感覚を無視して、レビューを書き...
      clloudthickさん
      ハッとしました。ポケット詩集を読み、私も確かに、そのような感想を持ちました。正直な感覚を無視して、レビューを書きました。でも、ひとつ挙げた詩は、心から、楽しんだ詩、です。
      自分の感覚に正直になること。…教えて頂いたようにおもいます。 りまの
      2021/02/01
    • clloudthickさん
      りまのさん
      ありがとうございます。
      批判的なことを書くのは難しいですよね。たとえ少しでも、何かいいことについて書いた方が、よっぽど貴いよ...
      りまのさん
      ありがとうございます。
      批判的なことを書くのは難しいですよね。たとえ少しでも、何かいいことについて書いた方が、よっぽど貴いような気もします。でも、りまのさんにそう言っていただけて少し救われます。

      なのだソング、いいですよね。
      2021/02/01
  • 日本の現代詩のアンソロジー。宮沢賢治、茨木のり子、まど・みちお、石垣りん、谷川俊太郎など、教科書などでもおなじみの作品がたっぷり27人33篇あつまった宝石箱。いちばん古いのは与謝野晶子「君死にたもうことなかれ」(1905年)、いちばん新しいのは辻征夫「学校」(1998)。「ゆずりは」が戦前の作品だとは今まで思いもよらなかった。

    この本は、30年前、学生時代に出会って、自分の手元にはもちろん、これまで何冊まわりのひとに贈ってきたかわからない。友だちの誕生日に、出産のお祝いに、外国に住む人のクリスマスに、贈ってきた。それぞれの本棚の隅に居場所を得てひとつでもお気に入りの子を見つけてもらっているのだといいなと願う。

    「ポケット詩集」は最近第4集がでて、ほかに「ポケット俳句」もある。他にもそれぞれの個人詩集も充実している大好きな童話屋詩文庫シリーズ、これにであえたのも、いろんな意味で安野光雅さんのおかげといえる。安野光雅の絵本を出しているから童話屋という出版社に注目したわけだけど、そもそももとは書店だけだった童話屋が出版を始めたのは安野光雅さんが田中和雄さんに出版を持ち込んだのがきっかけという話だから。

  • 心に潤いを!
    背筋も伸びるー

  •  手のひらにらのるサイズの詩集です。文庫判さいず。32篇の詩が載っています。長距離の電車の中でも読めます。
     仕事を終え自分の部屋に入って、一日のすり減った自分を取り戻すため一つの詩集を読む。すると自分をとり戻せた気がしてくるんです。よし、このまま寝よう。

     その中の一編を紹介します。
         
         あいたくて    工藤直子

      だれかに あいたくて
     
      なにかに あいたくて
     
      生まれてきた

      そんな気がするんだけれど


      それが  だれなのか  なんなのか

      あえるのは   いつなのか


      おつかいのとちゅうで

      迷ってしまった子どもみたい

      とほうに  くれている


      それでも   手のなかに

      みえないことずけを

      にぎりしめているような気がするから

      それを手わたさなくっちゃ
      
      だから


      あいたくて

  • ほんとうの子どもたちと
    子どもの心を持った大人たちに捧げられた詩集。
    真実にたどりつけるように
    生きていてよかったと思えるように編まれている。

    詩を読むということは美しいとものに触れると同時に
    自分に意識を向ける行為なのだとおもう。
    一編の詩を読む数十秒の間に
    心を平静にすることができる。
    まるでマインドフルネス。

    こういったアンソロジーであれば
    人生の広範囲の場面をカバーしていて重宝しそうだ。

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