みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
- オライリージャパン (2020年3月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784873119090
作品紹介・あらすじ
エンジニアと協業する人たちが「アジャイルである」ことを理解する !
ソフトウェアおよびプロダクト開発、運用管理では「アジャイル」は前提となっています。デジタルトランスフォーメーションの活発化が求められており、エンジニアおよびエンジニアと協業するチーム、マーケティング担当者、プロダクトマネージャ、上級管理者など、組織全体が「アジャイル」とはどういうことかをイメージでき、どうすれば機能するかを解説します。
感想・レビュー・書評
-
本書を読み、ぼんやりしていた「アジャイル」という言葉の意味がよりはっきり理解できるようになった。
アジャイルは、目的ではなく「顧客の成功」を達成するための手段である。
アジャイルは定型のものではなく、取り入れることでうまくいくかもしれない過去事例に基づくプラクティス集があるのみである。
常に「なぜやるか」を重視し、根本的に必要ないと判断されたことは捨てるアプローチもある。
いきなりアジャイルを効果的に使いこなすことは難しいことを理解し、来週から実践サイクルを回していきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アジャイルに何のために取り組むのか、
取り組んでいくうえでどこに躓きポイントがあるか
といったことについてまとめている本。
読みやすかったといえば読みやすかったが、
こうなりがちというところが多く目立った印象でした。
気づいたら上手くいっているということは無いので、
ひっかかるところを振り返って変化に強い、
みんなが主体性を持ったチーム作りに励みたい。
【勉強になったこと】
・成功するアジャイルの適用は、
常に厳しく正直に現状を見ることからはじまる。
・顧客中心主義になるためにも、
全てにおいて顧客のフィードバックを必須とせよ。
・すでに動いているものを見つけてサポートする、
もしくは動いているネットワーク同士をネットワーク
する。そうすることで勢いが増していく。
・会議の出席を任意にすることで、
それでも出席する人からその会議から得られる
有益な情報(価値)を確認し、会議の良さを引き出す。
・振り替えりで大事なのは、どうやってその仕事を
終わらせることが出来たか?
・WHPIのステップ
なぜ、どうやって、プロトタイプ、繰り返す
・WHPIを使うときは、「なぜ」を
イテレーションの間に再考すること。 -
原則と価値観に立脚し、プラクティスに振り回されず本質的な意味でアジャイルを実践する。
アジャイル開発とは親戚のようなリーン、DevOps、デザイン思考との関係性、近接しているがゆえの用語の重複。そこで発生するコンフリクト。
200ページに満たないコンパクトな中に散りばめられた問題提起は、主体的にアジャイル開発と向き合う人間なら必ずといっていいほどぶちあたるものだ。
不確実性と向き合うことを体現するかのように、明確なプラクティスの提示という形での解決はほとんどない。
(そこは、初学者にとっては戸惑うところになりそうだ)
アジャイル開発の理念に共感し、自らの組織の壁に失望する。そういったアジャイルファーストペンギンたちが再び立ち上がるための強力なパートナーになりそうな一冊だ。 -
ライトにアジャイルを学ぶために、というノリで手に取った。その目的には合致してた。
・ライトだったので、本質っぽいものは手に入らない
・ただ本質っぽいものは、書籍からはそもそも手に入らないかもな、と読んでて思った
・それだけ、アジャイルを使っていくうえでは、実践でいかに苦労するか、が推察される、そんな本だった。
・ただし、ネガティブではない。それだけ取り扱いが難しい、難易度が高いもの、がアジャイルなんだろう(前説で及川卓也氏が、アジャイルはおすすめしない、と言ってるぐらいなので)
--
- リーン、デザイン思考などとも、似ている。同じことを違う言葉で示しているだけのこともある。大別すると、リーンは効率性、デザイン思考はユーザビリティ、アジャイルはベロシティ(機能リリースまでのスピード)を特に重視するという点で異なるが、その程度。
