機長、究極の決断 (静山社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863890916

作品紹介・あらすじ

二〇〇九年一月一五日、ニューヨークのラガーディア空港を離陸して上昇中にカナダガンの群れに衝突、両エンジンが破壊されマンハッタン島西側のハドソン川に緊急着水したUSエア1549便の航空事故は、乗員乗客全員が助かったことから「ハドソン川の奇跡」と呼ばれた。エンジン停止から不時着までわずか三分二八秒、機長はこの絶体絶命の危機でどう決断したのか?一人の機長の使命感、人生観、そして完璧な仕事を語る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ニューヨークの空港を離陸した直後に大型の鳥と衝突し、2つあるエンジン全てを失った飛行機を、3分しかない制限時間の中でハドソン川に着水する決断をした機長の話。
    どんな仕事もそうだが、良い仕事をするためには良いチーム作りが絶対不可欠である。
    この本を読むと、あの事故が単なる奇跡だったのではなく、サレンバーガー機長のチームだったから上手くいったのだと思う。私もそんなチーム作りができる人間であろうと思いました。

  • DVDがまだ発売されていないので、ここでは「映画」のコメントです。

    2009年の奇跡的な生還劇として知られるジェット旅客機の不時着水事故、通称“ハドソン川の奇跡”と、その後の知られざる真実を映画化。

    2009年1月15日、USエアウェイズ1549便が空港から飛び立ち、ニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、鳥の大群の衝突(バードストライク)によって全エンジンが停止しコントロールを失う。

    機長のチェスリー・サレンバーガー(以下サリー)は必死のコントロールと苦渋の決断の末、ハドソン川に機体を不時着させる。その結果155人全員が助かり、この奇跡的な生還劇は“ハドソン川の奇跡”として全世界に報道された。

    物語は事故から数日たった所から始まる。サリーは世間から国民的英雄として賞賛されていたが、国家運輸安全委員会(NTSB)によって事故原因の調査が行われ、その過程でサリーの判断が適切であったかどうかという検証をされることとなり、彼はNTSBからこの一件について、あたかも容疑者としての追及を受ける。

    その際告げられた情報によって、自身の判断が正しかったのかという不安に苛まれ、今までの人生やあの日を回想する日々を送るようになる。そして、検証の最終段階でもある公聴会の日が訪れる。

    公聴会ではコンピュータシュミレーションの映像が映し出され、事故機は元の空港へ戻れたという結果が出る。再度このコンピュータシュミレーションに基づいて人間がシュミュレーションしても同じ結果が出る。

    これで「英雄」は「容疑者」へ引き落とされるのかと思いしや、サリーは冷静に「このシュミュレーションは何回やって成功したのか?」という質問に国家運輸安全委員会の女性は暫く躊躇して「17回」と答える。
    更にサリーは「コンピュータシュミレーションは結果が分かってやっているが、あの情況下での人間が判断する時間が考慮されていない。その時間を加味してくれ」という要請を出す。
    国家運輸安全委員から「では、30秒を加えよう」
    思わず副機長のジェフから「短か過ぎる」と言う声が漏れる。

    そして再シュミレーション。コンピュータシュミレーションも人間がシュミュレーションしたのも共に飛行機は空港に戻る直前で墜落もしくは建物に激突。
    ここで、一気にこれまでの緊張感が解ける。

    公聴会の最後に副操縦士のジェフが国家運輸安全委員会の女性から質問される。「もしもう一度同じ目に遭ったらあなたはどうしますか」

    「そうだなあ、(同じことをするなら寒い1月ではなくて)7月にやるかな」という返答は最高にスパイスが効いたセリフだった。

    新自由主義の下、ウォール街の金融を始めとして金儲けだけで動いているようなアメリカにもこんな別の顔があるのを見せてくれた。

    正常に動いているように見える社会の裏側では、地味で単調だけどきちんと責任を果たすことに使命感を持って仕事をする人によって支えられているというメッセージを受け取った。さすがクリント・イーストウッド監督。素晴らしい映画だった。



