少女マンガのブサイク女子考

制作 : 笹生那実  能町みね子 
  • 左右社
3.44
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本棚登録 : 368
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865282931

作品紹介・あらすじ

ヒロインにはなぜ、ブサイクがいないの?

ライター・少女マンガ研究者の著者による、前人未到の少女マンガ×ルッキズムエッセイ誕生!
少女マンガのヒロインはたいてい美人。ブサイクという設定でも、「全然ブサイクじゃないじゃん!」と突っ込みたくなるかわいいヒロインばかり……。
と思いきや、少女マンガの「ブサイクヒロイン」は、こんなにたくさん存在していた!!
本書では、萩尾望都、山岸凉子、岡崎京子、安野モヨコなどの大御所から若手、知る人ぞ知る伝説的作家まで、全26作品を収録。
各章の終わりには70年代に美内すずえなどの敏腕アシスタントとして活躍した笹生那実による考察マンガ、巻末には能町みね子との特別対談を掲載!

少女マンガのブサイク女子はモブキャラではない!
多様性そのものであるー能町みね子

魂で会話できない私たちは否が応にも己の美醜と向き合い続けなくちゃならない。
その答えは少女マンガにあったんだー宇垣美里

感想・レビュー・書評

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  • ブサイク女子主人公の少女マンガがこんなにたくさん!
    美形男女が恋をして結ばれる少女マンガなんてもうたくさん!
    なんて思っているひとには最高のブックガイド。
    ここには偽装ブサイク(眼鏡をとったら実は美人、的な)なんてお呼びじゃない。
    作画的にもブサイクな女子が多く登場する。
    少女マンガは「ブサイクな女子」を主人公に、一体、何を描いてきたのか。
    昭和のブサイク女子と令和のブサイク女子の違いとは?

    個人的には、なぜ「ブス」ではなく、「ブサイク女子」と表記するのか気になった。
    まあ、「ブサイク女子」のほうが「ブス」よりダメージ少ないけれど。
    一筋縄ではいかない面白そうなマンガをみつけられて満足!

  • トミヤマ先生! 少女マンガにとってブサイク女子ってなんなんですか? 『圏外プリンセス』の巻 | マンバ通信 - マンバ
    https://manba.co.jp/manba_magazines/2439

    教員 東北芸術工科大学|「想像力」と「創造力」を育み、確かな「就業力」へ
    https://www.tuad.ac.jp/teacher_info/tomiyama-yukiko/

    少女マンガのブサイク女子考 | 左右社
    http://sayusha.com/catalog/books/p%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%81%AE%E3%83%96%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E5%A5%B3%E5%AD%90%E8%80%83

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      湧き上がる感情は自由だけど…私のルッキズムとの向き合い方
      コスモポリタン(Cosmopolitan)|恋愛、海外トレンド情報サイト
      http...
      湧き上がる感情は自由だけど…私のルッキズムとの向き合い方
      コスモポリタン(Cosmopolitan)|恋愛、海外トレンド情報サイト
      https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/society/a38525097/interview-with-yukiko-tomiyama/
      2022/01/04
  • 少し読もうと思って、一気に読んでしまった。とても惹きつけられる文章。
    「ブサイク」という言葉について、ちゃんと「現実での相手には使わない」と言及しているところも良かった。

    トミヤマさんは大学で教鞭を取られているということだったが、きっと授業も面白いだろうな。
    わたしが読んだことがあるのは「半神」「宇宙を駆けるよだか」「ヘルタースケルター」くらいだったけど。
    西さんの「なかじまなかじま」読んでみたくなった。

  • 様々な時代の少女マンガに出てくる「ブサイク」主人公を考察する本。
    最初から割と素材は良くて化粧やマインドセットの変化で美人に変身し理想の相手と結ばれるというお決まりのパターンから、「ブサイク」故に救いようのない結末を迎える話まで幅広く扱われている。
    全体的に軽めな語り口で、現実に存在する「ブサイク」と漫画のキャラとしての「ブサイク」を少し切り離し過ぎているように感じるところもあった。
    それぞれの漫画に対して割かれるのは5ページ程度なのでサクサクと読み進めやすい。
    特に印象に残ったのは「入れ代わり」系の物語と「体型変化」を扱った物語についての考察。ここでは女性に向けられる見た目に合わせた性格・行動の期待、そこから生まれてくる扱いの差、さらにそれによる本人の性質の変化、社会や身近な人といった周囲との関わりの中で見た目がもつ意味について考えるきっかけとなるような話が扱われる。
    「入れ代わり」ものでは、日本においてある種の「差別」を描き出すような効果があるなと思った。漫画なので大げさに描かれているとはいえ、見た目で周囲の扱いが変わるのは事実であろう。漫画の流れとしても現実でも本人の内面が大事とはいえ、やはり足枷となる。これは「ブサイク」に限らず、周囲と違う者・劣ったものとのレッテルを貼られることによる被差別を、差別者側が体験する話だと思った。
    「体型変化」系の物語では、美しさの獲得が本人にとって本当に幸福か、ということが問われる。

