日本型ヘイトスピーチとは何か: 社会を破壊するレイシズムの登場

著者 :
  • 影書房
4.25
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本棚登録 : 98
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877144685

作品紹介・あらすじ

嗤いながら「死ね、殺せ」と路上でジェノサイドを扇動するヘイトスピーチの起源は何か? 関東大震災時の朝鮮人虐殺のみならず、朝鮮高校生襲撃事件、チマチョゴリ切り裂き事件など、戦後も間断なく続いてきた在日コリアンへのヘイトクライム事例をひもとき、深刻さが増す近年の日本のレイシズムの特質と課題を分析する。

感想・レビュー・書評

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  • 日本(国民)が在日コリアンの方々に取ってきた行為の数々があまりに酷く、読み進めるのに時間を要したが、皆が読んだ方がいい本だと思う。
    レイシズムの被害者がここまで(レイシズムを減らすための提言まで)しなくてはならない状況に追い込んでいるのが、申し訳ないような気分になった。
    日本が企業社会であり、そのために各種差別が温存されたままになっているという考えについては、興味深く読んだ。

  • 日本では、なぜレイシズム(差別)が、ここまで不可視化されているのか。その理由は、日本社会
    に反レイシズム(反民族差別)という社会的規範が成立していないからである。(P.13)

    1952年体制*の設立によって、日本国籍の壁が在日子リアンの頭ごしに移動してレイシズムの壁とゆ着することになった。これによって日本政府は、もはや朝鮮戸籍などのアパルトヘイトの
    な公的なレイシズム法・政策をつくる必要から解放された。どの国民国家にも当たり前に見られる入
    管法制と国境管理が利用する「国籍の壁」を利用すれば、レイシズム政策と同じ効果が得られるから
    「レイシズムの壁」が国籍の壁とゆ着し、あたかもレイシズムを"国籍区別"であるかのように偽装するこの五二年体制こそが、日本のレイシズム政策を先進国のあいだでもっとも見えにくくしているしくみの一つである(一一八頁図7)。(P.126)
    *旧植民地出身者の日本国籍がはく奪され、今日までの外国人管理法制の根幹をなす体制。
    在日コリアンの国籍について規定がなく、朝鮮人側の意見も取り扱われずに、国籍選択権が一切認められていないという問題に加えて、そもそもこれは憲法違反(憲法10条)であると著者は指摘する。

    現時点では、Ⅲヘイトスピーチはレイシズム暴力とはいえ、組織された政治暴力をともなうまでに
    はいたっていない。だが、政治空間に浸透した極右が政治暴力を行使するようになり、それと皿のレ
    ィシズム運動が結合するような事態になった場合、レイシズム暴力は、いまのような襲撃や偶発的暴
    本章で分析した三つの原因――反レイシズム規範の欠如、上からの差別煽動、歴史否定―ーを人びとが
    是正・抑制できなければ、レイシズム煽動が流血の事態にいたることを止めることができない。それ
    はマイノリティを破壊するだけでなく、マジョリティの人格を腐敗させるにとどまらず、民主主義と
    社会を最終的に圧殺せずにはいないはずだ。(P.285)

  • twitterで著者がある人物に返信されているのを拝見して著書にも興味が沸きました。必読書でした。

  • 20/02/28。
    12/05読了。遅くなったが『レイシズムとは何か』とともに、今年読んだ本の中のベストの一つ。

  • 2016年に出てたのか……早く読めばよかった。
    2020年始まったばかりだけど、今年読んだ本ベスト5に入りそうな予感。

  • 東2法経図・6F開架:316.8A/Y57n//K

  • 社会

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著者プロフィール

反レイシズム情報センター(ARIC)代表
おもな著作 『レイシズムとは何か』(ちくま新書)筑摩書房、『日本型ヘイトスピーチとは何か: 社会を破壊するレイシズムの登場』影書房、など多数。

「2021年 『右傾化・女性蔑視・差別の日本の「おじさん」政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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