- cf. ガートナーは順番に示している(これのほうがわかりやすい気もする) https://ncdc.co.jp/columns/6354/ -
あらゆるビジネスにアジャイル開発のエッセンスを注入するインサイトを提供してくれます。
アジャイルを導入したけど以下の問題が拭えないという方は、特にお勧めできると思います。
・アジャイルな手法を導入したけど効果が感じられない
・アジャイルのマインドセットを説いても宗教のような印象を持たれてしまう
私もムーブメントとしてのアジャイルを推進できるように精進します。 -
開発チーム内にアジャイルのやり方を導入するのは形式的なものであったとしてもそれなりに上手く回るしそれなりの恩恵を得ることができる。しかし組織全体にアジャイルを導入するとなると非常に困難なものとなる。今の作業をアジャイルプラクティスの名称に置き換えただけで実際には何も変わらない。本書では組織にアジャイルを導入するためのアドアイスをしてくれる。まずアジャイルとは何か?から「顧客から始める」「早期から頻繁にコラボレーションする」「不確実性を計画する」そして「これら3つの原則に従い、速くて柔軟で顧客第一」という原則を導き出す。その原則ごとに組織がなぜアジャイルができないかを明らかにし、何をしなければならないかを説明している。その際、経営やマーケティングなどのチームが実践するためのポイント、良い方向に進んでいる兆候、悪い方向へ進んでいる兆候を示すことでアジャイルの導入の手助けをしてくれる。本書ではいくつかの企業の例が掲載されているが、アジャイルなやり方であるがアジャイルをやっているとは言っていない企業も存在する。また、スクラムやスプリント、レトロスペクティブなどのアジャイルの技法の解説もない。このことからアジャイルというのは手続きではなく考え方であるということを再認識させてくれる。
-
何か具体的な手法を求めていたのに何も書いてないとレビューしている人がいて、本の中身何も読んでないねんなというのが可視化されていた。
-
あとでまとめるメモ
組織重力の3法則
リーンとデザイン思考の分類分け
ムーブメントとしてのアジャイル -
アジャイルはムーブメント。
この一言が伝わる内容。人間との対話視点だとふりかえりがほんと大事だなと。
「継続的改善とは、継続的に自分の問題を告白し、対応していくこと」という一文に出会えただけでよい。 -
「みんなで」アジャイル。 本当にすごい本だった。 昨年、先輩に紹介されて絶対買わなきゃと思ったメモが一年経過してしまったのですが、ようやく調達・購入できました。遅くなってすみません、という感じです。
というのも、本書の邦訳を担当されている、吉羽 龍太郎さん、そしてまえがきを担当している、及川 卓也さん、両名わが社の技術顧問としてご支援いただいておるのです。 僕は残念ながらソフトウェア技術者ではなくて、今は営業を担当している職責なのですが、相当気になっていた本で、読めてよかった。
「変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた」という副題がとても素敵だと思いました。 企業変革のプロジェクトにいくつか関わっており、今後とも、ぜひ参考にしたいと、二度読み・熟読・ふせんはりはり・ライン引きまくりしてました。
本当に、「みんなで」アジャイル。 組織変革を行っていく上で、アジャイルの価値と原則がどのように効果的か、を説いてくれている本。 200ページもない本ではありますが、(企業理念・信条策定に関わった皆様、支店のビジョン策定に関わった皆様含め)本当に多くの方に読んでいただきたいと願う。
僕にとっては、実はかなり手ごたえのある、というか難しかった本なのですが、ちょうど先日『This is Lean』を読み切ったこともあり、なんとかどうにか理解を進めることができました。(重要なのは、「顧客の目で見たスピードだけだ」の記述も含め。) P16に記載されていたアジャイル、リーン、デザイン思考の整理が、ものすごくわかりやすくて、ストーーンと腹落ちしました。ナルホド!!!と一人で大きく感動しておりました。(そしてこの本に続いては「アジャイル開発とスクラム 第2版」を読んでみる予定)
二度読みして、この本の立体的な構造が理解でき、あらためてナルホド!と思いました。 本当に多くの方に読んでいただきたい。 すごすぎて伝えたいことが多くて、投稿(引用)のボリュームも相当多くなってしまった。。
