SUN POSTの「ザ・インタビュー」シリーズとか。
中身は全てインタビュアーとの対話で構成されている。
出来不出来はインタビュアーの資質に寄るところが大きそう
(勿論、多少の編集はあるのでしょうけど)
「旅」という表題に惹かれて手に取ったけど、戦場カメラマンのハシリだった文洋さん、やはり従軍中の話から、やがて出自の沖縄の基地問題へと話は展開していく。
「都会ではいつも何かに追われて自分の時間を作ることはできにくいのですが、ベトナムにいるときは、一日がが充実していたように思います。(中略)危険な戦場の中で逆に自分の生きる道を探っていたのだと思います。」
若さもあるが、フォトジャーナリズムを必要としていた時代の熱さが伝わる前半。
そんな従軍経験を経て、戦争への思いを語る。
「戦争を回避できるのは、武力ではないんです。いざとなったら、武力は犠牲を産むだけで役に立たない。あくまでも、忍耐を伴った平和外交です。それがベトナム戦争やほかの国々の戦争を見てきた私の実感です」
戦争の質も、国家間あるいは国内の大義のぶつかり合いだったものから変容していき、21世紀の戦争では、こんな感想も語る。
「ベトナムでは、撮影中に死んでも仕方ないという気持ちがどこかにあったんです。取材は自分の意志でしているから。しかしボスニアでは、こんなところで死んだらつまらないと思いました。」
戦争はどこであっても無駄死にではないだろうか。最終的にこの思いに至る。
「軍事力=抑止力というのは、戦争の現場を知らない政治家たち、あるいは多くの国民の妄想なんです。戦争というのは殺し合い。前線にいる兵士は、司令官の命令があれば躊躇せず敵に銃口を向けますそうしなければ自分がやられてしまうし敵の人間性や家族のことはまったく考えない。人はここまで残酷になれるのかという場面に何度も遭いました」
老境に入られて四国八十八か所の巡礼をされる。
「家に閉じこもって、本を読んで空想の冒険はあるけど、やっぱり行動として小さな冒険から始めたらどうでしょう。」
なにより行動を重んじる人生を送られている。素晴らしい!