地宝論 -地球を救う地域の知恵

著者 :
  • 子どもの未来社
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本棚登録 : 107
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864120333

作品紹介・あらすじ

「食料はどうなる? どうする?」「自然をどうする?」「お金の使い方をかえるには?」「つなぐ、つながる生き方とは?」──新たなアイデアは地域の現場にあった! ゆれる列島にメスを入れる注目の最新刊!

感想・レビュー・書評

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  • 国レベルではなく、地域レベルで動くことで結構いろんな問題が改善に向かったりするかもしれない、そんなイメージの湧く本。

  • youtube動画で見て内容が素晴らしいので、もう少し詳しく知りたいと思い購入。しかし本書は講演会をまとめた内容のもので、動画より詳しいということもなく私の期待したものではなかった。しかし内容の素晴らしさは変わらない。

  • お金の流れから、農薬・森林のことまで
    ほとんど知らなかった。
    まずは紹介されていた団体を調べてみようと思う。

  • 3.11の直後に出版された本で、脱原発があたりまえになっていた頃、すんなりと受け入れられていたと思う。
    安倍ポン自民党・公明党政権になって、原発推進に政府は変質しつつあるが、本質的には原発は作るべきでないと思う。
    エネルギーもそうだが、この本にあるように地方のちからや地方からそれぞれの地区に必要なエネルギーや地産地消も含めた地方で回る経済がこの国を本当は豊かにしてくれるのだと、この本を読んでいると理解できる。
    中国地方の過疎地が今年の新年の地方紙によると人口が減少から増加に転じたと報じられていたが、地方のすばらしさを若い人も少しずつ見直す人が増えてきたのかもしれない。
    この本に書かれている、色々な取組みや実践されていることを読んでいると、もっと早くこういう感覚を身につけていれば、生きると言うことにより多くの魅力を見つけられていたのではないかとつくづく思う。
    これからの未来を生きる人達が、本当の日本を地方から突き上げてもらえれば、日本は人間にとって豊かな国になるのではないかと思う。

  • 201210/
    日本は貿易で成り立っていると言われますが、GDPのわずか14%ですし、さらに1960年の時点は、2005年の45分の1(円ベースで)しか貿易されていませんでした。日本は「貿易立国」ではないのです。しかも人と会話するためにはベースを合わせなければならないので、どうしても奇抜と思われてしまうような前提を除いて話さなければなりません。そのため最小公倍数で話をします。その結果、私たちは目の前の現実を「今」という時点から、最小公倍数で話すことになるのです。/
    森と沿岸の漁場とは密接に関係しています。「魚つき林」として今は有名ですが、気づかれていなかったからこそ日本中の海岸線は壊され、森とのつながりが断たれてしまったのでしょう。しかし昔から経験的に気づいていた人たちもいます。地域で漁をする現場の人たちです。中には見事に因果関係を説明してくれる人もいます。これが「知恵」だと思うのです。/
    一種類だけの食材がたくさんあっても、私たちの食卓は豊かになりません。それよりはさまざまな食材の得られる森や川があったほうが豊に思いませんか?ぼくは子どもの頃、野山に入っては木の実や植物、魚や貝を採って遊びました。もちろん食べていました。だから周囲に森や川や海があることは、生きていくための保険のように思えます。今でも僻地と呼ばれるような地域に行けば、そんな幸せな暮らしが残されています。/

  • これからは地球規模で産業を拡大する時代ではない、「地産地消」の時代だ。

    私たちが良かれと思って活動したことが、その活動を反対している人たちの利益になることがある。例えば、私が六ヶ所村再処理工場に反対していたとしても、お金をゆうちょ銀行に預けていれば、私の意志とは関係なくそのお金は工場への資金に充てられる。
    目先の、目立つ情報に踊らされず、一歩下がってモノ同士のつながりや仕組みを捉えることが大事なのだ。