本書の内容としては、「アジャイルソフトウェア開発宣言」の全文から「価値」を伝え、アジャイルを「ムーブメント」と捉えることにより、『手法とマインドセットの両方』を変化させ、アジャイルの3つの「原則」を各章にて分析・解説して、最後に「すべてをつなげる」として、さらにプレイブックもつけて行動を促す、という構成。
P163 の終わりに、に以下記載があって、ずしんと来る。
本当の意味で組織を変革したいなら、アジャイルはプロセスや効率よりも、人と文化に関することであると常に主張しなければいけない。
価値と原則から始めることで、ソフトウェアエンジニアや特定のフレームワークのトレーニングを受けた人だけでなく、本当にすべての人がアジャイルにアプローチできる道を示せるのだ。
ということで、いつもの抜粋引用に入る前に、「価値」と「原則」の部分を抽出しておきたい。
=====
『価値』
プロセスやツールよりも個人との対話を
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
契約交渉よりも顧客との協調を
計画に従うことよりも変化への対応を
価値とする。
=====
=====
『原則』
・顧客から始めるのがアジャイル。
・早期から頻繁にコラボレーションするのがアジャイル。
・不確実性を計画するのがアジャイル。
=====
そして6章には 「3つの原則に従い、速くて柔軟で顧客第一なのがアジャイル」 とタイトルされていた。
以下、改めまして抜粋引用となります。(ふせんはりはりしすぎで多いです)
=======
○はじめに
アジャイルは単にプロセスやツールについてではなく、人や文化についてのものだということだ。(中略)
実際、アジャイルの本当に強力な点は、具体的で実行可能なプラクティスを提供していることだけでも、人を活気づけるような原則によって導かれていることだけでもなく、必然的にそれら両方を含んでいることなのだ。アジャイルは私たちの理想と行動を互いに密にし続けることを要求する。そのため、私たちが何らかの行動をするときには、なぜ個人、チーム、組織としてその行動をするのかを自問するよう求めるのだ。
本書は、顧客中心主義、コラボレーション、変化に対してオープンであることが現代の組織の中心にあるべきだと信じる人のためのものだ。
アジャイルソフトウェア開発宣言の署名者の一人の言葉によると、アジャイルムーブメントは「相互の信頼と尊敬にもとづく価値観の集合であり、人を中心とした組織モデルの推進、コラボレーション、そして働きたいと思えるような組織的なコミュニティの構築である」という考えにもとづいていた。
○P15
今日の不確実性の高い環境においては、顧客について学習することに寄与しないものは、リーン用語で言えば、すべてムダであるということだ。
(中略)
すなわち、急速に変化する世界において、組織はどのようにして顧客のニーズを満たすことができるのかという課題だ。これらのムーブメントの解決策はそれぞれ少しずつ異なるものの、顧客中心主義、コラボレーション、変化へのオープンさ、といったような類似した価値観を原動力にしているという点では同じである。
○P26
成功するアジャイルの適用は、常に厳しく正直に現状を見ることから始まる。何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか。
○P29
「アジャイルの価値と原則をどのように捉えたら、私たちのチームや組織のゴールを達成するのに役立つだろうか?」と質問することで、導入後にアジャイルを軽視したり無視したりしようとする人たちの疑念や分断を払しょくできる。
○P35
アジャイルの旅を成功させるには、単に人がどう協力し合うかだけでなく、顧客のためにどう協力しあうかが重要なのだ。(中略)
顧客中心主義は役割、チーム、職能を越えて組織を一体にして連携させる概念だ。顧客中心主義によって目的意識を共有し、ツールセットや手法に関係ない共通の成功の基準がもたらされる。
○P40
顧客の視点から速度を見るとはどういう意味だろうか? 私たちが答えるべきいちばん重要な質問は「多くの作業をどれくらい迅速にこなしているか」ではなく、むしろ「どれだけすばやく顧客に価値を届けられるか」だ。
○P60
顧客から始めることが重要になるのだ。 顧客から始めることで、絶えず変化を続ける顧客のニーズやゴールを、何を作るか、そしてどう作るかにつなげていくだけの余裕を持てるようにするのだ。
○P63
