うたうおばけ

  • 書肆侃侃房
4.28
  • (117)
  • (71)
  • (33)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 1594
感想 : 116
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863853980

作品紹介・あらすじ

人生はドラマではないが、シーンは急に来る

『わたしを空腹にしないほうがいい』のくどうれいん、最新エッセイ集

「東北の小さな歌人。鋭いと思いきや、その先は丸く、言葉たちは強く光っている」(植本一子)



・失恋してラーメン屋に喪服でやってきたミオ

・「ビニニでもバナナ」と大発見したのんちゃんとゆーきちゃん

・暗号でしか告白できないスズキくん

など個性的な「ともだち」がぞくぞく登場!



「web侃づめ」の大人気連載に大幅増補の全39編。おだやかにかわいい百鬼夜行

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • くどうれいんさん、ご結婚おめでとうございます!

    くどうれいんさんのエッセイ集で、高校の頃からお勤めを始められた頃までの話です。

    くどうれいんさんは盛岡市の出身で高校も盛岡市なんですね。私もうん十年前ですが親の転勤で高校は三年間盛岡市に住んでいたのでとても親近感を感じました。



    特に印象的だったエッセイの感想を以下に。



    「Sabotage」
    では、学校をずる休みしたことについて語られていました。私もくどうさんと同じ盛岡市の高校で、よく休んで、卒業する前に担任の先生に「あなた、あと少しで出席日数、卒業危ないわよ」といわれた程でした。級友たちには「お前、今日、英語のテストがあったから休んだだろ」とかよく言われました。早退もよくしました。アレルギーを治す減感作療法を岩手医大病院で受けていたからです。今でも岩手医大病院の前の横断歩道を昼間、セーラー服で一人歩いていた時のことは思い出します。自分だけ休んでる(さぼっている)平日の昼間って私はすごく気分がよかったのです。

    「暗号のスズキくん」
    はよかったです。同級生のスズキくんとガラケーメールで自作の暗号を披露しあっていた時期の話ですが、最終問題を五年ぶりに解いたときのおどろきがよかったです。答えは「○○○」でした。(答えはレビューの最後に)

    「物理教師」
    は、自分のことを生徒に名人と呼ばせる教師。面白かったです。

    「一千万円分の不幸」
    大学受験の推薦入試の日にちをまちがえて受験できなかったお話。でもそのおかげで今こうしてこの仕事をやっているというラッキーな話。

    「冬の夜のタクシー」
    は冬の夜、雪と雨でぐちゃぐちゃな道を歩いていたら女性ドライバーのタクシーが乗せてくれて運賃をただにしてくれた話。とってもいい話です。
    私も高校の時の朝、スクールバスに乗り遅れて路線バスに乗って途中から歩いて登校しようと思っていたら、路線バスの運転手さんが車内に私の高校の生徒しか乗っていないかったので、黙って学校の前まで送り届けてくれたという、とても嬉しい思い出があります。教室に着いてこの話を興奮してみんなにしたら「すげー!いい話」とみんなが興奮して言ってくれました。







    暗号の答え
    「スキダ」

    • まことさん
      ベルガモットさん♪

      くどうれいんさんは、私の予想では、文芸が盛んで、作家などを輩出している、盛岡四高では、ないかと思うのですが。
      大学受験...
      ベルガモットさん♪

      くどうれいんさんは、私の予想では、文芸が盛んで、作家などを輩出している、盛岡四高では、ないかと思うのですが。
      大学受験の日にちを間違えた話は『うたうおばけ』にもありました。
      私は、公立高校は、唯一の女子高である、盛岡二高を受けて落ちたので、私立に行っただけなのですが、女子高で得したのは、選択科目に物理がなかったこと、数学も、テスト問題がやさしくなっていたこと。公立高校では、あり得ないです。特に私は育ちがいいというようなことはありません。反発して、級友があまり聴かないような音楽を聴いたり、下校時に校則違反の映画を観て帰ったりしていました。

      NHK短歌、最近は毎週観ています。再放映で観ているので、吉川さんの回は、今月はまだです。
      でも、投稿してから、発表されるまでが結構時間がかかるんですね。たぶん、ダメだとは思いますが。最近、今まで詠んだ歌は、ダメで当たり前だとわかりました。ひとつ賢くなった気がしますが、だからといって、よい歌が詠めるわけでも、ないんですね(^^ゞ。