    ゴシックと明朝のフォントが混ざる漫画風の文字組みは少し読みにくいと思った。ゴシックの太い部分が目立っていることに違和感があった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      8/6開始!「少女マンガとジェンダー、フェミニズムの関係性を探る」トミヤマ ユキコさんオンライン講座全5回セット (レイバーネット)
      htt...
      8/6開始!「少女マンガとジェンダー、フェミニズムの関係性を探る」トミヤマ ユキコさんオンライン講座全5回セット (レイバーネット)
      http://www.labornetjp.org/news/2021/1626054294455staff01
      2021/07/12
  • ブサイク系少女マンガにハマっているので、ヒットした最近のものから昭和の幻の作品まで幅広く網羅されたこちらの本は図鑑のようにも楽しめた。

    作品によって美醜の定義が異なっており、作者各々のコンプレックスや価値観が反映されているのが比較してとても面白かった。

    整形を繰り返してもブスなものもいれば、はじめから明るくて普通に幸せになれるポジティブスもいる。

    個人的には美人がいじめられないために脂肪という名の鎧を着ていくのが虚しくて何とも言えない気持ちになった。女子は食べて身を守る。

  • タイトルの通り、少女漫画の中で「ブサイク」なヒロインがどのように描かれてきたかを紹介・考察する本。

    事前にラジオでの紹介番組を聞いていたせいもあって驚きは少なかったかも(さりとて、あの番組を聞かなかったら読もうと思わなかったので難しいところ。ラジオ聞いて面白そうと思ってすぐに読んだことも影響してるのかも)

    「ブサイク」なヒロインたちも。ビジュアルから性格、設定も様々。まさに多様。

    なるほどな、とおもったのは、ブスの対比として置かれがちな「可愛い子」だって楽して甘い汁を吸ってる訳でもないってこと。
    そりゃそうよね。

  • かわいくない(とされる)女子がヒロインの少女マンガについて。
    必ずしも美形であってほしい事はないんですが、漫画にはやっぱり多少なり夢物語を求めてしまうので、ライトなのはいいんだけど(本質的にはかわいい、とかだんだんかわいくなるとか)、悲惨な話は読めない…。
    イケメンと結ばれたり、なんらか前向きに歩き出したりという内容の漫画なら見てみたいけど、家族関係やらコンプレックスが周囲の環境やら心の問題で行きすぎてしまうものは辛い。
    なかじまなかじま、は読んでみたいかな。

  • トミヤマユキコさんのオススメマンガ評が好き。
    語り口もおもしろいし、フェミニスト的な視点で語られているので、評価にも納得できるところが多い。
    世の中にこんなにブサイク女子マンガがあるなんて知らなかった。
    読んでいたのは「半神」「イグアナの娘」「シニカル・ヒステリー・アワー」だけ。どちらも、ブサイク女子漫画とは思ってなかった。特に「半神」は。
    「薔薇のために」は読んでみたい。
    各章には笹生那実さんの一ページマンガが付いているが、これが秀逸!単純に面白いし、昭和の漫画の解説にもこのページ数でちゃんとなっている。
    笹生さんを連れてきたトミヤマさんのセンス、やっぱ好き。

  • よくこれだけあつめたな〜

  • きっとふつうに読んでもここまで考えない。視点が純粋に面白い!

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著者プロフィール

1979年、秋田県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科に進み、少女マンガにおける女性労働表象の研究で博士号取得。ライターとして 日本の文学、マンガ、フードカルチャーについて書く一方、東北芸術工科大学芸術 学部准教授として教鞭も執っている。2021年から手塚治虫文化賞選考委員。

「2023年 『労働系女子マンガ論!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

トミヤマユキコの作品

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