高校生でもわかる日本経済のすごさ

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  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883927067

作品紹介・あらすじ

日本国民誰もが気になっている問題の解決策はこれだ!
「年金」「消費税」「格差」「国の借金」…4つのテーマからみる、日本社会が安泰な理由を、注目の経済評論家・三橋貴明が詳しく、そして易しく解説。

感想・レビュー・書評

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  • この数ヶ月において三橋氏の本を何冊か読んだお陰で、「国債発行高が増加しても日本は破綻しない」ということ、現在の日本の状態は、過去の日本や最近の海外の破綻と比較して異なっていることも理解できるようになってきました。

    この本では今までに三橋氏が解説してきたことを「高校生にもわかる」ように、さらに分かりやすい言葉で解説されていると思います巷に出回っている「破綻本」を読んで不安になっている人にとっては、読みやすい本だと思います。特に、実質実効為替レートが、2007年前後には1973年を下回るほど円安(p84)だった事実には驚きました。

    以下は気になったポイントです。

    ・それを保有していることでお金が儲かる財産を「資産」、逆にお金を損する財産を「負債」と呼ぶ(p14)

    ・日本政府は世界最大の金融資産(467兆円)を保有、2番目はアメリカ政府で08末で250兆円、米GDPが日本の3倍なので凄く大きい(p20)日本国家の資産総額が5515兆円に対して、負債は5271兆円、純資産額は243兆円、これは対外純資産そのもの(p20)

    ・財政的に破綻するのは、借金返済のための現金が最終的に入手不能=営業・投資・財務CFの合計が-になることが大前提、さらに中央政府には4番目のCFとして、中央銀行による国債買取がある(p26)これがある限り、中央政府が自国通貨建ての国債を債務不履行することはあり得ない(p34)

    ・ロシア(1997年)、アルゼンチン(2001年)が破綻したのは、政府が外貨(ドル等)建てで、海外からお金を借りていたいうのが最も重要なポイント(p35)

    ・政府の財政健全化とは、好景気の「結果」として達成されるものであり、「達成すべきもの」ではない、世界中の政府は「高税率・高福祉」の北欧諸国を除いて、借金の残高を増やし続けている(p41)

    ・景気回復(経済成長)には、消費税アップの代わりに政府支出を増大させる、公共投資は主に都市圏のインフラや耐震対策が理想的(p63)

    ・現在のジンバブエ、かつてのドイツ、(多分戦後の日本)は、通貨発行がハイパーインフレの原因ではなく、国内の供給能力が致命的に不足していたから(p65)

    ・輸入対GDP比率(図2-2)で見れば、アメリカ以上に輸入に頼っていない(日本:13.1%、米:14、英:22、韓:36、中:28%)である(p77)

    ・円安及び日本国内の物価安の影響で、実質実効為替レートは下がり続け、2007年前後には、1973年を下回るほどに円安であった(p84)

    ・2008年第4Q(四半期)において対前期比実質GDPはマイナス3.2%となったが、3.1%分は海外需要の縮小によるもの(輸出減少分:マイナス2.6、輸入増加分:マイナス0.5)であり、国内需要はマイナス0.1%であった(p102)

    ・欧米諸国からの無償援助の多くは、国民経済の拡大には用いられず、独裁者による武器購入や個人的に使用される、日本の紐付き援助を受けたアジア諸国は、製造業が発展して、経済が発展した(p113)

    ・2007年10月にIMFが主要国のジニ係数を公表した、諸外国との比較(図3-1)では、日本の格差はさほど大きくないことが明らかになってしまった(p121)

    ・相対的貧困率(年収が全国民の年収中央値:566万円程度の、半分に満たない国民の割合)は2006年7月に、日本はアメリカに次いで2位であったがそれは2000年時点のデータ、2008年に発表された2006年時点では、4位に後退してしまった(p124)

    ・日本の犯罪発生率は、戦後60年間において、ほとんど2%を上回ったことはない、平成19年度の犯罪白書では、1.8%(アメリカ:3.9%、イギリス:10%)であるが、60歳以上の高齢者の受刑者数は多いのが気がかり(p146、217)

    ・日本以外の都市圏の拡大が頭打ちになるのは、1)交通インフラの発展、2)低犯罪率、がクリアーできないため(p155)

    ・イギリス経済誌のエコノミストは、2006年、2009年の2回の発表において、2回連続、日本を「最もイノベーティブな国」と認定した(p157)

