- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863896253
作品紹介・あらすじ
山の上動物園のメスクジャク・ピーコは自由の身にもかかわらず、ケージから出ようとしない。それは、遠い夏の日を思い出すからだ…。
感想・レビュー・書評
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ジャノメは生まれた時から「山の上動物園」で飼育されているクジャクのメス。この動物園の古株だ。
自分の見た目が華々しくないことなどにコンプレックスを持っている。
この物語は、そんなジャノメの語りで進んでいく。
ジャノメはまだ名前がなかった、ただのメスのクジャクだったときに、シンジという人間の少年と出会う。
シンジは訴えたいことがあって、わざと迷子になっていた。そんな迷子のシンジをちゃんと迷子センターに送り届けねばと思ったジャノメの呼びかけを、なんとシンジは理解した。
お互いに言葉が理解でき、コミュニケーションが取れることがわかったのだ。
歓喜するジャノメとシンジ。
シンジは名前がないという彼女に、「クジャクのメス」の略でジャノメ、と名付ける。
のちに動物園ではピーコと名付けられるジャノメだが、このジャノメという名前は、シンジと、ジャノメと、動物園の動物の仲間たちだけが知る特別な名前となった。
ジャノメは、園内を1人歩き回る「さすらいのジャノメ」となったのである。
しかし、ある出来事があって、ジャノメは園内を歩き回ることを一切やめてしまい、「引きこもりのピーコ」となってしまった…
その理由が次第に明るみになっていく過程や、ジャノメとシンジ少年のやり取り、ジャノメと同じバードパークに飼育されている鳥たちとのやり取り、飼育員さんたち同士のやり取りなども見ていて面白い。
またひょんな理由から一度だけ園の外に出てしまったジャノメが、野生のテンに出会ったことで、園内で生きることと野生で生きることの違いについて考え悩むところも面白い。
伏線回収も(まず伏線があると思っていなかったのでびっくりした)お見事。
スルーっとすぐに読める。大変読みやすい本書だが、ジャノメの目を通して、他の鳥たちや人間の飼育員さんの目を通して描かれる物語には、考えさせられ、胸に染み入ることがたくさんある。
とても面白く、優しい物語なので、小学中学年あたりからでも読めると思うし、ぜひに読んでほしい。
また表紙や、本文中にたまに白黒で描かれる園内の鳥たちのイラストがすごくかわいい。
読了してから表紙を見るのもまた一興。
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鳥に感情ってあるのかな?いやきっとあるのだろうけど、あの小さな脳でどのぐらい考えるのかな?思っていたのだけど、あるんだな!意地張って素直になれないのは、鳥も人間も同じだな、と。作者の読ませる力が強いので、現実にあることとして、受け入れられた。
読んでから気になって、孔雀の生態(特に寿命)を調べたり、毎朝、会社の軒先から声を掛けてくれるまん丸い瞳の雀の家族と、もう少し気持ちを通い合わせられないかと、模索中。 -
メスのクジャク"ジャノメ"と、ジャノメの言葉がわかる少年の心の交流を描いた児童書。"シンジはいつか大人になる。そしたら私のことを忘れてしまうのかしら…?"恋のような想いを抱えて少年と年に一回の再会を楽しむジャノメ。その姿が切なくて、胸がギュッとなった。そして最後は思わずウルっとくるほど感動しました。
児童書だけど、ぜひ大人に読んでほしい良作です。 -
図書館でふと見つけた。
背表紙のオオハシと
表紙のクジャクの可愛さに惹かれ手に取ってみた。
引き込まれて一気に読んだ。
切なくてあったかくて泣いた。
それぞれの個性が素敵。
まったく期待していなかっただけに
いい意味で裏切られた。
手元に置いておきたい一冊。 -
クジャクのメスを略してジャノメ。タイトルの意味はここから。だから装画は鳥籠なんですね。ファンタジックな展開で私は少し苦手な世界観。
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ちょっとラブストーリーか?
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久々に集中して一気に読んだ本。面白い視点で、伏線も随所にあって。余計な描写が一切ないのも素敵。