虹の鳥【新装版】

著者 :
  • 影書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877144715

作品紹介・あらすじ

「そして全て死に果てればいい。」――
基地の島に連なる憎しみと暴力。
それはいつか奴らに向かうだろう。
その姿を目にできれば全てが変わるという幻の虹の鳥を求め、夜の森へ疾走する二人。
鋭い鳥の声が今、オキナワの闇を引き裂く――
救い無き現実の極限を描き衝撃を与えた傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 描写が読んでいてひたすら辛い。残酷。
    けれども、それだけではない。

    普通の少年が不良のパシリになり、地元の不良先輩から命じられて、マユという女性の生活の面倒を見ながら美人局をさせている。
    ところがある日、マユが「ホテル」ではなく、主人公も住む「自分のアパート」に客を連れ込むことから、人生がさらに狂い始める。

    その遠因は「米軍基地にある」ということを主張したい小説ではないし、事実として物事はそう単純なわけがないが、一方で彼ら見ている風景には常に米軍基地があり、その恩恵によって生きている人たちがいて、そしてその恩恵によって狂わされる人生もある。

    普通の少年が暴力の世界にいつの間にか入り込んでしまい、抜け出したいと思いながらも他に行く場所もなく、逃げ出す勇気もなく、「なぜあのとき」と思ってしまう姿には共感をした。
    僕自身が10代の頃に不良のパシリだったからかもしれないが、とてもリアリティのある感情表現だった。

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著者プロフィール

1960年、沖縄県今帰仁村生まれ。琉球大学法文学部卒。
1983年「魚群記」で第11回琉球新報短編小説賞受賞。1986年「平和通りと名付けられた街を歩いて」で第12回新沖縄文学賞受賞。1997年「水滴」で第117回芥川賞受賞。2000年「魂込め(まぶいぐみ)」で第4回木山捷平文学賞、第26回川端康成文学賞受賞。
著書:(小説)『目取真俊短篇小説選集』全3巻〔第1巻『魚群記』、第2巻『赤い椰子の葉』、第3巻『面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)』〕、『眼の奥の森』、『虹の鳥』、『平和通りと名付けられた街を歩いて』(以上、影書房)、『風音』(リトルモア)、『群蝶の木』、『魂込め』(以上、朝日新聞社)、『水滴』(文藝春秋)ほか。
(評論集)『ヤンバルの深き森と海より』(影書房)、『沖縄「戦後」ゼロ年』(日本放送出版協会)、『沖縄/地を読む 時を見る』、『沖縄/草の声・根の意志』(以上、世織書房)ほか。
(共著)『沖縄と国家』(角川新書、辺見庸との共著)ほか。
ブログ「海鳴りの島から」:http://blog.goo.ne.jp/awamori777

「2023年 『魂魄の道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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