- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871773560
作品紹介・あらすじ
あらゆる民族には豊かな生活造形の世界が存在する。
人々はどのように素材を利用し、
その地の風土と文化環境に合った染織・服飾を作り上げてきたのか。
東アジアからインド、ペルシャ、中央アジア。さらに中東からヨーロッパにかけて行き来してきた服飾・染織の世界を、現地でのフィールド調査、博物館における実物資料の分析と展示、文献の渉猟それぞれの方法によって進めた、アジアの染織・服飾文化研究の集大成。
各民族の生活世界を、多数の図版も使い紹介する。
感想・レビュー・書評
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https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1384155詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文化学園大学の教授である著者が、長年調査、研究してきたアジアの服飾文化について紹介している一冊だ。
華やかな染織の話でありながら、写真の点数は少なく、カラー写真は口絵のみという専門書の形式で、タイトルからたくさんの図版を期待して手に取ると、読み進めるのには文字が多くてちょっと苦労する。
しかし、風土によっていかに民族衣装の形に違いがあるかという話から始まり、絞りや刺繍といった技法の歴史、紫や藍といった色について、あるいは地域毎の服飾文化など、様々な切り口で紹介される内容は多彩で、非常に興味深い。
ペイズリー柄がどのように生まれ進化していったか、とか、カシミアショールの歴史など、初めて知ることも多く、驚かされた。
いつの時代、どの国でも、美しいものを生み出す人たちは様々な労苦が伴い、搾取され、その美しいものを用いる人たちは富んで強欲なんだなあ、としみじみ思う。
ぜひたくさんの図版ありの写真集版でも読みたい一冊。