      来月のイベントに参加されるのですね!
      月末に、木下龍也さんと、歌集を出される鈴木晴香さんも、確かいらっしゃるのではなかったですか。『荻窪メリーゴーランド』楽しみにしています♪
      2023/08/20
    • ☆ベルガモット☆さん
      まことさん☆またまたお邪魔しまーす。

      女子高のそんなお得な面があるんですね。反発心のぶつけどころはまことさんの意外な一面もお持ちなんだ...
      まことさん☆またまたお邪魔しまーす。

      女子高のそんなお得な面があるんですね。反発心のぶつけどころはまことさんの意外な一面もお持ちなんだなあと、ますますファンになりました。私の失言がございましたらごめんなさい。
      そうなんです、新聞歌壇だと掲載はだいたい1カ月程度でわかりますが、雑誌は3か月くらいのスパンがあるので、うっかり忘れてしまいそうになりますよ。投稿したもののうち自信があったものは選ばれずに、あれ?というものが載ったり、選者の好みもあったりするので、投稿し続けることが大事とも思ってます。
      岡野大嗣さんの『泣く泣く選ばなかった歌もあるので自分の歌を大事にしてください』という言葉に救われる想いです。
      来月のイベントは塔短歌会主催、総合司会鈴木晴香さんのようです。
      https://toutankakai.com/symposium2023/
      2023/08/20
    • まことさん
      ベルガモットさん、おはようございます♪

      ファンだなんて、もったいない言葉ありがとうございます。
      私の方こそ、ベルガモットさんの歌人と...
      ベルガモットさん、おはようございます♪

      ファンだなんて、もったいない言葉ありがとうございます。
      私の方こそ、ベルガモットさんの歌人としてのファン1号になって、歌集が出たら買いますので、楽しみにしています。
      私はまだ、歌を始めたばかりなので(いきなり初めて詠んだ歌を新聞歌壇に投稿するのも凄い度胸だったなと思いますが)成長のふり幅が大きいと自分のことながら思っています。3か月もすれば、かなり成長して(自分でいうのもなんですが)全然違う歌を詠んでいてもおかしくないと思うので、3か月前の歌より現在の歌ですね。3か月前の歌はもう恥ずかしくて、出せないような気がしています。

      来月のイベント楽しみですね!
      よかったら、Twitterあたりに様子をアップしてくだされば嬉しいですが。
      コメント欄でもまた、お話をお聴きできれば嬉しいです。
      (永田和宏さん、栗木京子さんも出演されるのですね!)
      2023/08/21
  • (笑)が嫌いという著者に、

    「蟹の裏側の顔文字
     だと思えば?」

    と提案するぽんちゃん。
    ≧(笑)≦

    「きょうの夕めし、
     からあげなんだってー」
    「いいなーっ!」
    「うおー!」

    唐揚に拳を突き上げて
    喜ぶからあげボーイズ。

    個性的なおともだちが
    次々に登場。

    まさに可愛い百鬼夜行。

    私の周りにもいるかな
    ・・・うん、いるいる。

    私も彼らの笑える言動
    を書きとめようかな。

    ひょっとしたら苦手な
    あの子も好きになれる
    かも。

  • 「氷柱の声」で感銘を受けて興味を持った、くどうれいんさんの日常のエッセイ。
    世代がほぼ同じで、登場する流行とか物事に「わかるわかる」となった。ふみコミュとか、あったなあ…笑

    最初のエッセイで友達は多くないと綴っているが、次々といろんな友達の話がでてきて、充分いらっしゃるなあと思った。
    友達の多い人って、自分は友達が多いとは思っていないものなのかも。
    男友達とのやりとりや色恋の話も複数あって、魅力的な人なんだろうなと思った。

