- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863853195
感想・レビュー・書評
-
たぶん、作者なりにつたえたいことがあった、ということは分かった。ただ、肝心なその核心のようなものがまだぼんやりとしている。1つめの文字の消息は、文字が何かに置き換わっているのだろう。あれば便利で手段として使えるものだけど度を越すとかえって私たち人間に害を脅かすもの。地球温暖化?「がんばれ」ってい言葉?(やる気を出してくれる言葉だけど、うつ状態のときにいわれると逆効果)とにかく、時間をおいてもう1度読むべき本だと感じた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文字が降り積もる土地から届けられたS夫妻からの手紙に胸がざわついて仕方がなかった。twitterのトレンドなんかをうっかり覗いてしまうとギョッとする。あの感覚を思い出す。
情報が生活が思考が思想が古くなるにつれ下に流れていき、熱狂はいつもコピーされた誰かの顔写真みたいに整然と同じ表情をしている。ひとたび流れた文字は意味を成さない無数の線の死骸だ。指先でそれらを下から上へとなぞらえながら蘇らせる万能感に酔って見失っている事や言葉があるのだろう。あの土地では服毒ならぬ服読死が起きたのかもしれない。現代の文字禍。 -
「文字の消息」(澤西祐典)を読んだ。
『文字の消息』『砂糖で満ちてゆく』『災厄の船』の三編収録。
あるポイントに向かってゆっくりと、しかし後戻りすることなく確実に事態が静謐の中で進行していく物語。
『・・・・・・そちらでは文字が降らないのですね、驚きました。』(本文より)
素敵だ! -
恒川光太郎のテイストを感じる少しズレた世界観のお話3篇。
-
文字がどこからともなく降り続く。
そんな現象が起こり始めた世界。
文字は街を埋め尽くし家を押し潰し人々の心を侵蝕していく。
静かにシュールな絶望を描いた不思議な物語。 -
澤西祐典の最新作。
デビュー作『フラミンゴの村』はシュールで滑稽さもある魅力的な作品だったが、本作でもそれは健在だった。書肆侃侃房の本は当たりが多いなぁ(そういえば今村夏子もここだった)。