- Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
- / ISBN・EAN: 9784878933639
感想・レビュー・書評
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―――いま、という瞬間は、面白い。
いま、いま、いま、と指でおさえているうちにも、いま、は遠くへ飛び去って、あたらしい「いま」が来ている。―――
ひとめ惚れ。
エレカシ宮本さんのお言葉を借りると
「これは感じのいい本だ。」
『女生徒』の短編自体はじめて読みました。
ある女生徒の朝から晩までの生活と、それに寄り添う思考回路をただただ追いかけた話。
言葉づかいがとても可愛い。
感熱紙に印刷したワープロ文字のような書体も可愛い。
白っぽくクリーム色のような写真もぜんぶキレイ。
何度もひらきたくなる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
A5版変形サイズの本。
白い表紙に、「女生徒」と書かれているだけ。
それが女生徒そのものを表しているようで、惹かれる。
近衛文麿のことが書かれているから、戦中の女生徒の姿なのだろう。一人称で書かれているところも良い。太宰治は一人称の魔術師だと思っている。
モチーフとなった有明淑の日記は、このように赤裸々な筆致だったのだろうか。戦前戦中の女性は、教育勅語と修身で学んできたから、どこか紋切型だと思っていた。彼女のように我々と変わらない、清濁併呑みながら生きている姿がわかり、かえって新鮮に映った。
それが本著にある写真で、伝わってくる。 -
古本屋さんで見つけて手にとった本。
もともと女生徒は読みたいなって思っていたから
文庫本を買うつもりだったけど、引き寄せられるようにこの本を買いました。
自分に重なる部分や、共感のある部分が多くて、読んでよかったな、と思います。
古本だったのもあり、
私の先に買った人が線を引いていて、
「どんなことを思って、考えて、線を引いたんだろう」と考えながら読むのも楽しかったです。
添えられた写真も好きでした。 -
数多く出版されている『女生徒』だが、この本は特にブックデザインが目を見張る。文の見開きと写真2枚の見開きが交互に繰り返され、小説の内容の情緒性を引き立てている。
写真 佐内正史さん
装丁 葛西薫さん、池田泰幸さん -
シブヤパブリッシングブックセラーズにて、佐内さんの写真に惹かれて購入
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太宰は乙女だったのか。
少女の気分に浸りたくなったら、これひとつ読めば十二分に満たされて、なにぶん飽きて、待ち受けてる大人の人生を進もうかと思える。食傷気味になるほどだから、上質な文章なのだろう。 -
今の自分がこの本に出会えてよかったなあと思った。
共感できるところが幾つかあって、あぁ同じ事考えてるな、といったん本を閉じて深く考え込みたくなる。
洗濯しながら月に向かって微笑んだ所なんかそうだった。どこかで、全く同じ事をしている人がいて同じ事を思って、どこか惨めに暮らしているんじゃないかとか考えたりする。
こんな変な事を考えるのは自分だけだと思ってた。みんな同じか…引け目を感じていて、それでもやっぱりすっきり美しく生きたいと思ってるんだ。
誰よりも美しく清く生きよう。
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「こんなくだらないことに平然となれる様に、早く強く、清く、なりたかった。」
「なぜ私たちは自分だけに満足し、自分だけを一生愛して行けないのだろう。」
「うんと重い病気になって、汗を滝のように流して細く痩せたら、私も、すっきり清浄になれるかもしれない。」 -
太宰&写真佐内さん。写真集ちゃうけどー。
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大好きだった先生が退任なさったときにいただいた本です。
太宰治が女の子のフリをして書いたのですが、青春時代の女の子のまぶしくてちょっと切ない感じにとても共感しました。
この本には、現代の日本の風景、現代の日本の女の子の写真が挿入されていて、より文章の世界観にはいりやすくなっているんじゃないかなと思います。
何か作るときにインスピレーションをくれる大切な本です。 -
葛西薫さんのアートディレクションで太宰治の女生徒を左内正史の写真とコラボレーションさせています。太宰の時代の女生徒であっても現代の女生徒にあてはめても違和感ないのが太宰のすごいところかもしれない。