    田中さんはそうしたモノの繋がりを俯瞰した中で、一番環境にとっても、自分たちにとっても負担なく生きていけるのが地産地消だと考えたのだろう。その地域ごとにエネルギーやお金、食べ物を生み、消費する。そのために新しい仕組みを考える。その際は一人ひとりが自分の得意なことに力を注げばいい。自分の、そして周りの人の役割を見出し、ともに社会を居心地のいいものに変えていく。それができたら、すごくいいなぁ。

    そのために、今の自分は「百姓」になる準備をする時期だと思う。会社に尽くし会社に依存した状態は不安すぎる。百の生業をもち、どれかひとつが不作でもなんとでもなるような、様々な方法で様々な収入を得られる生き方をしたい。自分で収入を得られる手立てを、できるだけ多く作っていきたい。

  • 豊川・いのちと未来を守る会で、まず学校給食の放射線測定をするよう声をあげています。いのちと未来を守る活動をするための基礎知識として、この本は必読です。分かりやすいし、具体的な案が出されています。

  • 地産地消・・・。随分前から言われていることですが、農産物だけでなく、お金も地産地消しなくては豊かな地域にはならない。日本ではそこをおろそかにしていることで、日本全体までも、貧しくなっている。震災を通して、いろんな「歪」が明らかになってしまった日本の、これからの地域づくりのバイブル。
    うすうす感じていたことが、わかりやすく解説されてすっきり霧が晴れていくような気持ちになりました。

  • この10年程度、資産運用や資産保全に興味を持って多くの本を読んできましたが、そこでおぼろげながら分かってきたことは、各政府が発行している通貨の価値が下がってきていることです。

    最近、金価格が上昇していて、「資産運用をするなら金投資」と言われていますが、金の価値が変化しないが通貨の価値が落ちていると理解することもできると思います。

    そこで、通貨の成り立ちを振り返って、物々交換がスムーズにいくように貨幣が流通してきたことを考えると、この本で紹介されているような、私たちが当たり前と思っている複利の利息をとらずに銀行を運営することもこれからの選択肢としてあるような気がします。

    また、政府が発行しない地域通貨も解決策になるかもしれません、ハイパーインフレ時や大恐慌時には多くの地域通貨が活躍したと他の本で読んだことがあります。

    この本では、地球を救う地域の知恵として、食料や自然に始まって、読み方によれば、資産をどのように活用すべきかについて述べていて、今後の私の生活において多くのヒントを得ることができました。

    以下は気になったポイントです。

    ・神戸から東京に運ぶのと、シンガポールから東京に運ぶのではシンガポールからの方が安い、国境線を越える燃料(船の重油、ジェット機のケロシン)は税金がかからないから(p19)

    ・京都議定書のCO2排出規制は国ごとの約束であり、国と国の間を飛び回るCO2は規制されない(p21)

    ・アメリカ政府は、いまだに輸出補助金と生産補助金を出しているので、輸出価格は生産原価よりも小さい、欧州も同じ(p23)

    ・小規模農家の方が作物全体の年間収穫量で、大規模農家よりも5倍大きい、単位面積当たりの生産性では小規模農家を増やすべき(p24)

    ・ミツバチはまず高く飛んで巣を確認して覚えてから飛んでいくが、農薬に含まれるネオニコチノイドによりアルツハイマー状態になって帰り道がわからなくなって、どこかに消えてしまうのがミツバチ失踪の実態(p33)

    ・木を伐採しないことが大事なのではなく、「伐った木材を大切に使う」ことが大事、家を木造で建てたら、30年で取り壊すのではなく、100年以上は使うべき(p51)

    ・乳脂肪率が3.5%でないと通常の価格で買わない、それ以下ならペナルティを科すという取引基準(1987年)を作ってから、アメリカの配合飼料を使わなければならなくなった(p62)

    ・石鹸で体を洗った後の排水を貝のいる干潟に流した場合、翌日には、きれいな水に戻る、石鹸カスは貝のエサになるから、合成洗剤だと死んでしまう(p76)

    ・日本が太平洋戦争をしたときの戦争資金は、8分の1が税金、残りは郵便貯金を使った(p85)

