- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864881401
感想・レビュー・書評
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大きな書店をうろうろしているときに目に入り、なんとなく買って帰った本。小村雪岱は、名前を見聞きしたことがある程度。馴染みの薄い世界ながら雰囲気を楽しめながら読める文章でした。舞台装置の話題など、興味深かった。装幀や挿画も実際に見てみたい
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0119
2019/05/30読了
絵が美しい。
趣味はそんなにないとか、仕事のために映画や絵を見るわけではないとか、女性のモデルはいないとか、驚きとともに安心した。
何でも仕事につなげなくていいんだな…。
でも舞台装置の章を読むと、すごく真摯に向き合っててこだわりの強さを感じる。 -
大正、昭和時代に、挿絵、装丁、舞台美術で活躍した、小村雪岱の随筆を、研究家の真田幸治氏の編集で。
とある美術館のミュージアムショップで絵葉書を手にしてからひそかにお気に入りだった、その名前…
泉鏡花の作品の多くに挿絵を描き、資生堂のデザインに今も使われる意匠を残した芸術家だったんですね。
近年、どんどん評価が高まっているということ。
随筆の内容は、思ったことを述べるのは得意ではないと言いながらも、はっきりとした美学を持ち、読めば読むほど、一本筋が通っていると感じられるもの。
生の人間よりも、ひとの手によって作られた仏像や人形の方が好ましい、自分も、無表情の中に心が感じられるような絵を描きたいということ。
舞台美術は役者を引き立てて、場の雰囲気を出してこそ、というこだわりと苦心、舞台裏や仕事が語られる。
好きな奈良の旅、仏像のこと、敬愛する泉鏡花のこと…
失われた時代が美しく思い描かれる。