    やっぱりだけれど言葉や身の回りに対する感度が高い。
    へんな話を延々とする歌人との飲み会、めちゃくちゃ楽しそう。
    青春してるなあ。

  • エッセイはどの作家さんのどの著書でも、読者にとって、読む時期、旬の時期があると思う
    本書をそんなドンピシャの時に読めた人は幸いだなあ

    終電日本前の雷鳴
    …そうだ、恋はイナヅマなのだ。この2人の物語が読みたい
    喜怒哀楽寒海老帆立
    …わたしなら読字か


    ○私にはドンピシャの時期ではなかった。せつない
    ○交友も食べものも詩の風景も詰まっていた

  • 「わたしを空腹にしないほうがいい」がとてもよかったので、読了後即購入。くどうさんの周りのユニークな友人など様々な人々との交流が綴られたエッセイ。
    とある雑誌で、盛岡在住の若き歌人であるくどうさんの存在を知り、俄然興味が湧いた。先に書店で手に取ったのは本書の方が先だったのだが、チラ読みした段階では実はそれほど惹かれず。今思えば、そんなチラ読み程度で彼女の魅力がわかるはずがなかった。その後、リトルプレス発の「わたしを…」を読んで「!」となった私。唯一無二の感性に驚きおののいた。
    即読み始めた「うたうおばけ」、当然ながら夢中になりました。いくつもの「若気の至り」感たっぷりのエピソードに、己の学生時代を思い出しては鼻の奥をツーンとさせる。そして、瑞々しいのに、程よい毒っ気を感じさせる表現がツボにハマる。普通の人が見過ごしてしまいがちな場面、そんな風に切り取ってそんな言葉で表現する!?という文章にやたらと出会うのだ。決して奇をてらっている訳ではないのに、うまい具合に心に引っ掛かる。
    東北に暮らす私としては、仙台&盛岡が主な舞台となっていることも楽しく読めている理由かな。くどうさんを知ってから、とにかく盛岡に行きたくて行きたくてしょうがない。
    いい出会いをしたなぁ、と思う。あたらしい空気を吸い込んだ。彼女の倍近く生きている私だが、若い感性に触れてそう思えることが嬉しいな。

  • 短歌教室で工藤玲音さんの短歌紹介があり、素敵な歌ばかりだった。エッセイの紹介もあったので題名に魅かれてこちらを読んでみた。
    友人や街の人や家族とのドラマのような時間を瑞々しく描かれていて、文章もリズムがある。美味しい水をごくごく飲むように染み込むような言葉で一気に読んでしまった。
    うるうる来たり笑ったりと感情が揺さぶられてしまい、興奮して寝付くのが遅くなってしまった。
    どの章も良いのだけれど、暗号とタイしてるよと桃とくらげが特に好き。顧問の由美子先生みたいな方になりたい。

    学生時代に失恋して落ち込んでいたときに、友人がドライブに誘ってくれて夜景を一緒にみたことをふと思い出した。
    そう、大事な誰かに会いたくなる本でした。

  • とても良かった。

    あ、この章がいちばん好きだな!と思ったのがあったのだけれど、その後も絶え間なくすてきなエッセイが続くものだから、読み終わったあとには結局どれがいちばんお気に入りかは分からなくなってしまった。

    くどうれいんさんは本当に人が好きなのだなあとおもった。
    全部全員をひらたく愛するのではなくて、個々それぞれを好きかどうか判断している人なのだろうと思う。かっこいい。
    この人のような人との付き合い方をしてみたいなあと思った。

    わたしもくどうれいんさんに負けないくらいのすてきな生活を送っている自信がみるみる湧いてきたので、わたしも日記とかエッセイとか書きたい〜!と思いました。

    この本を読んだあと高校時代の恩師に勢いでオンラインお茶会しませんか?と送ってしまった。

  • エッセイ集。感性豊かで人が好きなんだなぁ。人との出会いを純粋に楽しんでいる。日常の些細なできごとに面白さがあって、素通りしてしまうのはもったいない。人生を味わいながら生きるって、こういうことなのかな。

  • メイプルマフィンさんのレビューに刺激されて読んでみる。なんだこれは!エッセイ集なのですが子供の絵本のような装丁といいタイトルといい、本屋さんでであっても間違いなく手にとることはない本。
    でも、内容は言葉の選び方といい感性といい衝撃の内容でした。ぼーっとして生きていると見逃してしまうシーンをハッとして切り取って積み重ねて行くことが感性そのものなだとハッと気付かせてくれました。大事ですよね。こんな若くて魅力的な作家さんが東北にいたなんて。岩手おそるべし。メイプルマフィンさんに感謝。

  • 短歌などをつくってる方のエッセイ。
    面白!表現うまいと日常もこう面白く見えるのか。
    少し斜めから見てるから面白いところもあるのかもしれないけど、そういう人のエッセイの方が深い気がする。
    自分の頭の中の汚い部分もちゃんと言葉にできるといいなぁ。

全116件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

歌人・作家。1994年生まれ。岩手県盛岡市出身・在住。著書に、第165回芥川賞候補作となった小説『氷柱の声』、エッセイ集『わたしを空腹にしないほうがいい』『虎のたましい人魚の涙』『桃を煮るひと』、歌集『水中で口笛』、第72回小学館児童出版文化賞候補作となった絵本『あんまりすてきだったから』などがある。

「2023年 『水歌通信』 で使われていた紹介文から引用しています。」

くどうれいんの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×