    ・郵便貯金は戦後破綻して、6か月封鎖された後に一律、3分の1カット、その間に物価は6倍、つまり価値としては最高で、元金の18分の2しか戻ってこなかった、その後10年間で物価は300倍になったので、結果としては900分の2しか戻ってこなかった(p86)

    ・1971年比較でドル紙幣の発行は20倍したので、360円の20分の1、すなわち1ドル=18円でもおかしくない状況にある(p92)

    ・フィリピンのような途上国は先進国に借金をしている、元本ならとっくに返済が終わっているが、金利が金利を生んで永遠に返し終わることができない(p97)

    ・1994年に7人で400万円を集めて作った銀行は、現在でも続いていて、2億円の出資額があり、これまでに9億円以上の融資あり、貸し倒れは今のところゼロ(p107)

    ・GDPは前年比で計算するので複利計算になるが、生産活動は最終的には単利のカーブになる、世界が有限、1年の日数、降水量、日照時間が同じなので(p108)

    ・1994年に始まった未来バンクは、全国各地で20か所ある、熊本・福岡・宮崎・福島・和歌山・富山県など(p110)

    ・地域経済の活性化の程度は、「地域の資金量x回転数」で決まる、他の地域で使えない不安定な通貨は回転数を高める(p114)

    ・住宅によく使われている熱帯材は15年程度で、使った接着剤の強度が半分になる、一方で国産のヒバやヒノキを白アリや虫が嫌うので長持ちする(p130)

    ・健康保険には「高額療養費」という制度があって、年間100万円以上の医療費はかからない、2年以上入院した場合には、身体障害者2級の制度があり、該当すると医療費は無料、年金を掛けていれば障害年金も受取り可能(p143)

    ・世界の紛争地と資源の場所を照らし合わせると5地域となる、石油、天然ガスが取れるか、パイプラインが通っているか、鉱物資源か水が豊かか、である(p150)

    ・家庭の水事情は、炊事・洗濯・風呂・トイレでほぼ100%、ふろの残り湯で選択すると20%ダウン、手洗いよりも食器洗浄機のほうが水消費が少ない(p156)

    ・植物は根っこから吸い込んだ水を、葉っぱから蒸発させるので、天然の自動散水機付きヨシズになる(p157)

    ・本当の資産をもつべき、1つはカネが得られるもの、2つめは、支出を減らせるもの(p159)

    ・最も得意なことは、何の努力もしなくて楽しんでやれるもの、時間があるたびに自分で勝手に一生懸命やってしまうこと(p164)

    ・広告宣伝費の中で東京電力が非常に大きい、日本には10社の電力会社、電気事業連合会、政府広報、そのなかで非常に重要な位置を占めているのが電力会社(p175)

    ・電力ピークは、1年8760時間のうち、10時間程度、ピークが出るのは、夏場・平日・日中の午後2~3時で、31度を超える日のみ(p179)

    ・家庭はピーク時には9%しか使用していない、事業者の電気料金は途中から使うほど安くなっているので、事業者は省エネしない(p180)

    ・省エネをしてから、自然エネルギーを導入するのが順序(p184)

    2011/8/7作成

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著者プロフィール

1957東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和のさまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「apbank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の非常勤講師。著書(共著を含む)に『環境破壊のメカニズム』『日本の電気料金はなぜ高い』『どうして貯蓄が行けないの』(以上 北斗出版)、『非戦』(幻冬舎)、『Eco・エコ省エネゲーム』『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方』『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』『世界から貧しさをなくす30の方法』(以上 合同出版)、『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』(岩波書店)、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオ』(扶桑社)、『おカネで世界を変える30の方法』『天然住宅から社会を変える30の方法』(合同出版)、『いますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー 1~3 』『いますぐ考えよう地球温暖化 1~3 』(岩波書店)、『おカネが変われば世界が変わる』(コモンズ)、『環境教育の落とし穴』(大月書店)、『原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる』(武田ランダムハウスジャパン)、『地方論』(子どもの未来社)など。著者ホームページ「田中 優の“持続する志”」 http://www.tanakayu.com

「2013年 『子どもたちの未来を創るエネルギー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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