今のアメリカがわかる映画100本

著者 :
  • サイゾー
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本棚登録 : 249
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866250892

感想・レビュー・書評

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  • 本の紹介の欄に『トランボ ハリウッドで最も嫌われた男』『ズートピア』『ハドソン川の奇跡』『スノーデン』『ワンダーウーマン』などの最近の話題作が上っているからといって、この10年間の米国映画全体を論じていると思って買ってはいけない。私は、年間100作以上を映画館で観る自他ともに認める映画ファンではあるが、私が観た覚えがあったのは、100本のうちたった33作だった。しかも、題名さえ初めて知ったのが半数以上だった。このうち半数以上は、果たしてレンタルビデオ屋で見つけることができるかどうかの正真正銘マイナーなインディペンデント系やドキュメンタリーである。

    しかし、面白い。

    私はそれなりに批判精神を持って、映画作品を見てきたと思っているが、それでも有名作品ひとつたりとも、「そんなことは端から知っている指摘さ」というのがなかった。どこかしら、驚くような事実が書かれているのである。

    直近で観た「ワンダーウーマン」の原作者は嘘発見器の発明者だから「真実の投げ縄」を持っていたのとか、「ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密」にはマクドナルドは一切協力していないにも関わらず、あのロゴが堂々と出てくるのはフェアユースという制度のお陰とか、「スポットライト」の最後の説明では曖昧になっていた神父たちへの社会的制裁の内容が十分なものだったこともやっとわかった。ずっと意味わからなかった「フロスト×ニクソン」の意図していたことがやっと納得いった。

    ドキュメンタリーの解説は、決してテレビが報じないアメリカの裏歴史であり、日本の将来の闇未来である。アフガンの最前線従記「レストレポ前哨基地」の凄まじい内容。或いは愛国者・英雄として死んだ兵士が実は味方の兵士の誤射のために死んでいたことを明らかにした「ティルマン・ストーリー」、軍隊内の性的暴行事件の闇を暴いた「見えない戦争」、「事実は劇映画よりも奇なり」の作品が続き、びっくりであった。

    2017年9月21日読了

  • 著者である町山さんは、映画と現実を結び付けて解説する。映画の内容そのものと現実を比較したり、映画製作の背景から現実をにじませたり、アメリカで起こっている社会現象を映画を通して紹介している。100本の映画を紹介しており、内容一つ一つが文化、歴史、アメリカ社会を語るので軽い読み物とは言えないし、野球で言えば100本ノックを受けているようで、結構疲れる。
    このモザイク模様の100本の映画から、人種、LGBTへの差別の歴史や政治、医学会の出来事など、学ぶきっかけが得られる。
    映画の楽しみ方の一つなのかもしれない。

  • さすがにドキュメンタリーや社会派な感じの映画が多くて、ほとんど見ていない感じだったけれど、読むだけでおもしろいし、本当に、今のアメリカがわかる気がして、ためになった。
    印象にとくに残っているのが「JUNO」とか。見ていないのだけれど、妊娠した少女が子どもを産むほのぼのコメディだと思ってたけど、言われてみれば、フェミニズムに反するかも、と。中絶反対派やキリスト教右派が絶賛したという。。。
    見てみたい映画も増えた。「アメリカンハッスル」とか「ダラスバイヤーズクラブ」とか「ミルク」とか「大統領の執事の涙」とか。

    著者の町山氏は中年になってからアメリカに住んだってことだけど、なんでこんなにアメリカのことがわかるんだろう、って素朴な疑問。もちろんものすごく勉強もして、ものすごく取材とか仕事もされているから当然なんだろうけれども。

  • 2010年代の米国映画を振り返るには良い。筆者の別の本と同じ映画が取り上げられて同じようなことが書いてあるのでデジャヴがある。米国の白人優位主義を感じ取れる。

  • 100本ものアメリカ映画の評論がまとめられている。相変わらず町山さんの知識量は凄く、今回も「なるほど!そう言うことか!」と思わせるが、忙しくて100本も映画を観れないという人が読む本という印象も受ける。

    『最も危険なアメリカ映画』を読んだから後には読んだからか、若干薄く感じたのかもしれない。

  • 町山さんでも流石にトランプはかなりダメなのか。

  • 知っている作品があまり無かった。 アメリカ映画は奥深いなー

  • ハリウッド映画と言うと娯楽を追求した作品のイメージが強いけどこんなにたくさん世相を反映した作品があったのはちょっと意外。
    シーンによっては現地で住んだ経験がないとピンとこない場面があることも今回理解できた。
    作品の背景を探ることって大切だね。

  • 主にアメリカの近現代と映画を絡めたコラム。
    製作側の事情やバックボーン、背景にあるアメリカの実情(ほとんど暗い部分)を知ることで観たことのない映画は深く、観たことのある映画はより深く鑑賞出来る、と思う。
    映画ってメッセージなのだな、と改めて思う。

  • 100本の作品が取り上げられているが、劇場とソフトで観たものが一本ずつ。新たに観たいと思った作品がかなりあったので、追いかけてみようと思う。

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著者プロフィール

1962年生まれ。映画評論家。1995年に雑誌『映画秘宝』を創刊した後、渡米。現在はカリフォルニア州バークレーに在住。近著に『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(文藝春秋)、『映画には「動機」がある「最前線の映画」を読む Vol.2』(集英社インターナショナル)、『最も危険なアメリカ映画』(集英社文庫)、『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』『町山智浩の「アメリカ流れ者」』(スモール出版)などがある。

「2021年 『町山智浩のシネマトーク 恋する映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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