    ・1週間に1度以上の頻度でブログを更新する人の数は、日本は7割以上に対して、欧米では23%程度、ブログ投稿言語は日本語は英語を抑えてトップ(p162)

    ・日本国民への年金債務(隠れ債務として1000兆円)は、国民側から見れば「隠れ債権」となる(p179)

    ・現在の年金は半分が税金から支払われている、最終的には保険料を納めない人だけが損をする(p184)

    ・諸外国の年金積立水準を比較すると、日本は3.8年とドイツ:0.1ヶ月、イギリス・フランスは2ヶ月分程度である(p197)

  • 目からウロコとはまさにこのこと。日本の純資産額は世界最大。格差は少ないし、凶悪犯罪も減少。年金制度も危なくない。いかにマスコミに踊らされてるかを痛感。

  • まずは、データに基づく正しい情報を精査し、正しい認識をもつこと。正しい認識から、正しい対処ができる。
    あたりまえのことが、マスメディアのミスリードによりできていない現実がある。正しい情報を得られるよう、各々が努力しないといけない。

    成長しているかぎり、破たんはありえない。

    世代間の格差があるため、「同世代相互扶助」のコンセプトで、社会保障費用をねん出するのが良い。消費税は、景気に関係なく安定した税収が見込めるために、社会保障費用の財源として安心感があるが、消費する主体は老人ではなく若年者が主体なので、介護費用などを、ただでさえお金がない若年者に押し付けることになる。老人介護費用は老人の富裕層が負担するようにすれば?ということ。そういう考えはありかな、と思った。

  • 消費税アップや年金について、考え方が大きく変わりました!
    とにかくデータに裏付けるその説得力がすごい。
    この本に書いてあることが全てとは思わないようにしたいけれど、全く新たな知識と感動を与えてくれたこの一冊は、出会えてよかった一冊に間違いありません。

  • 2009年発売。
    発売当初に購入したけれど、人に貸したら借りパチされた本です。
    最近、図書館で見つけたので、懐かしくなって借りました。

    再読して、やっぱり三橋さんの話は分かりやすいと思いました。
    近頃はテレビでも活躍されており、映像を通じて話を聞く機会も増えていますが、活字でじっくり読むのもよいものです。

  • 将来の不安ばかりあおる話題ばかりだから、こういう本を読むと日本の内部需要が増えていけばいいなと思う。

    日本は団魂の世代以上の人と若い人の貯蓄格差があると言うのは納得する。貯蓄が余裕のある老人たちは生前贈与をもっと積極的に行って、今貰っている年金を若い人に譲ればいいのにと思ってしまう。

  • ■日本が経済破綻するなんてありえない
    ・政府の借金は"自国通貨建て"
    ・日本政府の借金の"債権者は日本国民"
     (外国人債権者は6.4%)
    ・政府は"自国通貨建て"の借金について、永久に繰延しても構わない
    ・日本政府は世界で最も安い金利で国債を発行できる
     →金融市場が日本の返済能力を信用している
    ・買いオペ(中央銀行が通貨を発行して国債を買い取る日常業務)を行うためデフォルトを起こすこと自体が困難
     →買いオペは自国通貨建てだからこそ可能

    ・ロシアやアルゼンチンがデフォルトになったのは"外貨建て"借金を返済できなかったから
     経済の悪化 → 通貨下落 → 国内金利上昇(通貨暴落を防ぐため) 
      → (それでも)通貨暴落 → 実質借金の増大
      → 外貨建て借金返済不能 → 財政破綻

    ※「外国」から「外貨建て」の借金があり、「金利が高い」、
     そして「通貨暴落」、この条件がそろわなければ、
     国家のデフォルトは発生することができない

    ■税収アップ、財政健全化よりも経済成長が重要!
    ・財政健全化とはウソ
     好景気の結果として、政府の借金が減ることはあるが、目的化する意味はない
    ・GDPとは支出総額(お金の流れ)
    ・日本の名目GDPのうち、個人消費が60%
    ・消費税アップは景気を低迷させる
    ・デフレ・ギャップ(供給が需要を上回っている差異)は世界最高水準
     →"物余り"の状況・供給過剰、買いオペを行うことによるインフレ・リスクもない
      米英は供給能力に余力がないため、インフレ・リスクを控えている

