歳月: 鄭智我作品集

  • 新幹社
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884001063

作品紹介・あらすじ

発禁小説『パルチザンの娘』でデビューした女流作家が、歴史に翻弄されて生きてきた人々の日常を描く。李孝石文学賞(韓国)受賞の「風景」などを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 時代の変化と老い、そして死…、歳月を主題にした韓国の作家の短編集。

    人里離れた山村で認知症を患い、息子すら思い出せない母と生きる『風景』。忘れ去られた孤独な辺境ながら、ときに容赦なく時代の波が襲い、家族に荒廃をもたらします。

    『消滅』はいつか訪れる"消滅"を恐れて逃亡する父親に思いを馳せながら、時の重みに耐える娘の哲学的な思索で無常な生の実相をえがいています。

    著者は本書の結びに、日本の読者にむけて”果たして、韓国の小説がおもしろいと思うでしょうか。その中でも私の小説を”と問うています。

    正直、韓国に純文学があることすら知らなかった無学な私ですが、時代の重みに苦しむ普遍的な人間の生を描いており、登場人物たちの懊悩を自分のことのように身近に感じました。おもしろかったです!

  • 老いてゆくこと、記憶をなくしてゆくことをこんなにも端正に描けるのか
    運にも恵まれなかった人びとを静ひつに描く
    その人たちのかそけき声を著者はすくいとる
    どんな人びとにも自然の春の光だけは平等に降り注ぐ
    すべての短編は詩であり印象派の絵のような美しさがみちている、そこに描かれている人は少しも美や富みや幸運には縁の無い人生を送っているのにもかかわらず
    歳月は流れてゆくだけでなく過去へも戻ってくる


    著者あとがきで丸山健二がすきとある
    この静かな物語の中のぶれない骨、自身を制してるところが鄭智我と丸山健ニに共通していると思う
    韓国文学の重要な作家だ
    文豪である

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