    エンディングの音楽も良かった。

  • バードストライク両エンジン停止から全員生還した機長の記録。事実の記録と機長の経歴。
    バードストライクから三分半の着水。その短時間に埋め込まれた的確な判断に、涙が止まらない。
    経歴に必然的に表れる旅客機操縦士の立場の劇的な変化も、重い。

  • 事故の日と機長の人生、キャリアを巧みに交差させた、テレビのドキュメンタリー番組のような構成。プロとは何かを学びたい人は読むべし。こなれた和訳、見やすいフォントと行間、文字の大きさ、出版社のプロの仕事もまた素晴らしい。

  • アンビリバボーでこのハドソン川の奇跡を知り、
    睡眠時間と化していた電車の時間を読書時間に
    再び復活させようと思って久しぶりに買った文庫本でした。


    あの事故を切り抜けられたのは、小さい頃からの積み重ねがあったから
    なのだということが全編通して語られていました。
    これまでの人生と事故の時の話が交互にあり、
    その構成がまさにそのことを表しているように感じます。

    「人知れず任務に励む」の章は、確かにそうだと思いました。
    意識していなければとっさに立派な行動はできない。
    そして意識している人は有名になった人なかりでなく、
    人知れず、たくさんいるのだということは、
    言われてみて実生活を思い起こせば、その通りでした。


    今の私の考えや行動が、未来に直接つながるのだと改めて感じさせられました。
    私も、今まで出会った人、これから出会う人、見たこと、聞いたこと、
    読んだこと、感じたこと、何でも私の教師・反面教師にして成長していきたいです。


    「"誠実"っていうのは、面倒なときでも正しいことをすることだよ」

    「世界でいちばんのお仕事ってなあに?」
    「やらなくてもいいときでも、やりたくなる仕事だよ」


    まだまだ現場を知らない学生だけど、
    看護師になりたいと思った時の気持ちを忘れずに、
    ずっとずっと誠実に、
    看護師が天職だと思えるように、
    今は何でも貪欲に吸収して、人生の糧にしようと思います。

    一番最後の段落では、初心を忘れないことが大事なのだと
    暗に示しているのだと感じました。

  • バードストライクでエンジンが壊れてしまった飛行機をハドソン川に不時着させ、全員生還させた機長のその時の状況と自身の半生記を書いた本。
    当人が書いているので臨場感が凄い。

  • 60Minutesでの機長のインタビューに感銘を受けて、本書を手にとった。
    仕事に対する姿勢が素晴らしい。これがプロフェッショナルだろう。
    プライベートがつまらない人だということも良くわかったが(笑)

  • 神業!!緊急事態の中で,何一つミスのない完璧な操縦。

    機長をはじめ,全員のチームワークがあってからこそ成し遂げられた業。

    序盤の機長の生い立ちはちょっと退屈だと思ったが,それも208秒間の即決につながっていると思うと興味深い。
    本の構成もドラマティックになっている。208秒間のできごとを機長の経験や過去の事故事例等を紹介して,なにが行われているのかを解説してくれている。

    翻訳も航空業界専門家なのか,非常に読みやすいし,日本語で読んでも感動できる数少ない名著だと思う。

    メイデン!メイデン!メイデン!
    これからは,もっと気を付けて飛行機に乗るようにしよう。そして客室乗務員もかっこいい。。

    本書を読んだ後にYOUTUBEで機長と管制官との通信を記録したボイスレコーダーや実際の着水映像をみたけど,本当に感動します。

  • ハドソン川に不時着し、乗員全員を無事生還させた機長の自伝的小説。
    僅かな時間での様々な判断はどのようにして行われたのか。
    日々の積み重ねが生きてくるのですね。

  • 生い立ちからわかるサレンバーガー機長の人間性は只々尊敬するばかりです。

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