本当のコラボレーションには、主義主張を超えて、オープンであること、弱さを認めること、当事者意識を共有する意欲が必要だ。
○P68
こういった組織は、根本的な文化の転換が必要だ。 報告と批評の文化から協調的な文化への転換である。
○P81
なぜデイリースタンドアップをやっているかを明確にする
(中略)デイリースタンドアップに価値がないと感じているようだったら、手順に従わないのを責めるのではなく学習の機会であると捉えよう。 チームのメンバーと、このプラクティスからどんな価値を得たいかについて会話をしよう。それから、今のプラクティスから価値が得られていない理由は何かについても会話をしよう。
○P90
オープンな環境で失敗するという選択をすること、つまり完成して洗練する前に共有すること、プロジェクトの全体的な形や方向性に対するインプットを求めることは、本当のコラボレーション文化に対する貢献になる。
○P93
アジャイルソフトウェア開発宣言は私たちに「計画に従うよりも変化への対応」により価値を置くことを気づかせ、アジャイルは私たちが従う実際の計画に対して堂々と変化を取り込む方法を教えてくれる。
○P99
変化を拒むのではなく変化を祝うことで、この新しく手に入れた柔軟性に注目を集められるようになる。(中略)「今この問題が見つかってよかった。四半期目標を達成する時間があるうちに軌道修正しよう」と言えるのだ。
(中略)組織全体が本来あるべき「アジャイル」でないと責めても、チームの士気とモチベーションを落とすだけだ。代わりに、組織の現実的な制約を踏まえて、何ができるかに焦点を合わせよう。
○P105
私はチームに「これは実際のところどう役に立つのですか?」と言わなければいけませんでした。(中略)顧客のために私たちが作り出す価値を通じてその焦点が理解できるような、より大局的で方向性がはっきりした考え方を取り入れる方法について話し合いました。これは、多くの決まり切ったアジャイルの儀式から離れて、チームとして「どうすれば、私たち自身と顧客が望む成果を達成できるだろうか」と聞き続けることをを意味していました。
(中略)最終的には、「本のとおり」にアジャイルを実践することで得られる安心感か安全間を捨て、チームの人たちにとって最適なプラクティスを見つけることが必要になる。
○P107
みんなを集めてオープンな対話をしなければ大きな問題になってしまうような馬鹿げた問題や誤解はたくさんあるのです。チームの前で自分のことを表現できるようなセーフティネットさえあれば、そこから十分に始められることもあります。
○P119
変わり続ける顧客のニーズを満たすために、一緒に働く個人の集まりが組織なのだ。組織の個人個人には、組織を速く、柔軟で、顧客第一にする役割がある。その意味では、「みんなでアジャイル」は、アジャイルの適用範囲が広いという意味にとどまらない。アジャイルは組織の全員に適用されたとき、一番効果を発揮し、変革を促進する。どんなレベル、チーム、役割でも、日々の仕事に原則を適用しなければいけない。
○P120
チャレンジが大きくなるにつれ、華々しいアジャイル用語でないアジャイルの根底にある価値観が、長年「いつもどおりのビジネス」を回してきた組織のリーダーたちのふるまいやきたいと合致しなくなるということだ。
○P124
価値を足し無駄をなくすには、継続的に改善しなければいけません。理解していないリーダーも多いですが、「継続的改善」とは、継続的に自分の問題を告白し、対応していくことなのです。
(中略)
アジャイルの適用によって失うものがいちばん多いミドルマネージャーのような人たちと働くときは、特に気を付ける必要がある。ミドルマネージャーの仕事は、注意深く上向きと下向きの情報の流れを管理することだった。アジャイルが信条とする透明性とコラボレーションとは逆の動きだ。
○P149
アジャイルの3つの原則は、すべて合わさったとき、明確で強い力となる。変わり続ける顧客ニーズを満たすために一緒になって働くのだ。これが本書の議論の目的だが、言うは易し、行うは難しだ。だが、オープンさと可能性を見出しながらアジャイルに取り組んでいけば、より良い新しい仕事のやり方を見つけられる可能性は常にある。
○P155
あなたの原則も顧客中心主義、コラボレーション、変化への対応という考え方をチームに響く特別な言葉で捉える必要がある。ここでは、一歩下がって組織レベルに立って、これらの原則がチームや職能に関係なく理解できるような言葉になっていることを確認する。
=======