本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート

著者 :
  • みずのわ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (671ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864260466

作品紹介・あらすじ

写真250点、原稿用紙換算1600枚超! 山口県周防大島の、本邦随一みかん農家兼業ひとり出版社の、998日にわたる営農と本づくり、子育ての記録。一見つまらない日々の記録と考察の集積から、今様の、島の生活誌、民俗誌を綴る。コロナ禍、変化を余儀なくされる島の暮し。僻地もまたグローバル化とは無縁ではない。
みかん生産は島の基幹産業なれど、深刻な気候変動、拡大の一途を辿るイノシシ被害、過疎化高齢化による担い手の先細りと耕作放棄地拡大、コスト高と重労働に見合わない低収入、等々、マイナス要素を挙げればキリがなく、前向きになれる要素など何一つとして無い。
5反(0.5ヘクタール)1年の稼ぎで子供を4年間東京の大学にやれた、1町(1ヘクタール)1年の稼ぎでみかん御殿が建った。よき時代の黄金伝説。今や見る影もない。著者の今のみかん稼ぎでは、子供を大学どころか高校にもやれん。それでも、先達の労苦と創意工夫の結晶たる畑を守り、みかんを育て、子供を育てる。極論すればこの島にはみかん以外に誇るものなどない、だからこそ、みかんを守らねば島は沈む。

感想・レビュー・書評

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  • 補遺から筆者の強い信念が伝わってくる。
    ・「中央で政治に携わる人らは、他所から食糧を買ってくればよい、輸入すればよいと、その程度にしか考えていない。でも、食糧というのは自ら生産して、自ら食うべきものだ。それをすべておカネで買えるのか」
    ・「『食う・寝る・出す』が人間の基本」
    ・「表現に携わる者は常に世間よりはるか上のレベルでなければなりません。」
    ・「出版に携わる人間は、直截的な運動によって社会を変えていくのではない。一点一点、丁寧に、まともな本を世に出していくこと。そうすることによって読者を鍛えていく、ダマされない人間をつくっていくしかない。」

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著者プロフィール

1969年(昭和44)神戸市葺合区(現・中央区)生。兵庫県立御影高校を経て旧日本写真専門学校卒業。1991年(平成3)奈良新聞に写真記者として中途入社。奈良テレビ放送記者等を経て、1997年神戸でみずのわ出版創業。2011年山口県周防大島に移転。みかん農家、写真館兼業。公益社団法人日本写真協会会員。2014年度、梓会出版文化賞30回記念特別賞受賞。編著書に「従軍慰安婦問題と戦後五〇年」「阪神大震災・被災地の風貌」「震災五年の神戸を歩く」「神戸市戦災焼失区域図復刻版」、写文集に「われ、決起せず――聞書・カウラ捕虜暴動とハンセン病を生き抜いて」(立花誠一郎、佐田尾信作共著)、「親なき家の片づけ日記――信州坂北にて」(島利栄子共著)など。「本とみかんと子育てと――農家兼業編集者の周防大島フィールドノート」で第37回農業ジャーナリスト賞特別賞受賞。

「2022年 『ふるさとを憶う 宮本常一ふるさと選書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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