    ■日本は"外需依存型経済"ではない
    ・日本の輸出対GDP比は15.5%(2007年) → 日本は"内需依存"
     米8.4% 英15.7% 独39.8% 中36.0% 韓38.3% 露27.3% 
    ・加えて、日本の輸出の74%以上は工業用原料と資本財
     資本財:鉄鋼・シリコンウエハー・工作機械など生産に必要な財
     自動車などの一般消費者の印象に残りやすい耐久消費財わずか18%
     →資本財は円高には比較的強いが、現地の需要縮小には弱い
      リーマンショック以降のGDP下落は円高ではなく、世界的な需要減
    ・円高によるメリットもあり、円高=日本経済破綻と直接考えるのは早計
    ・日本の高度成長期も内需の拡大によって達成されたもの、輸出は少ない
     1955年以降の純輸出(輸出-輸入)GDP比は平均1%未満でしかない

    ■デフレ期に伸びる産業
    ・デフレでは耐久消費財・不動産ビジネス・金融産業は厳しい
    ・インフラビジネスは金利が安くなるため、デフレ期に強い
     交通システム・産業基盤・公共事業・学校・病院・港湾施設・水道・ガス・電気
    ・デフレ≒不況期には政府が支出を増やして需要を増大する
     古代は国王の墓を作ることが、最大の公共事業だった
    ・アメリカをはじめ各国で高速旅客鉄道への投資を開始

    ■日本のODAは有益
    ・日本のODAで建設する場合、日系企業が担当することになり需要増
     日系企業を優遇する"紐付き"は批判されることもあるが双方にメリット大
    ・ODA先では最先端のインフラ整備が可能
     アジアでは韓国・台湾・中国は日本のODAで産業基盤を整備した
    ・欧米からの"紐なし"援助を提供され続けているアフリカ諸国は、
     国民経済の拡大には結びついていない
     アフリカ諸国にはまともな製造業を持つ国が殆どない
     現地国民を豊かにするどころか、独裁者の権力を強化し混乱を招くことも

  • 2009年の書籍ですが、日本の状態を数字で見る良い機会になりました。日本の財務状況や国債の金利が安い理由、年金問題などが分かりやすく説明されています。

    改めて物事を数字で捉え、考える大事さを認識しました。

  • この人の話は本当に分かりやすい。
    結局、成長戦略だよね。

  • ・日本の資産5,500兆円 負債5270兆円、純資産240兆円だが面白いことに純資産=日本国の対外純資産そのものになっている。
    ゴーイングコンサーンなので借金は返済する必要ない。特に政府の国内通貨建て借金を税金で返済るすなど人類史上空前絶後の出来事になる。
    ・日本は輸出立国ではない。対GDP比で15%で韓国38%、ロシア27%、中国36%アメリカ8%で勝っているがヨーロッパ先進諸国依りも低い。
    ・日本は先進国の中で極端に犯罪が少ない国で現在もその傾向は変わっておらず、戦後ほとんど犯罪発生率は2%を越えていない。米国3.8%。日本以外の先進国も戦後は2%位だったが経済成長と比例してあがっていって6、10%位までになってしまった。
    ・都市化とはイコールスラム化であり、ニューヨークやロンドンでも低所得者が一部の地域に集中して住む様になり、その地域の地価下落→住民が逃げ出し、付近一体がスラム化する。東京圏は35,000千人だがニューヨークは20,000千。
    ・欧米のブログは人口の3割未満で日本は7割が参加している。

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著者プロフィール

東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業、NEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立、09年に株式会社三橋貴明事務所を設立した。
2007年、インターネット上の公表データから韓国経済の実態を分析し、内容をまとめた『本当はヤバい!韓国経済』(彩図社)がベストセラーとなる。その後も意欲的に新著を発表している。単行本執筆と同時に、雑誌への連載・寄稿、テレビ・ラジオ番組への出演、全国各地での講演などに活躍している。また、 当人のブログ「新世紀のビッグブラザーへ」の1日のアクセスユーザー数は7万人、推定ユーザー数は21万人に達している。2012年1月現在、人気ブログランキングの「政治部門」1位、総合ランキング2位(参加ブログ総数は約90万件)である。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
主な著書に『国民の教養』(扶桑社)、『疑惑の報道』(飛鳥新社)、『2012年大恐慌に沈む世界 蘇る日本』(徳間書店)、『増税のウソ』(青春出版社)、
『三橋貴明の「日本経済」の真実がよく分かる本』(PHP研究所)などがある。

「2012年 『ユーロ崩壊!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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