- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874741429
作品紹介・あらすじ
本書は、ナイチンゲールによって一世紀以上も前に書かれ、現在も看護の思想の原点となっている “ Notes on Nursing ” の完訳 である。
「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさ、などを 適切に整え、食事内容を適切に選択し 適切に与えること ― こういったことのすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えること、を意味すべきである」 と看護の原点と基本的原理を論述する本書は、すべて看護を学ぶ者の必読の書である。
◆◆◆ 現代社版 『看護覚え書』 の優れた特性◆◆◆
現代社版 『看護覚え書』には、他の訳本には決して見られない、多くの優れた特性があります。
(1) 「看護専門家」を中心にした、ナイチンゲール研究の「専門家集団」 による翻訳である。
※ 5名の翻訳者団の構成は、3名の看護師、1名の医師、1名の臨床心理学者です。
(2) 「徹底した検討討議」 による共訳の産物である。
※ 5名の訳者が、 それぞれの専門的視点から読み取り、それらを突き合わせて討論を重ね、了解と納得に達した上での解釈と訳文です。
(3) 45年にわたる「ナイチンゲール研究の蓄積」が反映されている。
※ 1965年からの研究開始としても、その訳者団による、45年にもわたるナイチンゲール研究の成果の結晶としての、現代社版なのです。
(4) ナイチンゲールの著作から 『看護覚え書』 のみを抜き出した翻訳ではない。
※翻訳の基盤には、多くのナイチンゲールの著作を研究し翻訳してきた学問的な実績の積み重ねの裏付けがあります。単に『看護覚え書』だけを拾い出したものではありません。
(5) 採用した原文(底本)は「世界で初めて」の復刊版である。
※『看護覚え書』の原文には、大別して第1版 ・第2版 ・第3版がありますが、 ナイチンゲール思想が強く描出されている第2版の存在を発見し、世に紹介したのは、現代社版の訳者団であり、それは実に約114年ぶりの復刊です。
(6) 世界で初めて、第2版 に 第3版の16章「赤ん坊の世話」の章を付録として編纂された版である。
※本書には、付録として原文 第3版の第16章 「赤ん坊の世話」 が付せられていますが、 原文の第2版と 「赤ん坊の世話」 の組合せという編集は世界初の試みであり、その後、英国の研究者によって、その意義が見事に実証されました。
(7) ナイチンゲール研究の進展と共に、「6回にわたる改訳」 を重ねてきた実績をもっている。
(8) 多くの読者や識者からの意見や提案などを反映した「超共訳書」であり、看護界および介護界に定着した『定訳・看護覚え書』であり、 看護界と介護界にとっての共有の知的財産とさえ言える。
(9) 詳細を極める 「用語索引」 で、 ナイチンゲール思想をより多角的かつ統合的に把握することができる。
(10)文字配列 が 「縦書き」 で、「大きな文字」 を使っているので、読みやすく理解しやすい。
感想・レビュー・書評
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シンプルに、こういう本に出会うために23年生きてきたんだなと思った。今年読んだものの中で確実に5の指に入った。
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ナイチンゲールの本。
なかでも部屋を通気することの大切さを知った。 -
医学部分館2階書架:WY100/NIG:https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410163290
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ロンドンで子供が5歳になるまでに5人に2人が死亡する時代(1860年)に書かれた看護本。劣悪な衛生環境とそれに対する教育が軽んじられていることへの憤りが端々に感じられる覚書。患者に対する注意と観察、患者の立場になってものを考えて行動する重要性を説いている。
>このよい例が「寒気(かんき)」と「換気(かんき)」のとんでもない混合であり、かなりの教育を受けた人々でさえこの間違いを犯している(改訂第7版 P33)
これ元の英文どうなってるんだろう… -
学生以来読み直してみた。
当時の看護の実践内容(特に換気と食事について)が詳しく記載されている。当然、医学知識も気候も違う現代日本にそのまま適応できる技術ばかりではない。
ただ、看護師の役割や女性の職業についての考え方、観察とは何か、患者と関わる上での心構えについては、今後何度読み直しても参考になると思う。
看護師のみならず、誰かをケアしたいと思う全ての人にとっての必読書だと思う。 -
ゲームがきっかけでナイチンゲールに興味を持ち読みました。
「ランプの貴婦人」と呼ばれていたことから、献身的で、自己犠牲も厭わない...というイメージでしたが、
自分がいない状況でも正しく適切な処置が行える状態に環境を整えることが大事である、と説いており、限りなく現実的に人を救うことに尽力していたことが窺えました。
換気の方法や食事などの記載が多いですが「お見舞いの時に病状を聞くくらいなら、何か具体的な善が成されたことを話しなさい」など見舞客への指摘もあり、看護従事者ではない私にとっても、為になる内容が多くありなした。
記載の文体が終始辛口で、人の命を救いたいが故の過激さが垣間見れました。