経済で読み解く日本史4 明治時代

著者 :
  • 飛鳥新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864106931

感想・レビュー・書評

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  • 明治維新でリストラされた武士の恨みは恐ろしい………。

  • 明治時代を経済の視点から見た本。明治時代そのものが不勉強なところがあるが、色々新たになるほどと思えるところがあった。まず、金本位制であったこと。何度か襲った恐慌、不景気になると必ず出てくる過激思想などはまさにその通り。
    日本の色々な所で、士族による反乱が起こった理由がわかった。
    今までこの時代の本を読むたびに、残念と思うのは江藤新平の死である。江藤新平が長生きしていればと何度も思う。

  • シリーズ4作目。日清戦争から日露戦争に至るまでの経緯と、どのように戦費を調達したのか、について丁寧に記述した1冊になっていますね。世論によって国策が変わり、国が思いもしない方向に流れていくというのは、どの時代も同じだというのを感じてしまい、軽い絶望感みたいな感覚を抱いてしまいました。

    また、経済的困窮が人々をあらぬ方向に向かわせるというのは確かにその通りで、如何にして国全体を富ませていくのか、について真剣に考えた方が良いとも感じました。

  • 本シリーズ『江戸時代』を読了したのは2年半前(^^; 江戸から明治への時代転換が、急進的に行われたのは何となく理解していたが、世界経済という視点で見ると、日本の置かれた立場がよく理解できた。御一新で各藩の士(サラリーマン)がリストラされたことと、日露戦争の戦費調達が、最終的には太平洋戦争につながってしまうなんて……。『大正・昭和時代』は読まなくてもよいかと思っていたが、満州での軍部の暴走から日中戦争~太平洋戦争へと進む様を、経済の面から知りたくなった。

  • 明治維新と混乱、日清日露戦争を、金本位制をキーワードに、緊縮緩和の繰り返しの政策と、借金でなんとかしてきた歴史がわかった。これまでより、経済的な話が多くなり、世界史も理解しないと。急に投資家が出てきた感がある。

  • シリーズ4冊目。
    明治維新から日露戦争までの経済の流れだけでなく、なぜ清やロシアと戦争に進んだのかも分かりやすく説明してくれている。
    お隣の国もこの頃からクレーマー体質だったことも書かれていたりと非常に興味深い内容でした。

    遼東半島をめぐり、ロシアとの緊張が高まり、そこで日英同盟、そしてバルチック艦隊との戦い。

    坂の上の雲を読みたい、そんな気分になりました。

  • 上念氏の本は以前から読んでいたのですが、最近ネットにて「経済で読み解く日本史」のシリーズとして全5巻セットが文庫本で出ていることを知りました。文庫本なので持ち運びがしやすく、どこででも読めて助かります。

    第二冊目は、明治時代④です~
    以下は気になったポイントです。

    ・明治4年の新貨条例は、新しい通貨単位を「円」として、金1.5グラムを含有した1円硬貨を発行した、これは当時のアメリカ1ドルであった、当時の基軸通貨だったメキシコドルラルと同量に定めた貿易決済用の一円銀貨を鋳造した(p49、51)

    ・明治3年の米価が1石9.30円であったが、新貨条例が制定されて5.63円に大暴落している、これは大幅な貨幣不足によるデフレ圧力である(p52)

    ・藩によっては藩札の価値もさほど落ちていない、ワーストケースの鹿児島で3割を維持、尼崎、米沢等は額面を維持している。多くの藩札は銀貨に連動していて、銀の大量流入により銀価格が暴落したのでバランスを保った(p57)

    ・太政官札の回収、金貨銀貨藩札の回収が完了して、すべての紙幣が「明治通宝」に統一されたのは明治11年(p58)

    ・新政府は平和的に領地を手放すために、各藩の債務を肩代わりするという提案をした、1843年以前のものを旧債、1867年までのものを中債、明治5年までのものを新債とした、全体の8割程度は切り捨てられた、外債は現金で償却された(p64)

    ・明治4年4月(1871)に、土地永代売買を解禁(私有財産化を許可、地券の交付、売買の自由化)、10月:人身売買の禁止(p79、80)

    ・1871年に清国との間で締結した日清修好条規は完全な平等条約、朝鮮との条約が不平等条約だったのは、当時の朝鮮は清国の属国であったから(p108)

    ・秩禄処分において、220石以上の階層は、金利6千万円(5%)だが、22石未満は60万円程度(p115)
    ・貿易黒字とは、国内の需要が減少し生産力が余っている状態を意味する(p133)

    ・1ドル=1円で始まったドル円相場、1900年には2円程度になった、銀貨価格の下落により為替レートの切り下げ、西南戦争にともなう金融緩和(p139)

    ・1795年のナポレオン戦争によりオランダがフランスに滅ぼされると、オランダ王(ウィリアム5世)はイギリスに亡命、これによりイギリスはオランダの植民地の侵略を開始、ケープタウンもその一部(p149)

    ・1897年に日本が金本位制に移行した最大のメリットは、これにより日本国債への投資において為替リスクが回避できること、日本の正貨(ゴールド)が減るとは、現代風にいうと外貨準備高が減っていることを意味する(p183,195)

    2019年11月17日作成

  • 金本位制は、結末がデフレとなる無理ゲー

  • 20190701読了

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著者プロフィール

経済評論家。1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は1901年創立の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。著書に『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)、『タダより高いものはない』『経済用語 悪魔の辞典』(イースト・プレス)、『官僚と新聞・テレビが伝えないじつは完全復活している日本経済』(SB新書)、『日本を亡ぼす岩盤規制』『経済で読み解く日本史(全5巻)』(飛鳥新社)などがある。2013年12月より毎月、八重洲・イブニング・ラボ(https://y-e-lab.cd-pf.net/home)の主任研究員として講演活動を行っている。

「2019年 『大手メディアがなぜか触れない 日本共産党と野党の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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