主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら 15冊から読み解く家事労働と資本主義の過去・現在・未来

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866471891

作品紹介・あらすじ

「主婦は家でぐうたら」している? そう言われた韓国のひとりの主婦が、
日本でも翻訳されている話題の書を含む15冊を読み解き、
こんな言葉を生む社会の仕組みの始まりをたどる旅へ──

「労働者が妻を扶養しているのではなく、妻が、
労働者を働きに出られるように扶養しているのだ。」──本文より

女性、男性、非婚女性、すべての人類のこれからを考えるための教養エッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • とてもおもしろかった。翻訳ものであるが、ケア関連の書籍としては非常に読みやすい。日本より強く家父長制が残る韓国で、ケア労働はどう捉えられ消化されるのか。その点でも興味の尽きない本だった。タイトルが印象的で、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か』を思わせるが、原著のタイトルは全く違うらしい。

    著者のチョン・アウンさんは韓国人。主婦にして作家だが、家事や育児のために勤め先を辞めた経験を持つ。家族を大切にする暮らしは充実しつつも、時折投げかけられる夫や親類縁者、友人たちの言葉にどこかモヤモヤしたものを抱えていたチョンさんは、ある日、講演の席で主婦の稼ぎがないことをどう思うかという質問を受ける。

    やることはやっているのに、なぜ主婦は「遊んでいる」と言われなければならないのか。そこでチョンさんは、はたと思い当たるのである。すべては「お金」の問題なんだ。そこから、15冊の書籍を手がかりにした彼女の思索の旅が始まる。 

    私は日本人で、男性で、結婚もしていなければ子どももいない(電車の中でカバーもせずに読んでいたら、初老の女性に本の表紙と私の顔を何度も見直された笑)。作者とは重なる部分がまるでないが、読んでいて共感を覚えた。紹介される書籍は日本未刊行のものも多いが、そこもあまり気にならなかった。本書は書籍レビューの形をとっているが、本筋はそこにはないからだ。女性はもちろん、男性にもおすすめの本。

  • <読んでみないかい?>主婦は夫を扶養しているのだ:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/801047

    『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』(チョン・アウン/ 著  生田美保/訳 DU BOOKS) – K-BOOK振興会
    https://k-book.org/yomeru/230119/

    主婦は家でぐうたらしているのか 男たちが文字に封印した家事労働―社会×歴史×経済の秘密を暴く (당신이 집에서 논다는 거짓말 ) – K-BOOK振興会
    https://k-book.org/yomitai/20210426/

    정아은 - YES24
    https://bit.ly/3xogRmb

    主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら/チョン・アウン/15冊から読み解く家事労働と資本主義の過去・現在・未来|DU BOOKS|ディスクユニオンの出版部門
    https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK329

  • 読み始めて、今のわたしにはちょっと難しい本かな?と思ったけれど、いちばんしっくりくる部分がエピローグにあったので、最後まで読んでよかったと思った。わたしもありがたく専業主婦でいさせてもらっているので、女の方がラッキーと思うけど、もし夫が逆になりたいと言ったらその時は周りの誰が反対しても代わってあげたいと思っている。

    へえ〜なるほど、と思う部分がたくさんあって面白かったのだけど、特に唯一読んだことのあった「女2人暮らしています」のところは、チョン・アウンさんからみるとそんな話だったのか!と、なんだかペア読書したみたいな気分になって楽しかった。

  • "ときどき、こんなことを考える。女性が年を取るというのは、世の中のすべてが「男性」を基本値として想定していることに気づく過程なのではないかと。人間の歴史だと学んできたものが実は男性の歴史であり、人間の習わしだと学んできたものが実は男性の習わしだったという事実を体感する瞬間の連続ではないかと。その事実を痛みをもって体感しながら、女性である自分の視線で世の中をひとつひとつ再定義すること、それが、女性が年を取ることの本質ではないかと。"(p.108)


    これか。わたし今まさに(40過ぎてからは特に顕著に)この過程にあって、だからいろいろしんどくもあるのか。
    読みながら自分のモヤモヤがひとつずつ言語化されてクリアになっていく感じがして興奮した。具体的に何かを変えられるわけじゃないけど、新しい視野を得て、慰めと勇気をもらった気分。
    原題は『당신이 집에서 논다는 거짓말』(あなたが家で遊んでいるというウソ)。こっちも直球でいいな。

  • 大変良かった。
    序章のところを読んでいて涙が出そうになりました。専業主婦が「遊んでいる」と言われる理不尽さ。そこまで言われたことはなくても、似たような経験はみんなあると思います。
    結局、専業主婦になっても大変、働いても大変。

    韓国の主婦のほうが大変な面はさらに多そうな印象を受けました。親族が集まった際に料理を作ったり、子どもの教育にかける労力も。

    何を目指して子育てをするのか、働くのか、考えながら読める本です。

    紹介されていた本で、読んでみたいものもいくつかありました。

  • 主婦が自らを孤立させ、家族を社会から孤立させる。というフレーズが一番怖かった。

  • 今年最高の、インテリジェンスな本でした。確かにマルクス資本論には再生産概念はない。

  • 女性を現在の位置に連れてきたのは女性運動と、資本主義とお金であるというのは驚きだった。それは私が働き続ける動機でもあったからだ。苦手な育児を保育園に預けることで回避することができたのは働いていたからだ。義理の実家に行かなくて良かったのも働いていたからだ。
    家事育児という非賃金労働は経済学の指標にも、マルクスの資本論にも入っていなかった視点という。それは驚きだったし、私もある意味見下していたのかもしれない。
    非賃金労働が社会の中に位置付いていたら、私も働かないでいたかもしれない。そういう社会であったら。

  • 最近自分の周りで結婚、出産が増え知人の話を聞くと圧倒的に家事をやっているのは友達(妻)で子育てをしながら仕事もフルタイムでしているというのをよく耳にしていたので初めてこのジャンルに手を出しました。
    私は何か答えを求めていたわけではありませんが、この本はそう言った解決策などがわかるようなものではないので読み終えてもなるほど。としか思えなかったです。
    ただところどころで共感と考え方が参考になりました。

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著者プロフィール

1975年、全羅南道順天生まれ。世宗大学英語英文学科卒。外資系企業で通訳・翻訳の仕事をしたのち、ヘッドハンターとして活動。退職後、ビジネス書、エッセイなどの翻訳を手がけるかたわら、小説を執筆。2013年に『モダンハート』で第18回ハンギョレ文学賞受賞。長編小説に『その男の家に入った』、『ある日体の外に出た女』、『蚕室洞の人々』など、エッセイに『母親の読書』、『高い自尊感情の愛し方』など(いずれも未邦訳)がある。

「2023年 『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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